小型モジュール原子炉(SMR)のEPC事業へ進出
-米国ニュースケール社へ出資-
日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長CEO 佐藤雅之、以下、日揮ホールディングス)は、このたび、海外におけるSMRプラントのEPC(設計・調達・建設)事業への進出を目指し、小型モジュール原子炉※(以下、SMR)の開発を行っている米国NuScale Power, LLC(以下、ニュースケール社)への出資を決定いたしましたので、お知らせします。
日揮ホールディングスは、米国子会社を通じて特別目的会社を設立、同特別目的会社を経由してニュースケール社に対し40百万米ドルの出資を行います。
脱炭素化の動きが世界的に急速に進むなか、一次エネルギー源として再生可能エネルギーの構成比率が増加する一方で、自然環境に左右され易く安定した電力を供給し難いといった課題があります。SMRは負荷追従運転が可能であることから、再生可能エネルギーの変動性を調整する役割のほか、水素製造設備や海水淡水化設備に対するカーボンフリーなエネルギー源としての役割も期待されています。
2050年までに世界で必要となる新規電力容量約4,900GWのうちSMR市場は約230GWを占める見込みであり、そのうちニュースケール社のSMRは一定のシェアを占めていくことを想定しています(市場見通しは調査会社資料によるもの)。
また、日本政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、海外SMR実証プロジェクトに対して国際連携する日本企業を支援する方針が打ち出されています。
日揮ホールディングスは、SMRの将来的な市場拡大に加えて、SMRが水素や再生可能エネルギーと並び、脱炭素社会の実現への貢献が期待できること、さらにニュースケール社の技術が他のSMR技術に先駆けて、2020年8月に米国初の設計認証を取得し、米国原子力規制委員会によりその安全面が認められ、商業化に最も近いSMR技術であることから、今般、SMRプラントのEPC事業への進出を目指し、ニュースケール社に出資を決定したものです。
本出資により、日揮ホールディングスは、海外EPC事業会社である日揮グローバル株式会社(以下、日揮グローバル)を通じて、ニュースケール社の親会社であり、これまでエネルギー及びインフラストラクチャー分野の大型EPCプロジェクトで協業してきた米国大手エンジニアリング会社Fluor Corporation(以下、フルア社)と協業し、ニュースケール社の最初のSMRプラント建設プロジェクトに参画する予定です。さらに、中長期的には海外市場を中心にSMRの EPCプロジェクトを受注・遂行していくことを視野に入れ活動していくほか、SMRと再生可能エネルギー設備、水素製造設備、海水淡水化設備とのインテグレーションも検討していく所存です。
日揮グループは、1970年代から約50年に亘って国内の使用済核燃料再処理施設や放射性廃棄物処理・処分施設などのEPC事業に携わっており、海外ではアブダビの原子力発電所EPC事業の入札や、英国の原子力発電所EPC事業計画の実現に向けて顧客をサポートしてまいりました。
今後、世界的に化石エネルギーから水素や再生可能エネルギーといった二酸化炭素を排出しないエネルギーへの転換が進んでいくなかで、当社グループは、原子力関連分野の事業拡大のみならず、地球の持続可能性に資する技術のビジネス化などに、引き続き積極的に取り組んでいく所存です。
※ SMR(小型モジュール原子炉、Small Modular Reactor):
従来の100万kW超の原子力発電所と異なり、1基毎の出力を小さくすることで原子炉の冷却を容易にし、安全性を高めた原子炉。あらかじめ工場でユニット(モジュール)を製造・組み立て、トラックなどで運搬し建設地で据え付けることで、工期短縮や建設コスト削減が可能。(出典:経済産業省資源エネルギー庁ホームページより抜粋)
<ニュースケール社のSMRについて>
ニュースケール社が開発中のSMRは、直径約4.5m、高さ約23m、1基あたり7.7万kWeの出力の小型モジュール型原子炉。2020年8月には、米原子力規制委員会(NRC)より、他社に先駆けて型式認定申請(DCA)に対する第6段階の審査(最終段階)を完了、同社SMR設計に対する技術審査と技術認定を受領した。DCAの最終段階が完了したことで、ニュースケール社SMR商業プラントの実現性が大きく増した。米国・ユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)は、エネルギー省(DOE)のアイダホ国立研究所内でニュースケール社のSMR商業プラントを建設する予定。
ニュースケール社の概要:
会社名:NuScale Power, LLC
設 立:2007年
本 社:米国オレゴン州ポートランド
従業員数:約400名
資本拠出金:637百万米ドル
主要株主:Fluor Enterprises, Inc.
以 上
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