【生成AI・フィジカルAI ファクトリー 樋口製作所】生成AIを「文章作成」から、「経 営判断」の相棒へ
複数AIが議論・合意形成を行う「AI Borad Meeting」の運用開始。社内に蓄積された膨大なデータを各AIが分析し、論点整理やリスク抽出、推奨案の提示を行います。

株式会社樋口製作所(本社:岐阜県各務原市、代表取締役:樋口 徳室)は、議長・財務・製造・品質管理など7つの役割を生成AIが担い、経営課題を事前に審議するシステム「AI Board Meeting」の開発・実装を進めています。生成AIの活用が文書作成や要約にとどまりがちな中、経営判断の「論点整理」や「リスクの洗い出し」にAIを活用しています。機密性の高い経営データを扱うため、クラウド型の生成AIサービスは使わず社内のローカルLLMで運用しており、今後は審議メンバーを拡大する予定です。
生成AIは「使っている」が「経営に効いていない」
生成AIの業務利用は大企業を中心に広がる一方、中小企業では導入が遅れ、導入した企業でも文書作成や情報検索などの個人業務にとどまるケースが多いとされます。
中小製造業の経営会議では、限られた幹部が財務・製造・品質など複数の視点を同時に考える必要があり、議論が特定の部門や声の大きい意見に偏りやすいという課題もあります。複数のAIに異なる役割を持たせて議論させる「マルチエージェント」型の活用は世界的に注目されていますが、中小企業の経営の場で実際に運用している例はまだ多くありません。
また、財務や品質などの機密情報を外部の生成AIサービスに入力することへの懸念から、経営データへのAI活用をためらう企業も少なくありません。
AIは幹部の「代わり」ではなく「論点を出す役」
当社は2018年以降、生産管理・製造現場のデジタル化を進め、社内データを活用した生成AIの運用にも取り組んできました。AI Board Meetingは、蓄積した社内データをもとに、経営課題を多角的に検討するための仕組みとして開発しました。
AIは意思決定者ではなく、人が判断する前に論点や見落としを洗い出す役割と位置付けており、最終判断は必ず人が行います。
社外秘の経営データを扱うため、AI Board Meetingはクラウド型の生成AIサービスを使わず、社内環境で動作するローカルAI環境で構築しました。入力したデータや審議内容が社外に送信されることはなく、セキュリティを担保したうえで経営データをAIに活用できる構成としています。

システムの概要
・名称:AI Board Meeting
・審議メンバー(AI):議長・財務・製造・品質管理・営業・生産管理・人事労務・事業管理、その他
・運用方法:議題を入力すると、各役のAIがそれぞれの専門視点と社内データから意見を出し、論点・リスク・判断材料を整理して報告書にまとめる。
・運用基盤:社内環境で動作するローカルAI 環境(クラウド型の生成AIサービスは不使用)。機密データが社外に送信されない構成
・運用ルール:AIの出力は判断材料として扱い、意思決定は人の判断で行う
運用例:ユーザーが、例えば「来期の重点取り組みを挙げてください」と入力すると、品質管理AIは、品質に関する社内データを分析し、自身に与えられた立場と視点から意見を出します。次に製造AIが発言し、各AIが議論を展開します。それぞれのAIの意見を議長がまとめ、決議までを自動で行います。

担当者コメント
常務執行役員 情報システム管理部長 石田 清孝
AIに経営を任せるつもりはありません。幹部が限られる中小企業だからこそ、判断の前に財務・製造・品質それぞれの視点で論点を出し切る“壁打ち相手”が必要でした。生成AIを個人の便利ツールで終わらせず、組織の意思決定にどう役立てるかを示したいと考えています。
今後の展望
今後は審議メンバーを拡大する予定です。あわせて、工場内を自律巡回する四足歩行ロボットなど現場から集まるデータとの連携も視野に入れ、生成AIとフィジカルAIを組み合わせた「生成AI・フィジカルAI ファクトリー」の実現を目指します。
また、取り組みで得た知見や課題は、地域の製造業や教育機関との意見交換の場で共有していく予定です。
会社概要
社名:株式会社樋口製作所
所在地:〒504-0957 岐阜県各務原市金属団地44番地
代表者:代表取締役 樋口 徳室
創業:1937年
従業員数:272名(2026年10月)
事業内容:精密金属プレス加工
海外拠点:米国、メキシコ、中国
主な受賞・認定:経済産業省「DX セレクション」2022・2025選定
本件に関するお問い合わせ:
株式会社樋口製作所 情報システム管理部 担当:石田 TEL:058-383-1141
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