WAN: Art & Tech Creators Global Network 第二期採択クリエイターの決定

この度、国内の有望なメディアアートクリエイター(アーティスト、キュレーター等)の海外進出を支援する育成プログラム「WAN: Art & Tech Creators Global Network」では、第二期生として、審査を経て決定した4名のクリエイターを採択いたしました。
令和7年度 第二期採択クリエイター(支援期間:2025年11月〜2026年7月)
第一期に引き続き、第二期でも4名のクリエイターを選出。海外展開を戦略的に育成・支援し、本分野の国際的なプレゼンス強化を目指します。採択クリエイターはそれぞれ、ニューヨークでの展示、発表、ネットワーキングなど多岐にわたるプログラムを通して、今後の海外展開に必要とされる知識やスキル、経験を習得します。
小宮 知久 KOMIYA Chiku | メディアアーティスト・作曲家

メディアアーティスト/作曲家。現代のメディア環境における身体と声の変容を主題に、制度化された音楽形式の再構築を試みている。楽譜ベースの音楽作品からパフォーマンス、インスタレーションなど、さまざまな表現形態でプロジェクトベースに国内外で制作・発表している。第24回文化庁メディア芸術祭アート部門新人賞、第87回日本音楽コンクール作曲部門第2位。東京藝術大学大学院音楽研究科作曲専攻修了。

花形 槙 HANAGATA Shin | アーティスト

1995年東京都生まれ。パフォーマンス、メディアアート、現代美術などの領域で活動。テクノロジカルに加速する資本主義社会において「私」であること、「人間」であることが揺らぐリアリティのもと、通信システム、ウェアラブルデバイス、義肢装具といった身体と世界とを関係づけるテクノロジーに着目し、現代における〈人間性の捻転〉を試みる。

村本 剛毅 MURAMOTO Goki | アーティスト

アーティスト。独自の「媒体」を発明・彫刻する実践を通じて、知覚やコミュニケーション、移動を含む「媒介」について探求している。瞼への投影機や映画的プロセスを知覚化する眼鏡、単語翻訳の地図、インストラクション・レンズなど制作する媒体は多岐にわたる。主な個展に「Beautiful Medium(parcel, neort++, Tokyo, 2025)」があり、作品は国内外で発表されている。制作と並行して、内容に開かれた媒体そのものを芸術作品とする実践を「メディウムアート」と名づけ、その理論的背景と系譜をリサーチしている。

吉田山 YOSHIDA Yamar | キュレーター・アーティスト

独学キュレーター・アーティスト。生活と芸術の交わりを探求し、育児も行う。異分野と協働し、社会と芸術の新たな関係構築や価値創造に取り組む。熱海市街地での芸術祭「ATAMI ART GRANT」(2023-2024)プログラムディレクター、AR展覧会「AUGMENTED SITUATION D」(2023-2025)、パブリックアート「風の目たち」(2022-2024)+書籍出版(2025)。

WAN: Art & Tech Creators Global Networkとは
国内の有望なメディアアートクリエイター(アーティスト、キュレーターなど)の海外展開を支援する育成プログラムです。海外のアートマーケットやアートフェスティバル、企業、研究機関などとのコラボレーションを通じて、海外での活動に挑戦するクリエイターをサポートします。
審査を経て採択されたクリエイターは、海外での滞在(初年度はニューヨーク)を通して、展示、発表、現地でのネットワーキングの機会等、本プログラムに参加することで、今後の海外展開に必要とされる知識やスキル、経験を得ることができます。これらの取り組みにより、グローバルに活躍できるクリエイターを育成し、本分野の国際的プレゼンスを向上することを目指します。
主催:文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会、CG-ARTS

文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値支援事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
本プロジェクトは「⽂化芸術活動基盤強化基⾦(Japan Creator Support Fund)(*1)」(通称:クリエイター支援基金)のプログラムの一環で実施しています。
アドバイザー
メディアアート分野で国際的に活躍するアーティスト、ディレクター、プロデューサーなど、多様な視点と専門性をもつアドバイザー陣が、採択クリエイターに並走。海外展開へのチャレンジをサポートします。
イェスル・ソン YESEUL song
アーティスト、ニューヨーク大学 ITP/IMA Assistant Arts Professor

韓国出身でニューヨークを拠点に活動するアーティスト。テクノロジーやインタラクション、参加型の表現を活用し、視覚以外の感覚を通じた創造的な可能性を探る作品を制作し、想像力豊かで包摂的な世界観を提案する。私たちの感じ方や思考、交流のあり方に問いを投げかけ、公共空間や非伝統的な展示場所を積極的に活用することで、芸術へのアクセスに新たな視点を与えている。代表作『インビジブル・スカルプチャー』(2018-2021)は、音や香り、熱、空気、思考といった非視覚的要素で構成された体験型彫刻シリーズで、国際的に展示され、著書「Invisible and Existent」として2021年に出版された。このシリーズの一部作品はミドルベリー大学美術館に収蔵されている。
エキソニモ EXONEMO
アーティスト・デュオ

千房けん輔と赤岩やえによるニューヨークを拠点とするアーティスト・デュオ。1996年にインターネット上で活動開始。以降、ネットワーク時代の人間の身体性や感情を、デジタル/アナログメディアを掛け合わせ、批評的かつユーモラスな切り口で表現している。アルス・エレクトロニカでのゴールデン・ニカ(2006)、芸術選奨文部科学大臣新人賞(2021)等を受賞。メディアアート、コンテンポラリーアート双方からの評価を得ている。ホイットニー美術館でのオンライン展示(2019)、東京都写真美術館での個展 (2020) をはじめ、国際展にも数多く参加。また、2012年に立ち上げたイベント「インターネットヤミ市」は、世界30都市以上に広がり、The New York Times, The Guardian, Libération等の海外主要メディアでもとりあげられている。
サロメ・アセガ SALOME Asega
NEW INC ディレクター

アーティスト、NEW INC ディレクター。シアスター・ゲイツ、リビルド財団、プラダが共同で開発したドーチェスター・インダストリーズ実験デザインラボの第一期生。 NEW INCがインキュベートするブルックリンの10代のためのデジタル・アート・ラボ「POWRPLNT」の共同設立者。Eyebeam、The Laundromat Project、Recessのレジデンスやフェローシップに参加。 ムンク美術館、第11回上海ビエンナーレ、MoMA、カーネギー・ライブラリー、オーガスト・ウィルソンセンター、ノックダウン・センターなどで展覧会を開催。 School for Poetic Computation、Jerome Foundation、National Performance Center の理事を務めている。
戸村 朝子 TOMURA Asako
ARTn CEO / プロデューサー、東京⼤学⼤学院情報学環 客員研究員、東京工科大学 客員教授

表面科学とメディアアートを学び、資生堂宣伝部を経て2001年よりソニー。ソニー・ピクチャーズやアニプレックスでネット黎明期に映画・アニメのデジタル事業を開拓し、2010年よりCSR部で国際機関やNGOと協働し社会課題解決に取り組む。2016年以降は研究開発部門でアーティストと協働する先端コンテンツのプロトタイプ開発やサステナビリティ技術を推進。アルスエレクトロニカ2021 Garden TOKYO企画ディレクター、欧州委員会S+T+ARTS Prize、SIGGRAPH Asia、ACC等の審査員も務める。2025年10月に独立し、芸術・科学技術・社会の交点での実践と次世代育成に注力している。
トークイベント開催のお知らせ
WAN×JUMPアーティスト・キュレーター クロストーク
アメリカ滞在リサーチ アートの現場から

この度、12月5日に「WAN×JUMPアーティスト・キュレーター クロストーク アメリカ滞在リサーチ アートの現場から」と題したトークイベントを開催いたします。
本トークイベントは、日本の次代を担うクリエイター等の挑戦を支援することを目的とした「文化芸術活動基盤強化基金(Japan Creator Support Fund)(*1) 」により行われている、2つのクリエイター育成事業の進捗報告会です。 メディアアート分野の「WAN: Art & Tech Creators Global Network」(以下「WAN」)と、現代アート分野の「JUMP アーティスト+キュレーター国際協働プログラム」(以下「JUMP」)では、若手アーティストやキュレーターの海外派遣や、海外での制作準備から発表の機会を支援しています。
本イベントは、WANとJUMPに参加する4名の育成対象者が、プログラムを超えて、海外での活動の知見や課題を共有することを目的として開催します。アメリカでのリサーチの様子や、それぞれの活動について紹介するとともに、滞在をとおして感じたアメリカのアートを取り巻く環境等について語り合います。
WANからは、キュレーターでありアクセシビリティ研究者・社会福祉士でもある田中みゆき氏が登壇します。JUMPからは、アーティストデュオMES(新井健氏、谷川果菜絵氏)と、キュレーターの塚本麻莉氏(高知県立美術館 主任学芸員)が登壇します。
情勢が大きく揺れ動くアメリカ各地で、それぞれが体験し、学んだこと、そして今後の創作・表現活動に向けたアイデアを共有します。参加者との対話も交えながら、国際的な活動の可能性や意義について理解を深める時間となることを目指します。
開催概要
日時 : 2025年12月5日(金)19:00〜21:00(18:40 受付開始)
会場 : 東京藝術大学 美術学部 藝大食樂部(東京都台東区上野公園12-8)
定員 : 50名(要事前申し込み、定員に達し次第受付終了)
参加費 : 無料 / 言語:日本語
アクセシビリティ対応:車椅子での入場可能、音声認識アプリ「UDトーク」による日本語・英語字幕あり

主催:文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会、公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS)、独立行政法人国立美術館 国立アートリサーチセンター(NCAR)
WANウェブサイトにて、新コンテンツ「クロノレキシコン」を公開しました

「クロノレキシコン」は、「クロノロジー(年表)」と「レキシコン(用語集)」の機能をあわせ持つ造語です。WANの採択クリエイターが影響を受けたものをキーワード化し、時系列で可視化しています。同時に、その年ごとの社会的な出来事を並列して年表にまとめることで、新たなメディアアート史を描くことを試みる実験的なコンテンツです。
第二期採択クリエイターの内容も、順次追加予定です。ぜひご覧ください。
ウェブサイト・各種SNS
ウェブサイト:https://www.w-a-n-art.net
instagram:https://www.instagram.com/w_a_n_art
Facebook:https://www.facebook.com/w.a.n.art.tech
YouTube:https://www.youtube.com/@wan-project-jp
文化芸術活動基盤強化基金(Japan Creator Support Fund)とは

*1: 文化庁の補助金によって独立行政法人日本芸術文化振興会に設置された「文化芸術活動基盤強化基金(Japan Creator Support Fund)」(通称:クリエイター支援基金)では、日本の次代を担うクリエイター等の挑戦を支援することを目的としたクリエイター育成事業を2024年から展開しています。本基金では、メディア芸術と現代アートのほかにも、マンガ、アニメーション、ゲーム、映画、舞台芸術等の各分野において、クリエイターが国際的な視野をもち、さらなるキャリアのステップアップを支援するプログラムを実施しています。
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