ロベコ、気候調査結果を発表 - ネットゼロへのコミットメント継続、生物多様性への関心の高まり、エネルギー市場や政治的圧力による課題が明らかに
ロベコの「2023年世界気候調査」はコアデータ・リサーチ社に委託し2023年1月に実施されました。本年の結果では、2050年までの温室効果ガス排出量ネットゼロ実現を公約した、あるいはその過程にある投資家の割合は、昨年から微増となりました(昨年45%に対し本年は48%)。投資家は現在、実現に向けて懸命に取り組み、そのためにポートフォリオを再構築しています。今回の調査では、マテリアリティ(重要性)評価について大きな進展が見られ、過半数の投資家(55%)が、ポートフォリオが炭素排出量にもたらす影響の評価を行っていることが分かりました。しかし、スコープ3排出量、つまり出張や廃棄物処理など、間接的な排出量は依然として課題であり、これらを測定している投資家はわずか20%でした。また、投資機会、エンゲージメント、ダイベストメント(投資撤退)の意思決定に不可欠である、投資先企業の排出経路に対する将来的な展望を把握できている投資家は27%に留まっています。今回の調査では、25%の投資家が気候変動シナリオを既に資本市場予測に組み込んでいる、もしくは今後12ヶ月以内に組み入れる可能性が高いとしており、気候変動シナリオの採用が進んでいることが分かりました。さらに、29%の投資家が気候変動を考慮したベンチマークを採用しているか、今後1年間で採用する予定です。
本年の気候調査では、半数以上の投資家(51%)が、エネルギー危機をきっかけに再生可能エネルギー推進の重要性を強く認識した一方で、最近の情勢を受けてポートフォリオ脱炭素化の取り組みを加速させた投資家は30%に留まったことが明らかとなりました。半数近くの投資家(47%)は、短期的なパフォーマンス劣後を避けるために、ESGアプローチの一部を見直しましたが、その中には石油・ガスセクターの高リターンを逃したくないという意向も反映されています。実際、欧州では38%の投資家が短期的に石油・ガス企業への配分増加を許容しており、その割合は北米では48%、アジア太平洋では59%まで高まります。低炭素経済への移行の過程において、公正な移行(Just Transition)、すなわちエネルギー転換の社会的影響への対応も、投資家にとって重要性が増しています。68%が向こう2年間で投資方針の重要要素となると回答していますが、これを下支えする知識を保有しているのは41%に過ぎません。
本年の気候調査結果における注目点の1つとして、生物多様性が大多数にとって懸念事項となっていることが挙げられます。今や気候変動と同等の関心事になりつつあります。半数近く(48%)の投資家が、生物多様性は投資方針の中核もしくは重要要素であると答えており、今後2年間でこの割合は66%に増加する見通しです。生物多様性を統合する主な資産クラスは、株式、グリーンボンド、プライベート市場である一方、実現に向けた最大の障壁は、適切なデータや格付けの欠如(53%)、社内の専門知識不足(41%)となっています。現在、生物多様性目標を明確に設定したファンドを採用している投資家は25%に過ぎませんが、2022年と比較して、インパクト投資ファンド(60%)やテーマ型ファンド(57%)の需要が飛躍的に高まっています。
2023年気候調査結果の注目点を最後にもう1つ挙げるとすれば、投資家が直面する政治的圧力の高まりであり、重要な地域間差異が浮き彫りになりました。米国で反ESG運動が活発化する中、北米では47%の投資家が、自身のサステナブル投資計画に対する政治的・法的抵抗の増大を懸念しているのに対し、欧州ではその割合は30%に留まりました。一方、欧州(63%)とアジア太平洋(57%)の投資家の過半数は、ESGや気候に関する行動を怠ることへの政治的圧力をより懸念しているのに対し、北米では同様の懸念を持つ投資家は少数派(40%)であることが分かりました。
ロベコの気候・生物多様性ストラテジスト であるLucian Peppelenbos は次のように述べています。「サステナビリティと気候は、お客様との間で最も頻繁に議題に挙がるテーマです。気候調査では、投資家がネットゼロへのコミットメント実現や生物多様性への取り組みを推進しながら、一方で、厳しいエネルギー市場や政治的圧力を乗り切ろうと舵取りしていることが示されました。 知識やデータ不足が依然として実践への障壁となる可能性はありますが、投資家は直ちに行動する必要があります。投資家は、変化を生み出しうる投資先に資金を投入して活かす手段を持つからです。ロベコでは、自身の専門知識を外部にも共有することが責務であると考えています。この調査がきっかけとなり、運用業界全体で、気候変動や自然喪失への取り組みや脱炭素化推進へのさらなる後押しにつながることを期待しています」 。
(当文書は、オランダ・ロッテルダムで2023年3月21日に発表されたプレスリリースの日本語版です。)
ロベコについて
ロベコは、1929年に設立された専業のグローバルな資産運用会社です。世界に16拠点を構え、オランダのロッテルダムに本社を置いています。1995年よりサステナブル投資を世界的にリードし、サステナビリティ、ファンダメンタル、およびクオンツ分野のリサーチを融合させることにより、機関投資家、個人投資家双方に対し、広範にわたる資産クラスを網羅した、幅広いアクティブ運用戦略を提供しています。2022年12月31日現在、ロベコ単体の運用資産総額は1,710億ユーロ(約24.08兆円*)であり、そのうち1,680億ユーロにESG要素が統合されています。ロベコは、オリックス・コーポレーション・ヨーロッパN.V.の子会社です。ロベコの詳細は、こちらをご覧下さい:www.robeco.com
ロベコ・ジャパン株式会社はロベコの日本法人で、2013年9月に設立。
* 1ユーロ=140.8183円で換算
重要事項
当資料は情報提供を目的として、ロベコ・ジャパン株式会社が作成したものです。資料中の個別の金融商品の売買の勧誘や推奨等を目的とするものではありません。記載された情報は十分信頼できるものであると考えておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における弊社の判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。運用状況、市場動向、意見等は、過去の一時点あるいは過去の一定期間についてのものであり、過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。また、記載された投資方針・戦略等は全ての投資家の皆様に適合するとは限りません。当資料は法律、税務、会計面での助言の提供を意図するものではありません。
ご契約に際しては、必要に応じ専門家にご相談の上、最終的なご判断はお客様ご自身でなさるようお願い致します。
運用を行う資産の評価額は、組入有価証券等の価格、金融市場の相場や金利等の変動、及び組入有価証券の発行体の財務状況による信用力等の影響を受けて変動します。また、外貨建資産に投資する場合は為替変動の影響も受けます。運用によって生じた損益は、全て投資家の皆様に帰属します。したがって投資元本や一定の運用成果が保証されているものではなく、投資元本を上回る損失を被ることがあります。弊社が行う金融商品取引業に係る手数料または報酬は、締結される契約の種類や契約資産額により異なるため、当資料において記載せず別途ご提示させて頂く場合があります。具体的な手数料または報酬の金額・計算方法につきましては弊社担当者へお問合せください。
当資料及び記載されている情報、商品に関する権利は弊社に帰属します。したがって、弊社の書面による同意なくしてその全部もしくは一部を複製またはその他の方法で配布することはご遠慮ください。
商号等: ロベコ・ジャパン株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2780号
加入協会: 一般社団法人 日本投資顧問業協会
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。