外国人留学生対象 就職に関する日本語力アンケート調査
~就職活動及び就労における日本語の苦労と、日本企業に求める配慮とは~
レポートの全文はこちらから→ https://blog.asialink.jp/business/20221121/
・調査期間 2022年8月30日~2022年9月30日
・調査機関(調査主体) 株式会社ASIA Link
・調査対象 日本での就職活動の経験がある現役外国人留学生/日本で就労している、または就労したことがある元外国人留学生
・有効回答数(サンプル数) 193名
・調査方法(集計方法、算出方法) ASIA Linkに登録している会員(外国人留学生・元外国人留学生)にWeb上のアンケートフォームのリンクをメール送信
- 就職活動における日本語
(上位3つまで選択)
1位は「履歴書やエントリーシートを書くための日本語力」、つまり「書くための日本語」の苦労。続く2位は「面接で伝えたいことを話すための日本語力」、つまり「話すための日本語」。1位と2位は、書く・話すというアウトプットに必要な日本語力であり、読む・聞くというインプットの日本語力(3位・4位・6位・7位・9位)よりも難しいと感じていることが読み取れる。
②就職活動の中で、企業側に日本語面でどのようなサポートや配慮がほしいですか?
(1つだけ選択)
3人に1人が、「選考時の日本語力だけで判断せず、入社後の伸びも見込んで判断してほしい」を選択。とくに卒業の1年以上前から就職活動が始まる日本においては、選考の段階ではその留学生の日本語力が企業の求めるレベルに達していなかったとしても、卒業までに、そして入社後も伸び続けることが多い。
- 就労における日本語
①あなたが日本企業で働くことになったら、日本語の面でどのようなことに苦労しそうだと思いますか?
(上位3つまで選択)
【日本での就労経験がある人向けの質問】
②あなたが日本企業で働く中で、日本語の面でどのようなことに苦労していますか(苦労しましたか)。
(上位3つまで選択)
上位3位のうち、「敬語」と「専門用語」は、就労未経験者・就労経験者どちらにもランクインしている。一方「電話」については、就労未経験者のほうは17%しか選択しておらず7位だったのに対し、就労経験者のほうは同率1位で40%の人が選択。就労前はそこまで不安視していなかった「電話」は、実際に働き始めると意外に苦戦することが見て取れる。
【日本での就労経験がある人向けの質問】
③日本企業で働く中で、どのような日本語力が大事だと感じますか?
(上位3つまで選択)
「自分の意見・考えを話すための日本語力」と「相手の話を聞き取り理解する日本語力」が同率1位。コミュニケーションの基本であり本質でもある、「話す力」と「聞く力」が重要であると認識されていることが読み取れる。
【日本での就労経験がある人向けの質問】
④あなたが働いている(働いたことがある)日本企業では、外国人社員に対して日本語面のサポートや配慮がありましたか?
(複数回答可)
日本語研修の用意や、英語や母国語でのマニュアル作成などのサポートを受けている人は少数だったが、半数を超える人が「わからないときには丁寧に教えてくれた」と回答し、3人に1人が「わかりやすい日本語を使ったり、ゆっくり話したりしてくれた」と回答。全体で見ると7割の人が就職先の企業から日本語面のサポートや配慮があると感じていた。その中でも、わからないときは丁寧に教える、わかりやすい日本語で話す、ゆっくり話すといった日々の場面に応じた配慮が、企業の就労の現場で行われていることが見て取れる。
- 日本語力を向上させる方法、企業が求める日本語力、苦手な日本語について
①これから就職活動を行い、日本企業へ就職していく後輩のために、アドバイスをお願いします。就活及び日本企業で働くための日本語力を高めるために、学生時代に何をすることを勧めますか?
(上位3つまで選択)
6割が「日本人の友人をたくさん作り、日々日本語で交流する」を選択。次いで、半数が「自分の専門の勉強にしっかり取り組む中で、日本語力も高めていく」を選択した。1位・2位ともに、学生本来の日々の活動の中で、日本語力を高めていくことが有効であると考えていることがわかる。上位4つまでが、日本語をあくまで「手段」とする活動であるのに対して、5位以下はすべて日本語習得が「目的」の活動であることも興味深い。
②日本企業で外国人社員が働く時、企業が求める日本語力については様々な意見・考え方があります。あなたの考えに近いものを選択肢の中から一つ選んでください。
(1つだけ選択)
日本の大学・大学院では、英語で勉強・研究ができるコースの設置が増えており、日本語学校を経ずに海外から直接入学する留学生の受け皿として需要が高まっている。一方で、日本語を習得しないまま就職活動の時期を迎える留学生も増えており、私たちの日々の面談の中でも「日本語を使わずに英語で働ける仕事を紹介してほしい」と言った声が以前より増えてきた。そのため、この質問では「外国人社員を採用したいなら、日本企業も社内の公用語を英語にするなど、配慮するべきだ。」という回答の割合がどの程度までいくのか、その結果に注目していた。しかし結果的には、この選択肢を選んだのは6%にとどまり、全体の4割以上が「日本企業なのだから、日本語が必要なのは当然だ。外国人社員も仕事で使える日本語を習得するべきだと思う。」という選択肢を選んだ。
③あなたの「日本語力」についてお聞きします。あなたは、自分の日本語のどのような点を苦手だと感じていますか?一番苦手だと思うものを一つだけ選んでください。
(1つだけ選択)
「漢字」と「複数人での会話力」が同率1位となり、この2つで全体の4割を占めた。「漢字」を選択した人はネイティブ言語がすべて非漢字圏。日本語能力試験(JLPT)のレベル別に結果を見ていくと、N1レベルの人が選んだのは、1位:会話力(複数人のグループ)、2位:プレゼンテーション能力、3位:文章を書く能力。N2レベルは、1位:漢字、2位:会話力(複数人のグループ)、3位:語彙。N3以下は、1位:漢字、2位:語彙、3位:読解。日本語能力が初級~中級レベルの間は、漢字・語彙を覚えていくことに苦労している傾向が読み取れ、上級レベルになってくると、会話力・プレゼン力・書くための日本語といったアウトプットの日本語力へと目標が移っていく様子が読み取れる。
- おわりに
今回のアンケート調査では、留学生及び元留学生が、日本での就職活動と就労において、日本語の面でどのような困難を感じ、日本企業にどのような配慮を求めているかを読み解くことができた。また、彼らが働く上で重要と捉えているのは、自分の意見を話し、相手の意見を聞くというコミュニケーションの本質であり、この日本語力は学生時代の友人との関わりや専門分野をしっかり学ぶ学問のプロセスを通じて向上していくものであると考えていることもわかった。留学生を採用・雇用する企業は、彼らの日本語の伸びしろも見据えた採用を行い、入社後は日々のコミュニケーションの中でサポートしていくことが重要であると言えるだろう。
- ASIA Linkについて
ASIA Link(読み:アジアリンク)は、「世界に開かれ、世界とつながる社会をめざして」を企業理念に掲げ、世界をめざす日本の中堅・中小・ベンチャー企業と外国人留学生をつなぐ人材紹介事業を2012年1月より運営しています。顧客企業は約200社、登録外国人は9,800人(2022年9月時点)。最も得意とする分野はメーカーへの人材紹介で、海外営業職や技術職、将来の現地拠点幹部候補等で多くの外国人社員が活躍しています。企業の経営を人材面から支援するという考えのもと、紹介して終わりではなく、企業との信頼関係を構築しながら長いお付き合いをしています。
創業者の小野も、ASIA Linkの2名のコンサルタントも、元日本語教師です。留学生に日本での夢をかなえてほしい、との想いで、日々留学生に向き合っています。留学生の気持ちを理解し、彼らの育成にも力を入れながら、企業・留学生双方が成長できるマッチングをめざしています。
【株式会社ASIA Link 会社概要】
企業理念 :世界に開かれ、世界とつながる社会をめざして
会社名 :株式会社ASIA Link
所在地 :東京都小平市小川町2-1971 エッグビル305
創業 :2011年10月
代表取締役:小野 朋江
事業内容 :- 外国人留学生・高度外国人材専門の人材紹介(正社員)
- 経営者と外国人留学生の就職マッチング会「社長LIVE」企画・運営
- 外国人材採用・活用セミナー講師
- 外国人留学生育成事業
URL :https://www.asialink.jp/
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