発達障害×柔道のサミットを2月21日にオンラインで開催。16名の指導者が発達に凸凹のある子供の成長を報告!

少年柔道クラブ、福祉施設、学校、病院、海外の柔道クラブでの発達障害と柔道指導の現状と課題を話し合いました。

NPO法人judo3.0

特定非営利活動法人judo3.0(宮城県女川町 代表理事 酒井重義)は、2021年2月21日(日)、発達が気になる子が輝く柔道サミットを開催、少年柔道クラブ・福祉施設・学校・病院・海外の柔道クラブで発達障害のある子供の指導に取り組む指導者16名が報告、総勢51名の柔道指導者らがこれからの柔道教育を話し合いました。



1.開催概要
名称:発達が気になる子が輝く柔道サミット
日時:2021年2月21日(日)10:00~17:30
場所:オンライン(ビデオ会議zoom)
内容:発達障害と柔道指導に関する16名の報告と参加者ディスカッション
主催:NPO法人judo3.0
協力:石川県柔道連盟(本サミットを有益な研修として県内の指導者に案内及びその参加費用を負担)
助成:2019年度スミセイコミュニティスポーツ推進助成プログラム


本サミットには参加者・報告者合わせて51名が参加し、発達が気になる子が輝く柔道のあり方について話し合いました。

 

2.本サミットの目的
近年、運動と発達障害についての研究が進み、運動が子供たちの発達を促す効果があることが示されています。発達障害がある子供といわゆる「グレーゾーン」と言われる子供(以下双方を合わせて「凸凹(でこぼこ)の子供」と表記)は運動を必要としているのですが、凸凹の子供たち一人ひとりに十分な運動が届いていません。一部の専門家が提供するだけでなく、「スポーツ」や「柔道」の力が必要とされています。本サミットは、地域、福祉、学校、医療などの領域で、凸凹の子供の柔道指導に取り組む有志が集結して、子どもたち誰一人取り残されることなく、柔道を通じて笑顔で成長していく、インクルーシブな社会をつくろう、という挑戦の場になります。

3.サミットの内容
(1)第1部:研究・福祉・医療からみた発達障害と柔道

第1部では「研究・福祉・医療からみた発達障害と柔道」をテーマに、3名の指導者が登壇しました。
西村健一氏(島根県立大学准教授)は、これまで注目されてきた自閉スペクトラム症やADHD、限局性学習症のほか、不器用さに関する「発達性協調運動症」について解説し、指導者は柔道を通じて子供たちの不器用さの改善に取り組むことができること、子供に分かりやすい指示を出す工夫の重要性などを報告しました。
辻和也氏(社会福祉法人わらしべ会)は1970年代から活動しているわらしべ会の福祉と柔道の取り組みにふれ、障害がある子供や大人の運動支援の意義などを報告しました。
河野茂照氏(作業療法士 社会医療法人清和会西川病院)は精神疾患のある患者へのソーシャルスキルトレーニング(SST)として柔道の取り組みを解説し、柔道にはメンタルを支える力があることなどを報告しました。

 

左から西村健一氏 辻和也氏左から西村健一氏 辻和也氏

(2)第2部:いま少年柔道クラブの現場で何が起きているか?
第2部では「いま少年柔道クラブの現場で何が起きているか?」をテーマに、4名の少年柔道クラブの指導者が登壇しました。
佐藤正明氏(新潟県 黒埼柔道連盟)は、凸凹の子供の指導のためクラブの指導者全員が研修を受けて指導法を改善し、子供が集中して練習するようになったり、道場の雰囲気が明るくなったことなどを報告しました。
菅麗子氏(埼玉県女子柔道振興委員会)は、姿勢がよくなったり、身体の動きがよくなったりすると、凸凹の子供の問題行動が減少したり対人関係が改善したりする傾向があることにふれ、このことに気づいてから指導者としてのモチベーションが上がったことなどを報告しました。
高山征樹氏(石川県 内灘町少年柔道教室)は、凸凹の子供の指導に試行錯誤し、「叱る」から「褒める」指導に変え、できないときは「待つ」という指導に変えたら、凸凹の子供だけでなく、定型発達の子供もより集中して練習できるようになり、できることがどんどん増えていったことにふれ、凸凹の子供のおかげで指導者として成長することができたことを報告しました。
藤田賢太郎氏(新潟県 葛塚柔道会)は、凸凹の子供にクラブ内で役割を持たせたり、小さい成功体験ができるようサポートしたり、寄り添って話を聞いたりしたところ、よく泣いていた子供は泣かなくなったり、稽古に真剣に取り組むようになったりしたことなどにふれ、柔道には人をイキイキとさせる力があることを報告しました。

左から佐藤正明氏 菅麗子氏 高山征樹氏 藤田賢太郎氏左から佐藤正明氏 菅麗子氏 高山征樹氏 藤田賢太郎氏


(3)第3部:「柔道療育」というフロンティア-放課後等デイサービスを運営して-
第3部では「"柔道療育"というフロンティア-放課後等デイサービスを運営して-」というテーマで、放課後等デイサービスで凸凹の子供に柔道を活用した療育を提供する3人の指導者が登壇しました。
浦井重信氏(大阪府 文武両道の放課後等デイサービスみらいキッズ塾)は、考えたり、何かを目で見たり、手を使ったりという土台になるものは身体のバランスを保つ力であり、柔道はそのバランス力を高めるうえで有効であることなどを報告しました。
内村香菜氏(鹿児島県 放課後等デイサービス笑光)は、柔道を始めた子供たちについて、衝動的な行動が減ったり、コミュニケーション能力が向上したりしたことにふれ、やらないからできないだけで、子供たちはやればできることなどを報告しました。
森川半四郎氏(京都府 放課後等デイサービスきらめき)は、約半年前から柔道クラスをはじめ、子供の衝動的な行動が減ったりしたこと、また、多くの保護者から「柔道ができるんですか」と評判がいいことなどを報告しました。

左から浦井重信氏 内村香菜氏 森川半四郎氏左から浦井重信氏 内村香菜氏 森川半四郎氏


(4)第4部:学校における発達障害と柔道
第4部では「学校における発達障害と柔道」をテーマに、小学校、中学校における柔道指導について2人の指導者が登壇しました。
向井淳也氏(長崎県 中学校柔道部外部指導員・諫早クラブ代表)は、不登校気味であった凸凹の中学生が柔道をすることを通じて学校に行くことができるようになったり、服薬が必要なくなるほど成長したことなどを報告しました。
飯塚守氏(島根県 小学校教員・ユニバーサル柔道アカデミー島根)は、小学生の体力低下、特別な支援が必要な小学生の増加、凸凹の小学生が運動する機会が少ない現状などにふれ、地域で凸凹の子供たちが柔道できる環境作りの重要性などを報告しました。

左から向井淳也氏 飯塚守氏左から向井淳也氏 飯塚守氏


(5)第5部:柔道クラブの新しい形を模索して
第5部では「柔道クラブの新しいカタチを模索して」というテーマにて、3名の指導者が登壇しました。
綾川浩史氏(栃木県 文武一道塾 咲柔館)は、日本で数少ない専業での柔道指導を始めた経緯を説明し、入塾した凸凹の子供が、柔道場で柔道着を来て「柔道家に変身する」という楽しさを見出したりしながら成長していることなどを報告しました。
佐伯智津江氏(山口県 田布施町柔道スポーツ少年団)は、従来のクラブは練習中に笑うことも許されないような指導だったが、団員が減少したため指導方針を変更、遊びや野外体験をたくさん取り入れ、子供の笑顔を大切にした指導に変更したところ、入団する子供が増え、半数以上の団員が凸凹の子供であることなどを報告しました。
長野敏秀氏(愛媛県 ユニバーサル柔道アカデミー)は、長年強いチームを作る指導をしてきたが、途中でやめる子供がいたり、柔道を嫌いになる子供がいたりしたことから自分の指導に疑問をもち、「勝つことを一旦止める」という方針を掲げて新しいクラブを設立、発達障害の有無を問わず、柔道に親しむことができる環境をつくっていることなどを報告しました。

左から綾川浩史氏 長野敏秀氏左から綾川浩史氏 長野敏秀氏


(6)第6部 世界と連携する
第6部では「世界と連携する」をテーマに、長年スロベニアでインクルーシブな柔道に取り組んでいるViktorija P. Oblak氏が登壇、柔道の発祥地である日本からインクルーシブな柔道が発信されるインパクトが大きいことをふれ、世界の指導者と連携していく必要性などを報告しました。

4.参加者の感想
サミットではそれぞれの報告のたびに参加者と話し合いをしましたが、「凸凹の子供の指導に悩んでいるのは自分一人ではないと分かって元気づけられた」「目からウロコがおちるような充実した一日だった」「多くの先生方と交流することができ、共感できる仲間達がいることが大きな力となった」「柔道の可能性が広がった」「このような取り組みが広がって柔道が習いやすい競技になってほしい」などの感想がありました。


5.主催者の感想
本サミットは「発達障害」という社会課題に対し「柔道」を通じてアプローチする各地の有志が集う初めての会議でしたが、登壇した16名の報告に共通していたことは、指導者が試行錯誤しながら自らの指導や運営を改善している姿、そして、凸凹の子供たちが柔道を通じて成長している様子でした。国内には推定約60万人の発達障害の可能性のある小中学生がいるといわれる一方、柔道チームは全国に8000以上、柔道指導者は2万人以上います。より多くの指導者が発達障害と柔道指導のノウハウを得たら、より多くの凸凹の子供たちが豊かな柔道のコミュニティで身体を動かすことができるようになり、子供たちは素敵な笑顔を見せてくれる、このことを実感したサミットとなりました。

本サミットの詳細は以下のレポートをご覧ください。
https://judo3.org/blog/2021/02/27/ddjudosummit2021report/
 

 

6.主催者について
​NPO法人judo3.0は、日本から世界に普及した柔道という教育コミュニティに注目して、ここから「新しい公教育を創造をする」を使命として、グローバルでインクルーシブな柔道教育づくりに取り組んでいます。
2018年からワークショップ「発達が気になる子が輝く柔道&スポーツの指導法」を各地で開催し、400名以上の柔道指導者などにご参加いただきました。2020年5月には書籍「発達が気になる子が輝く柔道&スポーツの指導法」を出版しております。

書籍について

https://judo3.stores.jp/

名 称: 特定非営利活動法人 judo3.0
所在地:〒986-2265 宮城県牡鹿郡女川町女川二丁目16-6
設 立: 2015年1月1日(2017年10月25日 法人格取得)
事 業:国際柔道交流の促進事業、柔道教育に関する研修事業など
連絡先: info@judo3.org
代 表: 酒井 重義
U R L :https://judo3.org/

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会社概要

NPO法人judo3.0

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URL
http://judo3.org/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
宮城県牡鹿郡女川町女川浜字大原303番地の6
電話番号
-
代表者名
酒井重義
上場
未上場
資本金
-
設立
2017年10月