3D義足のインスタリム、国際連合工業開発機関(UNIDO)のプロジェクトに新たに採択。JBIC等より約6,000万円の資金調達を完了し、ウクライナ復興に尽力。
ウクライナの戦禍で急増する義足の需要増加・供給不足の問題に対し、インスタリム社がインド・フィリピンで実績のある”3D義足製造ソリューション”を導入することで、解決へ導くプロジェクトをスタート。
3DプリンティングおよびAI技術を活用して、世界初(※1)となる3Dプリント義足製造ソリューション事業を日本・インド・フィリピンで展開するインスタリム株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役CEO:徳島 泰、以下「当社」)は、このたび国際連合工業開発機関(UNIDO)が経済産業省の資金拠出のもと実施する「日本企業からの技術移転を通じた新事業創造によるウクライナのグリーン産業復興プロジェクト(※2)」に採択されましたことをお知らせいたします。
また当社は、このプロジェクトの実施のため、国際協力銀行(JBIC)等より、合計約6,000万円の資金調達が完了したことを、あわせてお知らせいたします。
プロジェクト概要 / Project Overview

本プロジェクトは、当社がインドおよびフィリピンで実績のある、3Dプリント技術を活用した義足および義肢装具の製造ソリューションを用いて、ウクライナにおける義足・義肢装具の生産能力の強化と、それを通じたウクライナにおける義足・義肢装具ビジネスの実装による経済復興に関するフィージビリティ・スタディ(実現可能性調査)を目的としています。(※2)
この調査プロジェクトの終了後、本調査の結果が所定の条件を満たせば、同じく経産省の資金拠出のもとUNIDOにより実施される、パイロット技術実証へ進むことも可能です。
ウクライナにおける義足の現状と課題 / Challenges of Prosthetics in Ukraine
2022年以降の戦争激化に伴い、ウクライナでは戦禍による四肢切断者が急増しています。米国のニュースによれば、ウクライナ国内の義肢装具利用者は推計約2万人にのぼり、2023年末までに約5万人が義肢装具を必要とする見込み(※3)とされていますが、重火器による大規模な負傷者発生や地雷被害によるものの他、インフラ攻撃等による、凍傷由来や糖尿病ケアの遅れなどからの四肢切断、および義足の需要も同時に急増しており、当社が独自に行ったウクライナ政府高官へのヒアリングによれば、民間人も含む義足必要者数は30万人に達しているとの言葉もあります。

しかし、義足・義肢装具の製造・装具の現場には深刻な不足があります。ロイター通信の記事によれば、国内に約300名しかいない義肢装具士(義肢装具を製作・装着する専門家)のうち、十分な機能を備えた高度な義肢を製作できるのはわずか5名にすぎず、また国内の義肢装具製造を行うクリニックの数も足りていないことから、患者数や求められる性能に対応し切れていない状態で、ウクライナ政府関係者も「日々大量の切断患者が押し寄せ、義肢装具士が絶対的に不足している」と危機感を示しています(※4)。
ウクライナでは、義足・義肢装具の供給不足が復興支援の大きな障壁となっていると言えます。
当社のウクライナにおけるプロジェクト・取り組み / Our Approach in Ukrain
当社は「必要とする全ての人が、質の高い義肢装具を手に入れることができる世界を実現する」というビジョンを達成するため、現在、インド・フィリピンにて、弊社独自の3Dプリント義足・義肢装具ソリューションによる事業を推進しています。

フィリピン・インドではすでに5,000本以上の3D義足等の提供実績(※5)があり、フィリピンでは既にシェアNo.1を獲得するなど、現地で高いシェアを獲得してまいりました。
インドでは、弊社の3D義足製造ソリューションが、世界最大規模の義足製造組織であるインド義足製造公社(ALIMCO ※6)や、世界最大級の義足提供NGOであるジャイプールフット(BMVSS Jaipur Foot ※7)に導入済みであるなど、アジアを中心に急速にシェアを拡大しています。
本プロジェクトでは、当社が現地ウクライナのパートナー機関と協働し、当社の3Dプリント義足製造ソリューションをウクライナ現地に技術移転・展開し、上記のウクライナの課題の解決に取り組みます。
具体的には、まず、キーウや西部リヴィウなど主要都市において、当社の3DプリンタやAIを活用した義足設計ソフトなどの設備を導入し、次いで、当社がフィリピン・インド等で蓄積した技術とノウハウを活用して、ウクライナ人技術者・義肢装具士への研修プログラムを実施します。
また、このような義足・義肢装具の製造技術移転を通じて、ウクライナの義足ユーザーが必要とする、高品質かつ低コストの義足・義肢装具を、将来に渡って安定的に供給し続け、ウクライナ国内の義肢装具不足を解決し得る、現地における自給自足型の義肢装具産業基盤を育成することも目指します。

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参考リンク 1:テレビ東京、WBS(https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/wbs/newsl/post_291001)
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参考リンク2:TBS、ニュース23(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1011706?display=1)
本プロジェクトを通じた、インスタリムの事業展開と展望 / Business Strategy and Outlook
本プロジェクトでは、ウクライナの経済復興のための義肢装具産業基盤の育成の一環として、ウクライナからの近隣の義足需要が満たされない国(東ヨーロッパ諸国や、旧CIS諸国)への義足・義肢装具の輸出なども視野に入れた、広域な事業環境調査を実施します。
また、本プロジェクトを通じて確立される現地生産・供給体制は、ウクライナのみならず、東ヨーロッパ・中央アジアにおける当社の事業強化につながります。本プロジェクトで培った技術や現地ネットワークは、近隣国の複数展開時にも活用可能であり、インスタリム全体の競争力向上に寄与します。
ウクライナに止まらない東ヨーロッパ・中央アジアにおける広域展開を実現することは、当社のビジョン「必要とする全ての人が、質の高い義肢装具を手に入れることができる世界を実現する」を達成するための、重要な一歩になると言えるため、ウクライナへの貢献を第一に考えながらも、このプロジェクトを通じた弊社ビジョンの実現についても、同時にかつ精力的に目指してまいります。

会社概要 / Company profile
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会社名: インスタリム株式会社
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代表者: 代表取締役CEO 徳島 泰
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事業内容: 3Dプリント義肢装具および製造装置の開発・製造・販売
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所在地:
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東京オフィス:東京都墨田区横川1-16-3
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フィリピンオフィス:Unit 2503, Centuria Medical Makati, Kalayaan Avenue, Brgy. Poblacion, Makati City, Metro Manila, Philippines.
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インドオフィス:592, Udyog Vihar, Phase 5, Gurugram, Haryana, India.
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※1:世界初=当社調べ(WEB記事、ニュース記事、論文等より)。単なる試供品の提供ではなく、カスタム量産体制が構築された3Dプリンタ・CAD義足事業として。なお、カスタム量産体制(マス・カスタマイゼーション)とは、ユーザー個人のニーズに応じたカスタマイズと、大量生産並みの低コストな供給を両立する生産システム。義足の提供には患者一人一人の断端(切断部)の形状に応じてカスタム/パーソナライズされた形状での一品生産が不可欠である。よって義足の世界的な普及には、低コストな大量生産とパーソナライズされた受注生産を兼ね備えた、新しいソリューションでの製造が不可欠となる。
※2:国際連合工業開発機関(UNIDO)は、ウクライナのグリーン産業復興プログラムを2024年から2028年にかけて実施しています。「日本企業からの技術移転を通じた新事業創造によるウクライナのグリーン産業復興プロジェクト」は、日本の経済産業省による資金拠出のもと、ウクライナと日本の民間セクター間における技術移転、人材育成、ビジネス共創によって、ウクライナの産業復興とイノベーション・エコシステム構築の支援を目的としています。
国連における採択発表ページ:https://www.ungm.org/Public/ContractAward/147362#:~:text=Description
※3:『PBSニュース』 (PBS News) は、アメリカ合衆国の公共ネットワークであるPBSが放送している平日夜の報道番組。該当記事:https://www.pbs.org/newshour/show/ukrainian-troops-who-lost-limbs-in-war-receive-prosthetics-and-hope-for-the-future#:~:text=There%20are%20an%20estimated%2020%2C000,mined%20country%20on%20the%20planet
※4:ロイター通信の該当記事:
※5:5,000本以上の3D義足等の提供実績=当社の提供実績より算出(一部、義足以外の義肢装具を含む)
※6:インド義足製造公社=Artificial Limbs Manufacturing Corporation of India、俗称 ALIMCO。世界最大規模の公的義足製造公社で、年間15万本の義足製造と提供を行う:https://alimco.in/
※7:BMVSS =俗称Jaipur Foot(ジャイプールフット)。世界42カ国で、年間34000本の無料義足提供を行う、最大級の義足提供NGO): https://www.jaipurfoot.org/
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