三谷産業とAcompany、秘密計算を用いた統合分析の実証実験に成功
~個人情報等のデータの秘匿性と活用可能性を両立する技術の社会実装へ前進~
三谷産業株式会社(本社:石川県金沢市、代表取締役社長:三谷 忠照、以下 三谷産業)と株式会社Acompany(アカンパニー、本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長CEO:高橋 亮祐、以下 Acompany)は共同で、「複数組織が保有するデータを用いたプライバシー保護統合分析」に関する実証実験を行いました。本実証実験により、Acompanyの開発する秘密計算ソフトウェア「QuickMPC」を用いることで複数組織が保有するデータを秘匿したまま統合し分析することが可能であり、プライバシー保護に有益であることと、実用レベルの計算精度を持つことが明らかになりました。これにより、実用的なプライバシー保護データ分析による、安心・安全なデータ流通社会の実現に貢献します。
▼今回の実証実験のポイント
- データの秘匿性と組織間でのデータ活用の可能性を両立する秘密計算技術の実ビジネスへの適用に向けた実証実験を実施
- 特にプライバシー保護の重要性の高い医療データを基に、三谷産業データセンターで保管するデータにAcompanyの開発する秘密計算ソフトウェア「QuickMPC」を用いてプライバシー保護統合分析を実施。日本国内ではほとんど先例のないMPCによる秘密計算の実証実験に成功
- 医療データのほか、機密性の高いデータを扱う金融、デジタルマーケティング、位置情報サービスをはじめさまざまな領域における実ビジネスへの適用への足掛かりに
■秘密計算技術への期待の背景
近年、AIやIoT、ビッグデータなどの技術の進歩とともにより多様な領域でデータ活用が期待される一方で、データにアクセスし利用する事業者が増えることで、情報漏洩のリスクが高まることが懸念されています。
そこで、データへのアクセス・処理の際に元データをそのまま用いるのではなく、暗号化(秘匿化)処理されたデータを用い、データへアクセスする事業者が元データの内容を保持せず暗号化された状態のままに処理し、安全に統合分析することを可能にする「秘密計算」技術が注目されています。
■秘密計算技術の実用における課題
データのプライバシー保護とデータ流通の両立に期待の大きい秘密計算技術ですが、これまでのところ研究開発段階に留まっているケースが多いのが現状です。
Acompanyが採用するMPC(Multi-party Computation)という手法は、複数の組織がデータを共有する際の処理速度とセキュリティの高さを兼ね備えた技術です。しかし、その実ビジネスへの適用においては、複数のサーバー間で通信しながら同時に計算を行う必要があり、高い計算処理能力とネットワーク通信速度が必要であることに加えて、MPCエンジン構築のための高度な専門性とエンジニアリング能力が求められることが課題となっていました。
こうした課題に対して、近年のコンピュータの処理能力の向上やクラウドコンピューティングの進歩、また通信インフラの発展に加え、Acompanyが独自に開発した高速かつ汎用的な演算処理が可能な秘密計算ソフトウェア「QuickMPC」を生かして、実ビジネスへの適用が可能な水準に到達したという手ごたえを得たことから、今回三谷産業とともに実証実験を実施するに至りました。
■本実証実験の概要と結果
本実証実験では実際のビジネスケースへの適用可能性を検証することを目的として、特にプライバシー性が高く、活用に課題がある医療データを対象に実施しました。
組織外に提供することが難しい医療データに対して秘密計算を適用しプライバシー保護統合分析を行います。医療データには、複数病院が持つ同一傷病を持つ患者に対する医療行為データを使用し、病院間での医療行為におけるできること/できないことの格差を明らかにします。複数病院のデータを用いてプライバシー保護統合分析をすることで、各病院が患者に提供している医療サービスにどれだけの差があるかを、安全に分析することができると考えられます。
この検証のために、三谷産業の保有するデータセンターのサーバーとAcompanyの開発する秘密計算ソフトウェア「QuickMPC」を使用し、複数病院が持つ医療行為データには仮想的に作成したものを用いて実証実験を行いました。
本実証実験の結果、複数病院の持つ6万人の医療行為データに対して、プライバシー保護したまま統合分析ができることを確認できました。また、医療サービスの格差があるケースと無いケースを明らかにすることができました。さらに、対照実験として行った通常の生データに対する分析と遜色の無い分析精度を得ることができました。
以上のことから、複数組織の持つ医療データにおいてプライバシー保護した状態での医療格差分析が、実用レベルで実行可能であると考えられます。
今回の実証実験を通じて、医療データのほかにも例えば金融、デジタルマーケティング、位置情報サービスをはじめさまざまな領域において、複数組織が保有するデータを用いたプライバシー保護統合分析を実施していくことが可能になり、実際のビジネスケースに適用できる可能性を示すことができたと考えています。
三谷産業とAcompanyは、引き続き実ビジネスへの秘密計算の適用に向けた活動を進めることで、安心・安全なデータ流通社会の実現に貢献してまいります。
【「QuickMPC」について】https://acompany.tech/quick-mpc/
「QuickMPC」はデータを秘匿したまま統計分析・機械学習が実行可能な、マルチパーティ計算(Multi-party Computation: MPC)による秘密計算エンジンです。データの内容を知られることなく計算が実行できるため、個人情報や顧客データなどの機密情報を外部に知られることなく活用することができます。
【Acompany(アカンパニー)について】 https://acompany.tech
「データを価値に進化させる」をミッションに、秘密計算を中心としたデータセキュリティに関するソリューションを提供しています。秘密計算とは、データを秘匿化したまま、統計分析や機械学習などを用いた計算を可能とする技術です。秘密計算技術を用いることで、プライバシーに配慮したデータ活用や外部に公開したくないようなデータを安全に活用することが可能になります。Acompanyは、活用されていないデータを使えるようにすることで、今までにない価値を創出しています。
社長:高橋 亮祐/設立:2018年6月20日/
本社:愛知県名古屋市中村区名駅1-1-3 JRゲートタワー27F OICX
【三谷産業グループについて】 https://www.mitani.co.jp/
石川県金沢市で創業して93年、ベトナムで創業して26年の複合商社です。北陸、首都圏、ベトナムを拠点に、化学品/情報システム/樹脂・エレクトロニクス/空調設備工事/住宅設備機器/エネルギーの6セグメントで事業を展開しています。商社でありながら、時にメーカーとして、また時にコンサルタントして、お客さまにとっての最適を追求するとともに、「創業90年を越えるベンチャー企業」として更なる進化へと挑戦しています。 2020年3月期:連結売上高77,595 百万円/連結従業員数 3,355名
<お問い合わせ先>
■本プレスリリースに関して:
三谷産業株式会社 経営企画本部 PR企画室 TEL: 03-3514-6003(担当:木下)
■秘密計算エンジン「QuickMPC」に関して:
株式会社Acompany
お問い合わせフォーム: https://acompany.tech/contact Mail: info@acompany-ac.com
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