コロナ禍に開発した車椅子用アイソレーター(陰圧ブース) 2025年に特許を取得 横浜市と中小企業である当社が共同開発
感染者と非感染者の区分を行うことができ、あんしんを与える
アルミ製品の設計・製造・販売を行う株式会社エーディエフ(本社:大阪府大阪市西淀川区、代表取締役社長:島本敏)は、飛沫感染を防ぐための車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)「あんくま(あんしんくるまいす)」の特許を横浜市と共同取得しました。
横浜市立市民病院(第一種感染症指定医療機関)は新型コロナウイルスの疑いがある患者を発生初期段階から受け入れている病院です。
当時、病院内での患者移送は、ビニールタイプの陰圧車椅子を使用していました。しかし、日に日に患者が増えて使用頻度が上がると、ビニールで囲うタイプの陰圧車椅子は破れてしまい、隔離状態を保てない問題が発生しました。そこで、アルミフレームと透明パネルを使用した車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)をイチから作ることを考え、創業当初より様々な業界の課題を1台からオーダーメイドで手掛けてきた当社と共同開発する運びとなりました。

感染者と非感染者を区分。ビニール製はすぐに破れ隔離機能が損なわれる
新型コロナウイルス患者を受け入れている医療機関や搬送を行う救急隊などでは、患者移送のため陰圧車椅子が多く使用されています。新型コロナウイルスの影響により、患者の受け入れを行っていた「横浜市立市民病院」も、陰圧車椅子を使用していました。
当初、使用していた陰圧車椅子は、ビニールカバー内に患者を乗せて隔離を行うため、体重でビニールカバーが引っ張られることで、破れが生じることが多く、隔離機能が損なわれていました。テープなどで補修しても、患者の乗降の際にビニールカバーが引っ張られて、再度破れてしまい問題となっていました。
隔離機能が損なわれやすく、安心して感染者と非感染者を区分できないことから、その他の患者や医療従事者への感染リスクが高まり、さらに、カバーがビニール製であるため、消毒を行う際にたわんでしまい拭きにくく、清掃箇所にもムラが出ることから時間がかかり負担となっていました。
また、着座する患者にとって、乗降の際に足元のビニールが障害となり、介助なしでの乗降が難しい状況でもありました。
破れたビニールを交換したくても材料を入手しにくい時期であったことから、パネルを使用した製品を早急に用意する必要があり、共同開発することになりました。
感染者にも医療従事者にも配慮した安心設計に
ビニール製からパネル製にすることにより、乗降の際に破れない仕様にしました。さらに、閉塞感・圧迫感のない透明パネルで、隔離部分を形成したため、広い空間を確保し車椅子に乗り込みしやすくなりました。

●感染者に対する配慮
・車椅子内に、手すりを設置し体調不良でも乗降しやすい
・前面のシートが上部に開くことにより、広い乗り口を確保
・足元部分にステップがあることで、座ったあとに荷物を置くことが可能
・ステップの車輪は、荷重がかかるとロックがかかる特殊仕様で乗降時の安全性を確保
●医療従事者に対する配慮
・清掃・消毒の際、拭きやすい透明パネルを採用
・透明パネルにすることにより、視認性に優れており感染者の状況を確認しやすい
・ステップの設置により、移乗介助の負担を軽減し、感染者との接触回数を削減
・荷物を持ったまま乗れる広いスペースを確保し、荷物運搬の手間を削減
・酸素マスクを装着したまま乗降可能
・ブース内に手すりと点滴フックを設置し、介助の負担を軽減
仕様
・サイズ:高さ180x幅73x奥行110㎝
・連続稼働時間:約7時間(満充電時)
・換気回数:約1回/分(計算値)
・処理風量:約0.6㎥/分
・車椅子座幅/最大使用者体重
40㎝/100㎏・46㎝/130㎏ の2種類
・ノーパンクタイヤ採用
・介助ブレーキ・酸素ボンベ架台付き
・天井面にHEPAフィルター付きファンを設置しバッテリー駆動で使用可能
・天井、後方、両サイドは、透明パネルで隔離壁を作り、
前面は厚手のビニールシートを上部から垂らしマジックテープで固定

ふき取り時間短縮と現場の声
●ふき取り時間について

横浜市立市民病院の感染管理認定看護師によるふき取り時間を計測した結果、「車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)」の方が1分25秒短縮されました。
※内側・外側全面(底面除く)、開閉部分含む
●ふき取り時間 比較
パネル製:車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)→5分03秒
ビニール製:陰圧車椅子→6分28秒
●横浜市立市民病院の感染症病棟看護師へのアンケート結果 ※コメント要約
※有効回答23名 回収率72%
・移乗しやすい
・荷物が載る
・ステップが有効的
・介助しやすい
・清掃・消毒がしやすい
・閉鎖空間が確保されている
・パネル製で破損しにくい
・アルミフレーム製で構造が安定している
●横浜市立市民病院の総評
着座時の安定性と隔離部の強度が向上したことで、感染者移送に係る負担が軽減した。また、ふき取り時間を比較した結果、開発した「車椅子用アイソレーター(陰圧ブース)」を使用することにより、清掃・消毒も容易になり、次の使用のインターバルは短縮されたことで、より多くの患者を受け入れる当院において非常に有効なアイテムとなった。
世の中にないモノを創造 業界のニーズに耳を傾け新たなモノづくりを行う
世の中に存在しないモノを形にする企業として、これまで未曾有の状況にも柔軟に対応しながら、変化する様々な業界の課題に向き合ってきました。今後も、製品を提案するうえで最も重視するのは、実際に使う業界の声に耳を傾けることです。
現場で働く方々の「こうだったらもっと助かる」「こんなものがあればもっと良いケアができる」といったリアルなニーズに寄り添い、今までもこうした取り組みが、他社にはないエーディエフらしさを生みました。これからも、様々な業界の現場で本当に役立つものを提案できるように、進化を続けていきます。
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