分析機器の高性能化、高速化に対応した小径「FINE PEEK-STキャピラリー管」の開発および製品化のお知らせ
キャピラリー(capillary)とは中空細管の総称で、特に内径の小さい管を指します。例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やガスクロマトグラフィー(GC)などの分析機器において、分析カラム管と圧力ポンプや検出器を繋ぐ配管などに使用されており、分析機器の高性能化や高速化により、配管内径の小径化、内面の真円度や粗さの高精度化、高圧化が求められています。
また、生化学やバイオ分野などにおける金属イオンの影響を受けやすい配位化合物(リン酸基を有するATPなど)の分析では、これまでSUS316Lに代表される高耐食性のあるオーステナイト系ステンレス鋼が使用されてきましたが、配管内面への吸着による影響が懸念されるため、金属管を用いない方法(メタルフリー化)が有効とされています。
当社は2019年1月に、内管に樹脂パイプ、外管に当社独自の成分設計による高強度オーステナイト系ステンレス鋼(NK-304NF)を使用した複合管「FINE PEEK-STカラム(ステンレス鋼・PEEK樹脂:複合カラム)」※の販売を開始し、分析カラム管に採用されておりますが、「分析カラム管前後に接続するキャピラリー配管も複合化できないか」とのユーザーのニーズに応えるべく、小径化開発を進め、その結果、外径1/16”(1.59mmφ)、内径最小0.10mmφの小径キャピラリー管サイズを実現しました。
今回開発、製品化した「FINE PEEK-STキャピラリー管」は、既に国内外の分析機器メーカーへサンプルを提供し、各社から性能で高い評価をいただいています。
※「FINE PEEK-STカラム(ステンレス鋼・PEEK樹脂:複合カラム)」についての詳細はこちら
https://www.nipponkinzoku.co.jp/images/2019/01/20190129news-release.pdf
●「FINE PEEK-STキャピラリー管」概要
1. 特長
- 外管に、当社独自の高強度鋼NK-304NFやSUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼を、内管にPEEK(polyetheretherketone:ポリエーテルエーテルケトン)樹脂を使用。外管にステンレス鋼を用いることでPEEK管の従来の課題であった物理的強度が大幅に向上し、100MPa以上の超高圧環境でも使用することが可能です。
- 外管と内管は特殊な加工で一体化させているため、小さい曲げRにおいても剥離が起きないことを確認しており、複雑な配管においても安心して使用することが可能です。(資料1)
- 内径は面粗さRa0.3μm以下且つ真円に近い良好な形状を実現しており、一般的な配管と比較して高精 度な分析が可能です。(資料2)
2. 対応可能鋼種・サイズ
外管:オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316L、 NK-304NFなど)
内管:PEEK樹脂
サイズ:外径:1/16”(1.59mmφ)~1/4”(6.35mmφ)
内径:0.10mmφ~2.1mmφ ※外径サイズによる
製品形態:直管(L=Max2,000mmこれ以上の長さについては別途お問い合わせください。 )
当社では、オーステナイト系ステンレス鋼製の一般キャピラリー管もラインナップをしており、これらについても内径の高精度化を進め、2021年2月現在、内径1.0mmφまでについては100m~300m程度のコイルで内面粗さRa0.5μm以下の製品を開発、サンプルを提供し、各社から性能で高い評価をいただいています。
そして、さらなる市場拡大、分野開拓のため、「内径0.5mmφ且つ面粗さRa0.5μm以下」の製品開発を目標に、邁進してまいります。
● 第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」のビジョンについて
『人と地球にやさしい新たな価値を共創するMulti&Hybrid Material企業~多種多様な素材を圧延・複合成形することで、最終製品に要求される性能を素材で実現し人と地球の未来に貢献します~』を掲げ、ニーズに適合する多種多様な素材の圧延、異種材(樹脂等)との複合化を目指し、研究開発を進めております。「FINE PEEK-ST キャピラリー管」はこの研究開発の一環として誕生した製品となります。当社では今後も経営計画のビジョンに基づいた研究開発を進めてまいります。
● 会社概要
商号:日本金属株式会社(NIPPON KINZOKU CO.,LTD.)
創業:1930年11月10日
設立:1939年12月2日
本社:〒108-0014 東京都港区芝5丁目30番7号
証券コード:5491(東証一部)
ホームページ:https://www.nipponkinzoku.co.jp/
【本リリースに関するお問い合わせ先】
日本金属株式会社 総務部
TEL:03-5765-8100
Mail:soumu@nipponkinzoku.co.jp
【本製品及び技術情報に関するお問い合わせ先】
日本金属株式会社 営業開発部
TEL:03-5765-8110
https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact/processed-products
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