公民連携型図書館を核とした まちづくり拠点を創出する大阪・十三駅前の複合開発拠点(大阪市)を設計・監理
本計画地は、阪急電鉄の主要3線の結節点にあたる十三駅至近にあり、将来はなにわ筋連絡線・新大阪連絡線の新設が予定されており、京阪神の要としての役割がさらに向上するエリアで、本事業では、集合住宅、図書館、保育・学童、商業、学校等の複合開発が計画されています。公共図書館と学校図書館(館内に、私設図書館:まちライブラリー※1と学校専用エリア)が相互連携を図る、国内初の図書館モデルを核とし、多様な人々を呼び込み、地域コミュニティを育む拠点を目指します。
■本事業の経緯
大阪市は、「もと淀川区役所跡地等活用事業(市有地不動産の貸付等)に関する開発事業者予定者募集プロポーザルを実施し、2020年6月に阪急阪神不動産および髙松建設株式会社が事業者として選定されました。弊社は、本事業における設計・監理業務(全体マスタープラン/複合施設棟の低層施設(意匠)/ランドスケープデザイン)として参画しています。
当プロポーザルでは、当該用地に、「十三地区のブランド向上」、「にぎわいづくりや交流促進」、「淀川区政推進への寄与」に貢献する複合施設が期待されていました。本計画は、市有地に加えて2つの事業用地を含んだ開発区域とし、幹線道路に面して憩い・にぎわいの場となる約2,400㎡の公開空地を設けました。さらに、この公開空地に面して大階段を設けることで、2階の公民連携型図書館と一体的に活用できる豊かな公共的空間を生み出し、地域コミュニティ醸成の拠点性を高める計画としました。
■公民連携型の国内初の図書館モデル
複合施設棟の2階は、約1,000㎡の大阪市立図書館(以下、公共図書館)と約500㎡の学校図書館を併設配置しています。学校図書館は、地域開放する「まちライブラリーエリア」と、学生が利用する「学校専用エリア」にて構成されています。公共図書館と学校図書館・まちライブラリーがワンフロアで相互連携することによって地域交流拠点を形成する、国内初の図書館モデルです。
3つの図書館を一体利用できるオープンな空間計画
公共図書館の入口・多目的室はスライディングウォールとし、また、まちライブラリーは壁のない「オープンな空間」によって、相互に行き来しやすく活動連携を促進する計画です。図書館をつないだ合同イベントも開催可能な自在な空間をつくります。
多様な活動の場が波紋のように広がり、つながるデザイン
各図書館には、静かに読書ができる場、読み聞かせができる場、そして、飲食やイベントもできるアクティブな場まで、多様な活動が展開できる計画です。それぞれの場は、淀川をイメージした波紋状の天井面が包み込み、思い思いの時間を過ごすことができます。そして、水面を意図した照明で照らす中央通路にて、人と活動が緩やかにつながる構成としています。
本計画地のクスノキを利活用した愛着ある空間づくり
もと淀川区役所には、幹線道路に面して地域のシンボルとも言えるクスノキが自生していました。この樹木を「サインや家具として再生」することで、木の温もりあふれる環境をつくるとともに、地域の愛着を次世代に継承することも検討しています。
注1 まちライブラリー:2011年より礒井純充氏が提唱し、推薦する本を持ち寄り人とつながることを目的に、店舗・住宅・オフィス商業・公共施設など、まちの様々な場所に設置を呼び掛けている活動。2013年より一般社団法人まちライブラリー(大阪市、代表理事 礒井純充)が商標を持ち、普及啓発及び運営受託。2023年6月末で全国(一部海外)1040ヶ所近くに広がっている。本プロジェクトにおけるまちライブラリーは、当該社団法人が運営受託予定。(https://machi-library.org/)
■一団地総合設計制度を活用し、十三駅至近に大規模なオープンスペースを創出
本計画では、東側敷地と西側敷地を一体的な土地利用を図る「一団地総合設計制度」を活用し、土地の高度利用を図るとともに、約2,400㎡の広大な公開空地を生み出し、阪急十三駅前に新たな憩い・交流の場を創出する計画としました。
交差点に面して、地域の多様なイベントが開催できる「広場状スペース」を確保し、大階段を観覧席として利用できる計画としました。また、歩道に近接する木陰の下には「ストリートファニチャ―」を設け、地域の方が思い思いに過ごすことができる場を設けています。また、バス停車場や民営駐輪場に近接してベンチを設けるなど、地域交通の利便性を向上する計画としています。
東西敷地の間の道路に面して「歩道状公開空地」を設け、南側の淀川河川敷に至るアクセス性を向上する計画としています。なお、当該エリアでは「淀川河川敷十三エリアにおける整備・運営事業(大阪市)」にて民活事業の公募が実施されており、にぎわいが創出される予定です。
本計画地と淀川河川敷も含めた一体的な地域活性が図られることで、十三東エリア全体のブランド向上にも寄与することを意図して計画しています。
■地域を盛り上げるプレーヤーとして取り組み、まちづくりの機運を醸成
本社所在が淀川区であることを活かし、設計・工事段階から地域づくりの当事者として、地域の方々と連携した活動を実施し、にぎわい・活気を生み出す活動に取り組んでいます。よどがわワイガヤ推進委員などの地域の方々との意見交換会の実施、十三こどもキラキラ祭りにて農園事業部で育てた野菜の販売、アーティストを招いたワークショップにて教育事業部の類学舎生が運営に協力するなどに取り組んでいます。このように、多事業展開(設計事業部・教育事業部・農園事業部等)の強みを活かし、建物づくりに加えて、地域を活性化する活動を継続して取り組んでいます。
■事業および計画の概要(予定)
・事業名 :(仮称)大阪市淀川区十三東計画
・事業者 :阪急阪神不動産株式会社、髙松建設株式会社
・設計者 :(全体マスタープラン/低層施設(意匠)/ランドスケープデザイン)株式会社類設計室
(住宅部分(意匠)、設備・構造(全体))鹿島建設株式会社 一級建築士事務所
・施工者 :鹿島・髙松共同企業体
・建設地 :大阪市淀川区十三東1 丁目21-3 ほか(地番)(敷地面積 7,274.86 ㎡)
・交通 :阪急電鉄神戸線・宝塚線・京都線「十三」駅 徒歩3 分
・用途地域:商業地域
・権利形態:[敷地]一般定期借地権、[建物]区分所有権
・構造規模:鉄筋コンクリート造、一部 鉄骨造 地上3~39 階
・施設概要:集合住宅(712戸)、図書館、保育・学童、商業(スーパーマーケット)、学校(医療系専門学校)、公開空地(2,400㎡)等
・完成予定:2026 年4 月(予定)
・イメージパースやCG、計画概要は当リリース発表時点のものであり、変更になる場合があります
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