マイスターエンジニアリンググループ、「超重要インフラ」メンテナンスにおける人材不足および求職状況・就業実態調査に続き、自社が携わるプロジェクトの社会貢献度に関する試算結果を公表

インフラの安定稼働・予防保全に不可欠なメンテナンスの意義を定量的に可視化

日本の基幹産業である製造業や日常生活に欠かせないインフラの保守・改修を中心に、技術サービスのプラットフォームを提供するマイスターエンジニアリンググループ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:平野大介、以下「当社」)は、2023年に公表した鉄道や電気など国内の「超重要インフラ※1」を支える企業や人材を取り巻く環境、そしてメンテナンス技術者の求職状況や就業実態に関する2つの独自調査に続き、このたびクオンクロップ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:北垣卓、以下「クオンクロップ社」)の協力を得て、当社グループ会社のメンテナンス技術者が携わるプロジェクトについて、その社会貢献度を推し量る試算分析を実施しましたので、結果を発表いたします。

※1 超重要インフラ:政府定義の「重要インフラ分野」14領域について、ほかで代替することが困難であり、機能が停止もしくは低下すると社会に大きな混乱を招くと見込まれることから、当社では“超重要インフラ”という名称を使用しています。当社グループ各社の技術者は、現場で超重要インフラの機能維持・安定稼働に資するメンテナンス業務に従事しております。

今回の試算では、当社グループ会社の社員が関わるメンテナンス業務の「1年間の社会貢献」度合いについて、鉄道の変電所および製油所のプラントにおけるプロジェクトをベースに、それぞれの作業量を1年間に発生する稼働時間や経済費用、生産量、省エネ量などに換算して導き出しました。試算結果は、産業活動の基盤であるインフラの計画的な点検や診断、修繕の積み重ねこそが安定的で持続可能な経済活動を下支えし、想定外の機能停止とそれに伴う負の波及効果を未然に防ぐという「予防保全」の考え方を後押しした格好で、インフラメンテナンスの重要性・社会的意義を定量的に可視化するものとなっています。

試算実施の背景

2025年1月28日に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故では、周辺地域12市町に対して発生後約2週間にわたり下水道の使用が制限されるなど、市民の生活に深刻な影響が出ました。この事故に限らず、近年、通信設備やATMの通信障害、鉄道の電気設備系トラブルなど、重要なインフラにまつわる障害が頻発し、その一因として経年や環境の影響も取り沙汰される中、メンテナンス体制の強化・変革が喫緊の課題となっています。

新たなインフラが次々に建設される一方で、既存インフラの老朽化は加速的に進行。2023年4月に公表した当社の独自調査によれば、インフラメンテナンスを支える技術者の減少幅は著しく、2030年には2000年比で約3分の2にまで落ち込み、2045年には半減すると推定されています。未経験者がメンテナンス技術を習得し独り立ちするまでに3年程度の研修期間を要することを考慮すると、このままメンテナンス需給のひっ迫が解消されなければ、メンテナンス自体が成り立たなくなるほど危機的な状況に陥っています。

また、人材の供給サイドに的を絞った2回目の調査では、「技術・エンジニア職」においては「ITエンジニア職」の人気が圧倒的に高く、メンテナンス技術業界に対しては「技能習得が難しい」「働き方がハード」といったネガティブなイメージが先行して就業の検討対象に入りづらくなっている可能性があるとしつつも、実際にメンテナンスに従事している就業者においては、社会的意義の深さも含めて仕事に対する満足度が高いと結論付けています。

試算結果の概要

今回の試算では、当社グループ会社の社員が関わるメンテナンス業務の「1年間の社会貢献」度合いを、(1)鉄道の変電所・駅電気設備の法定点検、および(2)製油所の設備診断・設備管理という2つのプロジェクトをベースに試算し、それぞれのプロジェクトの作業量を1年間に発生する稼働時間や経済費用、生産量、省エネ量などの数値データとして算出しました。以下に、各プロジェクトにかかる分析結果の詳細を提示します。

(1)鉄道の変電所・駅電気設備法定点検プロジェクトにおける「1年間の社会貢献」度の試算結果

特別高圧・高圧・低圧受変電設備の定期保守点検・各種試験サービスを担っている当社グループ会社の指月電興株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:細浦孝雄、以下「指月電興」が請け負っている鉄道変電所のメンテナンス業務について、その社会貢献度を試算し、評価しています。結果は下図の通りです。

指月電興が手掛ける鉄道・駅電気設備法定点検プロジェクトの年間社会貢献度

■370時間分の運転中の計画外停止の抑止

■利用者数25万人分の運搬維持

■740億円分の経済活動の継続

■83万世帯分の1日の消費電力節電に相当する環境貢献

■指月電興株式会社 代表取締役社長 細浦孝雄のコメント

鉄道の受変電設備・駅電気設備では、年次によって確認場所や項目が異なる各種保守点検が法的に義務づけられています。仮にメンテナンスを行わなくても電車は動きますが、怠れば電気設備の経年劣化に起因する事故リスクは確実に高まります。鉄道のメンテナンスには、線路や車両、駅、架線、信号など多様な設備・装置の定期的な点検・保守・修理作業が含まれ、それらすべてが運行の安全性を担保しています。中でも受変電設備のメンテナンスの意義は、常に電気を正常かつ安全な状態に保つこと、そして何らかの異常が生じた際も安全設備を保護し、影響を一定の範囲内に抑えることにあり、事故や災害時にも被害を最小限にとどめ、スムーズな復旧作業へとつなげるうえで要となる役割を担っています。指月電興には、この分野で高度な専門技能と経験、実力を備えたメンバーが揃い、鉄道の安全運行、予防保全に貢献しています。

(2)製油所の設備診断・設備管理プロジェクトをベースとした「1年間の社会貢献」度の試算分析結果

石油精製・石油化学などプラントに関する設備診断・設備管理・コンサルティング業務を提供する当社グループの株式会社テクノ・スタッフ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:尾﨑一郎、以下「テクノ・スタッフ」)が手掛けた製油所の設備診断・設備管理プロジェクトについて、その社会貢献度を試算し、評価しています。結果は下図の通りです。

テクノ・スタッフが手掛ける製油所の設備診断・設備管理プロジェクトの年間社会貢献度

■18日分の計画外停止の抑止

■180億円分の原油処理の継続

■1.7億リットルのガソリン製造能力の維持

■43万人分の年間ガソリン消費量の確保

■株式会社テクノ・スタッフ 代表取締役社長 尾﨑一郎のコメント

製油所のような大規模設備の安定的な稼働を維持するためのメンテナンスには、計画外停止による機会損失のみならず、万が一事故に至った場合の環境負荷、社会問題化を未然に防ぐという重要な役割があります。現在、国内で稼働している製油所の多くは1960年代の高度経済成長期に建設されたもので、当初の設計思想における耐用年数は30年程度であったところ、実際にはその2倍の60年余りにわたって運転を続けています。これだけ長期の連続運転を維持するには、定期修理の度に故障箇所を発見して修繕にあたる“足元の火消し”的な対症療法では到底間に合いません。設備の長寿命化やコストの最適化を意識し、予知保全やリスク管理的な観点から、次回の定期修理で不具合がない状態にまで引き上げる包括的なメンテナンス計画の策定・実行が不可欠であり、テクノ・スタッフはこの領域で独自の知見・ノウハウを発揮しています。


今回の2つの試算結果が示唆するのは、予防保全としてのメンテナンスの重要性です。複雑な構造を持つプラントや鉄道において、たとえわずかな異常であっても検知されずに見落とされ、設備の障害・故障に伴う計画外停止に陥った場合、重大な人的・物的被害、環境負荷増に直結するのみならず、原因究明や復旧は困難を極め、代替手段の調達などにかかる追加エネルギーやコストも膨れ上がるなど、経済的・社会的に甚大な負の波及効果が予想されます。必要なのは損傷が起きてから修理・修繕にあたる事後保全ではなく、常に万が一に備え、計画外停止時にもダメージを最小限に抑えるための予防保全であり、当社もその考え方に基づいてインフラメンテナンスに取り組むとともに、高度化・進化するインフラ設備にも対応可能な技術の研鑽に努めています。

当社では、インフラメンテナンス業界における2030年クライシスに立ち向かうべく、引き続き官民連携してこの重大な社会課題の世論喚起を行っていくとともに、メンテナンス技術職の魅力の発信にも努めてまいります。具体的には、同業界の「働き方改革」促進に向けて掲げる3つの施策、(1)文系学生や未経験者、女性など、従来技術者の割合が少なかった層への積極的なアプローチと理論に基づいた教育を提供する「門戸開放と科学的教育」、(2)メンテナンス業務にデジタル化を導入し、変革を促す「業界の現場DX推進」、(3)事業承継などに悩む企業をグループに招き入れて採用や研修を担うなど、広範な現場での技術提供体制を整える「技術サービス連邦化」について、引き続きこれらを推進してまいります。


■クオンクロップ株式会社からのエンドースメント

SDGsやESGなど、さまざまな枠組みで表現されているように、企業が向き合うべき社会の持続可能性に関する課題は多岐にわたり、急迫性も増しています。SDGsの17の目標においても、「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「11.住み続けられるまちづくりを」という項目に掲げられている通り、社会基盤を支えるインフラのメンテナンスは極めて重要な産業の1つと言えます。他方で、定性的なキーワードが先行し、社会にとって重要な仕事に従事する人々、企業の活動や工夫が持つ本来の価値が見えづらくなっているケースも多々あります。今回の試算は、従来、その価値を定量的に可視化できていなかった領域に切り込んだ先進的かつ意義深い事例であり、これを通してマイスターエンジニアリンググループが担うインフラメンテナンスの価値がより幅広い企業や個人に伝わり、社会の持続可能性に貢献する事業がさらに加速することを期待しています。同時に、クオンクロップ社としても今回の同グループの試算分析に代表される社会課題領域の取り組み価値の可視化を、より広く深く、かつ効率的に実行できるソリューションの開発に引き続き取り組んでまいります。

クオンクロップ株式会社 代表取締役社長 北垣 卓 様

■マイスターエンジニアリンググループのコメント

今回、クオンクロップ社様のご協力のもと実施された試算では、当社のグループ会社が携わる鉄道の変電所と製油所設備という2つのメンテナンスプロジェクトに基づいて社会貢献度を試算していますが、その分析だけでも、普段見えないところで行われているインフラメンテナンスがいかに社会・経済活動を支えているかが可視化されました。当社グループが手掛けるメンテナンス領域は、ほかにも半導体関連や重電機器、都市土木、防災設備など多岐にわたり、それら1つ1つが果たす社会的役割を考慮すれば、自ずとメンテナンスの意義とそれを担う技術者の価値が浮き彫りになると思います。インフラ設備の老朽化がますます加速し、予防保全の観点からメンテナンスの徹底が求められる中、当社は高度な技能を持つプロフェッショナル・エンジニア集団として、社会が「当たり前」に動くための前提条件であるインフラ設備の安定稼働を支えています。超重要インフラのメンテナンスの重要性を広く唱え、その在り方の変革に本気で取り組むマイスターエンジニアリンググループに、今後もぜひご注目いただきたいと思います。

マイスターエンジニアリンググループ 代表取締役社長 平野 大介


【参考資料】

■クオンクロップ株式会社

温室効果ガス排出量や生物多様性指標をはじめとするサステナビリティ指標を定量的かつ多角的に可視化し、付加価値の創出を支援するソリューション「Myエコものさし」を開発・運営している企業です。国内では2022年にJAアクセラレーター第4期に採択され優秀賞を受賞、2023年には「未来の農をつくる」TOYOHASHI AGRI MEETUPアグリテックコンテストでの愛知県豊橋市との連携企業に採択。海外では、世界最大のフードテックイベントFood 4 Future 2024にてBest Sustainability ProjectカテゴリーでFinalist賞を受賞するなど、国内外からサステナビリティに関する効率的なデータ分析のための先進的なソリューションとして評価を受けています。

URL: https://cuoncrop.com

■指月電興株式会社

特別高圧・高圧・低圧受変電設備の定期保守点検・精密点検・各種試験を専門とする受変電設備の総合メンテナンス会社です。1977年の設立以来、東京・神奈川を中心に、関東一円におけるビル・工場・鉄道など数多くの設備で法定点検業務を担い、電気設備の安全運用を支え続けています。2021年に当社グループに参画。電気設備の保守点検・各種試験の実施を通して地域社会に貢献することを第一に、より安全で高品質なサービスの提供を目指して技術・技能の継承を強化するとともに、技術者不足の課題解決に向けてDXを活用した業務効率化にも取り組んでいます。

■株式会社テクノ・スタッフ

1990年の設立以降、石油精製・石油化学プラントに関する設備診断、設備管理、コンサルティング業務を担う「プラント設備の一流ドクター」です。高度な専門知識と豊富な経験を有する業界トップクラスのエンジニアが多数在籍し、設備の非破壊検査、劣化診断、保全計画の立案などを通してお客様の安全性向上や設備の長寿命化、運用効率化をサポートしています。2007年のシンガポール現地法人設立以降は、国内外で広くプラント業界への技術支援を展開。2023年に当社グループに参画し、教育体系の構築などを通して技術サービスの強化発展に努めています。

■マイスターエンジニアリンググループ

「技術で、社会を支える」

マイスターエンジニアリンググループは、1974年の設立以来、日本のインフラ・ものづくりを支える技術サービス集団です。重電機器や都市土木等の超重要インフラの改修・メンテナンスや、半導体、自動車、産業機械など多様な分野への設計・開発・フィールドエンジニアリングを提供しています。当社グループは、高い技術力を持つ中小企業と「技術サービス連邦」を形成し、技術者の採用と育成、キャリアアップ機会の提供、経営インフラの共通化、DX導入支援を通じて、ともに社会・経済活動の基盤であるインフラを守り、未来へと繋ぐリーダーとなることを目指しています。

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

URL
https://www.mystar.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー15階
電話番号
03-6756-0311
代表者名
平野大介
上場
未上場
資本金
1億円
設立
1974年06月