コミュニケーションの訓練で自己肯定感が向上する研究結果を発表(児童養護施設の子どもたちが一般平均を上回る自尊感情の成長を示した「ことばキャンプ」)

- 小学生版QOL尺度(Kid-KINDL (R))を用いた研究論文が『青山学院大学教育学会紀要「教育研究」』に掲載されました-

                             

特定非営利活動法人JAMネットワーク(本部:神奈川県横浜市)の前代表 髙取しづか氏と、小児精神科医の古荘純一氏による共著論文『児童養護施設入所児を対象としたことばキャンプの効果—小学生版QOL尺度(Kid-KINDL (R))を用いて—』が、『青山学院大学教育学会紀要「教育研究」第69号(2025)』に掲載されました。

研究の背景と目的

児童養護施設には保護者のいない子どもや家庭での養育が困難な子どもが入所していますが、子ども家庭庁によると、近年の入所理由は65.6%が虐待となっています。その成育歴から、自分の気持ちや感情を的確に伝える言葉をもたないケースが少なくありません。JAMネットワークは2008年から東京都や神奈川県など全国のべ約160の児童養護施設において、コミュニケーション能力の向上と自己肯定感の育成を目指す「ことばキャンプ」を実施してきました。

本研究は、これまで現場の声として報告されてきた「子どもも職員も肯定的な見方や考え方ができるようになった」「コミュニケーション技術が身についてきた」「自信をもって話せるようになった」などの効果を、小児用QOL尺度 Kid-KINDL(R)を用いて検証することを目的としています。

古荘純一氏のコメント

Kid-KINDL(R)は、こどものQOL尺度として国際的に使用されている尺度です。この研究は、尺度を用いて、社会的スキルと自尊感情の相関関係を検証しています。コミュニケーションスキルを身につけることで,自尊感情が高まるなど、こどものQOLが向上するのが明らかになりました。『ことばキャンプ』の取り組みが、より多くの児童養護施設で広がることを期待しています。

髙取しづか氏のコメント 

『ことばキャンプ』の効果を論文にまとめ、社会的スキル獲得が自尊感情の向上に寄与することを検証できたことを大変嬉しく思います。古荘先生との出会いは2013年、先生のご著書『日本の子ども達の自尊感情はなぜ低いか』を読んだことがきっかけでした。今後も多くの子どもたちが自分の気持ちを言葉で表現できるよう、活動を続けていきたいと思います。

研究方法と結果

研究は東京都、神奈川県、千葉県の19施設に入所している小学生(4〜6年)127名を対象に実施されました。「ことばキャンプ」の効果測定には、小児用QOL尺度(Kid-KINDL(R))を用い、介入前後の変化を比較しました。

【結果】

ことばキャンプ終了後、QOL総得点および「自尊感情」得点が有意に上昇し、「精神的健康」「友だち」「家族」も上昇した。一方、「学校生活」が有意に低下した。個々の事例では「自尊感情」が前後で低下した一群がみられた。

【考察】

児童養護施設入所児の多くは自尊感情が低いが、ことばキャンプで社会的スキルを身につけることで自尊感情が上昇する。一方で、高すぎる一部の子は、自身を客観視できるようになり、自尊感情が低下すると推測した。

「ことばキャンプ」について

「ことばキャンプ」は、子どもたちが能動的に参加する楽しいソーシャルスキルトレーニング(SST)プログラムです。1回2時間を6回実施し、コミュニケーション能力の向上と自尊感情の育成を目指します。

プログラムでは「強化法とモデリング」「コーチング法」の技法を用い、安達知郎氏の提示する主体的な表現を促す「主体性モデル」を取り入れたSSTを実施。場の設定として心理的安全の場を確保した上で、主体的に発言する機会を繰り返し、適応児童に対し肯定的メッセージ「花マルメッセージ」を伝えて、社会的スキルの定着を図ります。

論文情報

タイトル:児童養護施設入所児を対象としたことばキャンプの効果—小学生版QOL尺度(Kid-KINDL(R))を用いて—

著者:髙取しづか、古荘純一

掲載誌:青山学院大学教育学会紀要「教育研究」第69号(2025)

ページ:57-69

(論文の検索方法)

本論文は以下の方法で検索・閲覧が可能です:

1.青山学院大学図書館Webサイト

URL: https://opac.agulin.aoyama.ac.jp/iwjs0011opc/ctlsrh.do

検索欄に「ことばキャンプ」と入力し検索結果のページリンクからpdfがダウンロードできます。

2.CiNii Research(サイニィ リサーチ)

URL: https://cir.nii.ac.jp/crid/1390585205480242944

検索欄に「ことばキャンプ」と入力し検索結果から青山学院大学図書館Webサイトに遷移してください。


【JAMネットワークとは】

2003年に設立。自分を大切にし、相手も尊重しながら良好な人間関係を構築できるコミュニケーション力の育成が、子どもたちの未来を支える重要な要素だと考え、ことばの7つの力(度胸力・論理力・理解力・応答力・語彙力・説得力・プレゼン力)を育成する独自開発のトレーニングプログラム「ことばキャンプ®」を通じたコミュニケーション力育成活動を児童養護施設で実施しています。これまでのべ160施設・1100人の子ども・3600人の職員にことばキャンプを届けてきました。全国約600か所の児童養護施設すべてで「ことばキャンプ®」メソッドが養育に活用されるようになることを目指して活動しています。

【ご支援のお願い】

GiveOneサイトを通じた寄付(寄付金控除等の税制優遇の対象)で活動を応援してください。

プロジェクト:児童養護施設の子ども達が退所後に自分の未来を切り拓くために「自分も相手も大切にするコミュニケーション力」をつけてもらいたい!

https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20572

本件に関するお問い合わせ先

特定非営利活動法人JAMネットワーク

Email:info@jam-network.net

URL:https://jam-network.net/

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会社概要

URL
https://www.jam-network.net/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
神奈川県横浜市中区海岸通4-21 倉田ビル702
電話番号
090-2722-7981
代表者名
村上好
上場
未上場
資本金
-
設立
2003年10月