アート作品のようにデータを「鑑賞」する。観察・思考を能動的にエンパワーさせるデザインプロジェクト「InForms」始動
「知る」ことの、その先へ——データを「鑑賞」するInFormsプロジェクト
InFormsは、データビジュアリゼーションに関するWOWの新たな取り組みです。意図を直接的に伝えるために情報を削り取って記号化する「伝えるための視覚化」に対し、適度な抽象性と複雑性を持たせた「創造のための視覚化」を提示します。
WOWは表現活動において、知性と感性の対話を大切にしています。アートの鑑賞体験は、感性を磨き、観察力や想像力を向上させ、多様な視点をもたらします。本プロジェクトは、美しく成形されたデータを「鑑賞」することで、「知る」だけでなく、より深い思考と想像力で世界をみつめ、対話へ促すまでを一連の鑑賞体験として目指します。
2種類の手法で「世界のレアメタル産出量」と「世界の人口推移」のデータビジュアライズを公開。
本プロジェクトにおいて、WOWは2種類のデータビジュアライズ手法を提案。円グラフや棒グラフといった見慣れた表現から事実のみを理解するのではなく、データを新しいデザインとして表現することで、新たな気づきを得る体験を試みます。
手法1:InfoTexture(インフォテクスチャー)
データが現実世界で持っていた「質感」を、データ可視化の要素に取り込む。分布や変化、差異を伝えるというデータの基本的な機能は残しながら、文脈や背景、現実世界での物質性といった質的な情報も織り交ぜ、量的・質的な観点を1つの造形の中に捉えることを可能にするデータ可視化手法。第一弾として、「世界のレアメタル産出量」を表現した。
手法2:InfoSculpture(インフォスカルプチャー)
データを「造形要素」と捉えて、グラフ形状や座標軸の選択といった可視化における形状操作を、意図を排除した純粋な「造形」のプロセスに転換する。造形的な視点でデータの見え方を拡張することで、鑑賞者の創造性を湧き立て、問題に対する多面的な視点を与えることを目的とするデータ可視化手法。第一弾として、「世界の人口推移」を表現した。
InFormsプロジェクト背景
本プロジェクトは、報道機関に所属するクリエイターとの対話から始まりました。日々さまざまな社会問題がニュースで取り上げられる一方、若者のニュース離れは深刻化し、無関心・無思考への懸念が高まります。ニュースに日常的に触れない人々へ情報をリーチさせる方法や、未来のために深く考え・対話を生む情報伝達のあり方を模索し、WOWのデータビジュアリゼーションに焦点を当てました。
また、インターネットの普及とIT技術の発展により、私たちは広範なビッグデータへアクセスできるようになりました。並行して、PCなどのマシンスペックが向上したことでデータの処理能力も高くなり、データビジュアリゼーションのリッチな表現が可能になりました。
時代の流れとIT技術の向上により、WOWが得意とする三次元で魅せるデータビジュアリゼーション「InForms」が生まれました。
今後の展望
WOWが可視化するデータの中には、3Dプリンターで出力が可能な種類もあります。平面で見るだけでなく、立体物として彫刻作品のように佇むデータを手に取って思考と感覚をつなげることは、データの鑑賞体験を深化させる可能性があります。InFormsのウェブサイトでは、WOWが考えるデータビジュアリゼーションの可能性についての考察レポートを公開しています。また、「鑑賞体験」には思考の土台となる前提知識も必要であるとの考えから、「世界のレアメタル産出量」と「世界の人口推移」に関する専門家への取材記事も公開しました。
今後、WOWではInFormsにおける表現・技術を、企業や大学、行政機関、NPO、NGOなど、さまざまな組織・分野とコラボレーションし、世界を見つめるまなざしに自発性と多様性をもたらす活動を志向していきます。
InFormsウェブサイト https://informs.design/
会社概要
ワウ株式会社
東京都渋谷区神南1-14-3 TEL: 03-5459-1100 URL: https://www.w0w.co.jp/
代表取締役:高橋裕士
人々の心に躍動を生み出す——WOWは、このミッションに2つのアプローチで挑んでいる。1つはクリエイティブコレクティブとしてのアプローチ。デザイン、アート、テクノロジーを横断した個性溢れるクリエイターたちが、独自のテーマや表現方法を探究。各々の技を磨きながら作品づくりを行い、アートやプロダクトとして発表・販売している。もう1つは、クリエイターの多様性を活かしたビジュアルデザインスタジオとしてのアプローチ。知性と感性のダイアローグをクライアントと重ね、映像・インスタレーション・UI/UXなど、効率を追求するだけでは生まれてこない豊かな表現として共に紡ぎだす。
我々にとって重要なのは、人々の心を躍動させ、日常を豊かにすること。未知を発掘し、既知の中に新たな感動を見出し、それを形にすることである。
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