【防災の日に寄せて】 災害支援におけるオレンジ流在宅医療の「3つのBe」第二弾レポート公開
能登半島地震復興における空き家活用「シェアハウス」半年間の運営を経て
医療法人社団オレンジ(所在地:福井県福井市/代表理事:紅谷浩之)は、防災の日(9月1日)に合わせ、 「災害支援におけるオレンジ流在宅医療の『3つのBe』第二弾レポート」を公開しました。 本レポートでは、2024年1月に発生した能登半島地震の復興支援として実施した「空き家活用シェアハウス」半年間の運営記録をまとめています。
被災者の住まいと暮らしの安定、高齢者の災害関連障がい防止への実践、そして二次避難先地域でのコミュニティ再考に繋がった取り組みなどを報告します。

本レポート作成の背景
能登半島地震では、多くの住宅が全壊・半壊し、被災者は仮設住宅や避難所での暮らしを余儀なくされました。
そうした状況の中、当法人は「医療法人としてできること」を模索し、地域の空き家を活用したシェアハウスの整備・運営に取り組みました。
この活動は、医療支援にとどまらず「生活基盤の確保」を重視したものであり、オレンジが掲げる在宅医療の「3つのBe」を災害支援に展開したモデルケースとなっています。
災害支援におけるオレンジ流在宅医療の「3つのBe」
Be aware of how to live at home(急性期でも暮らしの見立てを忘れない)
Be making a real lived-in feel(避難所は施設ではない)
Be thinking through(一緒に悩み考え続ける)
当法人では、2024年12月1日に本レポートの第一弾を公開済みです。
詳細はこちら:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000152822.html
レポートにて紹介した取り組みの概要と成果
私たちは、2024/4/1~10/15までの約6ヶ月間を災害復興期とし、7名の継続した生活力を支援するため、住み慣れた場所から離れたところではあっても、お一人お一人が望む暮らし方が続くよう、暮らしの継続に挑戦しました。 知らない土地、地域、人、見通しの立たない生活、何が起きているのか分からないなどの、生活環境の中にいる方々に対し、空き家を活用した「シェアハウス輪っか」、勝山市一般住宅、特別養護老人ホームさくら荘(いずれも福井県勝山市)の3つの拠点において、外出支援や日常生活動作の回復、地域住民との交流、訪問リハビリ等を実施しました。「シェアハウス輪っか」の住民は要介護2~5の状態で、認知機能の低下・混乱も見られることがあり、訪問看護・訪問介護サービスも使い、シェアハウスの運営を行ないました。 特に「シェアハウス輪っか」の取り組みは、数人規模の小さな挑戦でありながら、以下の成果を提示しました。
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高齢者の暮らしを守る新たな防災モデル
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広域避難における「生活支援」の重要性
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被災地と受け入れ地域の双方に生まれる価値
今後の災害支援において、在宅医療と暮らしの両輪で支えるオレンジ流の実践は重みのある一歩となりました。
本レポートより引用:
避難した住民の方へのケアの成果
Cさん:シェアハウスを経て9月下旬、石川県内の施設へ入所。 ご家族からは「勝山のシェアハウスで暮らし、活動量も変わらずに過ごしたおかげで母親が本当に元気になり、まさに最後の青春のようだった」とお声をいただいた。
Dさん:シェアハウスを経て10月中旬に輪島の自宅へ帰宅。 元々ひとり暮らしを地域の見守りの中で継続できていたが、震災により近所付き合い・利用できる介護サービスは大きく変化した。 シェアハウスでの生活で日常生活能力、動作を失わない暮らしを経て、ご本人の自宅に帰りたい気持ちに応えるべく、ご家族・親戚ぐるみで輪島市での暮らし継続ができるようにサポート体制を構築、実現した。
E夫妻:シェアハウスを経て9月上旬に輪島の仮設住宅へ入居。 住まいは勝山市の一般住居に移り、日中はシェアハウスに通うリズムで暮らされ、お二人のペースで楽しく生活をされてきた。夫婦力を合わせてできることも増え、2人での生活の強みを感じている。元々奥様は体力がなく、すぐ疲れてしまっていたが、徐々に歩くスピードが早くなり、自分から散歩に行く姿も見受けられ、体力が戻ってきた。
レポートについて
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タイトル:災害支援におけるオレンジ流在宅医療の「3つのBe」第二弾レポート
‐能登半島地震復興における空き家活用「シェアハウス」半年間の運営を経て‐ -
公開日:2025年9月1日(防災の日)
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目次
はじめに
1、「シェアハウス輪っか」の暮らしぶり
2、ボランティアの推移
3、訪問看護師としての振り返り4、得られた成果
5、継続発信
おわりに
<レポートダウンロード>
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報告会イベント(開催予定)
当法人では、本レポート発表後「オンライン報告会」を開催予定です。 成果を振り返るとともに、被災者や支援者の声を紹介し、今後の災害時支援について意見交換を行います。
(※開催日時・場所・登壇者情報は追って発表予定)
代表コメント
人類史上最高に高齢化率の高い地域における災害。福祉避難所のニーズ、役割。在宅医療チームだからこその関わり方。広域避難、県外へも避難するという発想と仕組み。生活・暮らしを維持するためのありとあらゆる連携と連動。遠隔連携、遠くの仲間との関係性のあり方やつながりの大切さ。多くの仲間がいる能登半島での大きな災害。あらゆるレイヤーの思考と感情が動き続ける期間でした。
だからこそ気づけたこともたくさんあります。目の前の人ひとりひとり、出来事ひとつひとつに大切に関わることの大切さ。暮らしのリズム、という時間軸を持った時の人の強さ。そしてじっくり打合せをする時間がなくてもあうんの呼吸で動ける仲間たち。あうんの域に達するだけの、普段の現場の実践そのもの。そういう私たちの地域での活動の大切さを確認し直すこともできました。
災害がなければ出会わなかった人、協働することのなかった仲間、災害があったからこそ語り合った未来の姿。この国から災害はなくならないからこそ、このつながりや語りを未来のために残したいと思います。(医療法人社団オレンジ:紅谷 浩之)
今後の展望
オレンジでは、今回の取り組みを超高齢社会における災害支援の新しいモデルケースとして位置づけています。
今後は、他地域への横展開や法人内外での防災教育・研修にも応用し、医療と生活基盤支援を両輪とする災害支援体制の強化を進めていきます。
医療法人社団オレンジ
(レポート作成者・お問い合わせ)
本レポートを作成団体に無断で転送すること、使用することを禁じます。
所在地:〒910-0018 福井県福井市田原1-2-20
代表者:紅谷 浩之
設立年月日:2011年2月
URL:https://orangeclinic.jp/
オレンジグループは、「人の暮らしをBe happy!に」をテーマに、国内3県で在宅医療を起点とし、衣食住を含んだ事業活動を行っています。在宅医療クリニックを4つ展開、オレンジグループとして、医療的ケア児のための通い場(福井、長野)、チェアクラフト工房(石川)、パーソナルトレーニングチーム(福井、長野)みんなの保健室(福井2拠点)、カフェ事業(福井2拠点)、特別養護老人ホーム(福井)を運営しています。
◯レポート作成者
菊池・藤岡 他オレンジスタッフ
文責:医療法人社団オレンジ 藤岡聡子
お問い合わせ:info@orangeclinic.jp
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