「コロナで扉を閉ざされても、イノベーションで窓を開く」ファーウェイ副会長講演 日本語訳全文

技術革新でより良い生活、よりスマートなビジネス、よりインクルーシブな世界を実現 ※ 本参考資料は2021年2月23日(現地時間)に中国上海で発表されたプレスリリースの翻訳版です。

「Mobile World Congress Shanghai 2021」のオープニングセレモニーにて、ファーウェイ副会長の胡厚崑(ケン・フー)が、「イノベーションが未来を照らす」のテーマで基調講演を行いました。フーは、世界各国・地域、企業や個人が新型コロナウイルスによる甚大な影響を受ける中、イノベーションがパンデミックに対抗する力になったとし、次のように述べました。「イノベーションは、単に今日直面する課題を解決するだけのものではありません。それは明日に向けて光をともすための存在です。パンデミック収束の兆しが見えたタイミングで、イノベーションを通じて生活の質の向上、ビジネスのさらなるスマート化、よりインクルーシブな世界の創出をどのように実現できるかを切に考えていく必要があります」。また、次のように指摘しました。「パンデミックにより、デジタル技術の資源の多寡とスキル習得の程度の違いが社会の分断をより深刻にする現実がいっそう顕著に示されました。イノベーションは新たなデジタル・デバイドを解消し、社会の包摂的な発展を促進するべく努力を重ねるべきです」。
以下に全文を掲載します。

ニューノーマル時代は「受けの対応」から「攻めの適応」へ
 

 

2020年に突如発生した新型コロナウイルスは、社会にかつてない衝撃を与えています。世界保健機関(WHO)の統計によると、昨年は100を超える国がロックダウンに見舞われ、史上まれにみるフィジカル・ディスタンシングによって、経済活動や人々の暮らしに深刻な影響が出ました。マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、2021年、欧州のおよそ半数にのぼる中小企業が倒産の危機に陥る恐れがあるということです。個人への影響については、皆様も実感されていることと思います。中国では先日の春節期間中の帰省者数が昨年比で50%減少したということでした。

こうした感染症の流行に対し、世界で著しい強靭さが発揮されました。各国・地域が多様な対抗措置を講じ、積極的に変化に対応ししてきました。その過程で、社会にいくつかの重大な変化がもたらされました。
 



まず一つ目はスマート化の加速です。現在、公共の場所でスマート検温器の設置が進んでいます。これにより検温速度は毎秒10人にまで向上しました。こうした機器があれば、空港や駅のように人の出入りが集中する場所に公衆衛生の最初の「防衛線」を張ることができます。

二つ目の特徴は生産の自動化です。感染症の拡大を受け、多くの企業でオペレーションの非接触化を進めるニーズが高まっています。生産工場の自動化や構内物流の無人化、消毒殺菌ロボット等、自動化技術のさらなる活用が期待されます。

三つ目の変化はオンラインが当たり前になったことです。仕事や会議、学校の授業などがオンラインへ移行しました。ボストン・コンサルティングの統計によると、2020年、世界で1億人を超える小中学生がオンラインで授業を受けたそうです。これは以前では考えられないことでした。

イノベーションで、より強いデジタルインフラを

これらはパンデミックの危機の中で変化を迫られたものである一方、近年の5G、クラウド、IoT等のデジタル技術の発展によって諸条件が整ったために、コロナをきっかけに社会の運営システムの変容に至ったものもあります。また、こうした変化により、デジタル技術インフラに対しても新たな要請が生まれています。



まず挙げられるのは家庭用ブロードバンドニーズの大幅な増加です。当社の調べによると、2020年、世界の家庭用無線ブロードバンドニーズは20%増加しました。端末数は3,500万台に達し、多くの家庭に良質なブロードバンドネットワークが提供されています。

そして、ネットワークのトラフィックが世界で平均50%増加しました。武漢では70%にもなりました。トラフィックモデルも変化し、アクセスが集中するピーク時と平時の区別がなくなり、ホットスポットも屋外から屋内へ、都市部から郊外へと移行しました。

さらに企業のクラウド利用も進みました。中国では、オンライン教育、医療、小売りなどの分野の企業の約85%がクラウドサービスの利用を始めています。

こうした新たな変化を支えるためにはいっそう強靭なデジタルインフラが欠かせません。そして、そのためのイノベーションも欠くことはできません。当社はこの1年間、革新的な技術やサービスを用いて、顧客と共に世界170あまりの国の300を超すネットワークの安定動作を確保してきました。例えば寧夏回族自治区では、最新の一体型ルーターの導入により、1台で複数のクラウドサービスへのアクセスが可能になり、低コストかつスピーディなクラウド化を求めるコロナ期の企業のニーズに応えました。サービスのイノベーションでは、最新のデジタル・デリバリー技術を用い、同じくコロナ期のインドネシアで5万あまりの基地局の展開を完了することができました。

イノベーションで、現在と未来を照らす



この1年あまりを振り返ると、イノベーションはパンデミックにより良く対応する力になってきました。未来に目を転じれば、新型コロナウイルスとの戦いは長期化が予想される一方、ポストコロナ時代はすでに到来しています。いかにして経済回復と社会活動の再開を図るべきかが世界規模で検討されています。そして、イノベーションはその足掛かりとして依然重要な鍵を握っています。

新たなスタートラインに立った時、技術革新でより良い生活、よりスマートなビジネス、よりインクルーシブな世界を実現するべく、イノベーションは足元に目を向けるだけでなく、未来志向の発想が求められるのではないでしょうか。

イノベーションで、生活をより豊かに
 



ここで皆様に 「Cyberverse」という新しいアプリケーションをご紹介します。5Gネットワークと対応デバイス、そしてAR技術を組み合わせて開発しました。このアプリケーションを通じてバーチャルとリアルの優れた融合をご体験いただきたいと思います。

ただ今よりスタッフがデモンストレーションを行います。私たちは彼のスマートフォン画面から、白亜紀にワープし、太古の恐竜を目にします。またアフリカの大草原に行って、キリンや象と触れ合います。



 

 

このようなアプリケーションはいくつかの重要な技術に支えられています。1つ目はGPSの50倍に相当する、センチメートルレベルの高精度な測位技術です。2つ目は高い計算能力です。高精度の3Dマップの生成では億単位の特徴点のデータの収集と計算を行うため、高い計算能力が不可欠です。またダウンリンクで100Mbpsのネットワーク帯域幅が求められ、5Gだけがこのような高帯域幅を提供できます。さらに5G対応デバイスを使用して初めて優れたアプリケーション体験を得られます。

バーチャルとリアルのより良い融合 ―これが次のイノベーションでの重要なターゲットになると考えます。教育、エンターテインメント、旅行や交通ナビゲーションといったシーンでこのようなアプリケーションがますます増えていくことを想像してみてください。ユーザーはそこから全く新しい体験を得るでしょう。企業はこうしたアプリケーションを介してインターネットに新たなタッチポイントを持つことになり、そこから無限の可能性が広がっていくのではないでしょうか。

イノベーションで、ビジネスをよりスマートに

次に、イノベーションが製造業にもたらす変化をみてみましょう。



ご覧いただいているのは当社のスマートフォンの生産ラインです。130メートルの長さがありますが、現場で作業にあたるスタッフはごくわずかです。自動運搬車(AGV)が既定の軌道上を行き来して物品の供給、運搬を行っています。現場にはすでに5Gのローカルネットワークが導入され、500以上の機器がネットワークにつながっています。このネットワークを通じ、リアルタイムで装置間のデータのやりとりを行っています。このスマート生産ラインの導入により、現場のスタッフ数を80%以上も減らすことができ、生産効率も3倍以上改善しました。
 



次に5Gと人工知能(AI)を使った品質向上支援の事例を見てみましょう。手のひらサイズの小さな回路基板の上には2,500もの部品が載っています。従来の目視検査では、少なくとも2~3分の時間を要していました。現在は高解像度で撮影されたデータを5Gの高帯域幅通信でクラウドに転送し、AIによる検査を行っています。所要時間はわずか6秒に短縮されました。製品の良品率も98%から99.55%に向上しました。

ファーウェイは5Gを積極的に実践に活かしています。現在のアップリンク800Mbpsの帯域幅は今後6Gbpsに到達します。また、Huawei CloudでAIトレーニングプラットフォームを構築しています。こうしたイノベーションの活用により、既存の生産ラインはさらにスマート、柔軟かつ効率的になり、スタッフの労働環境も大きく改善されています。
 



また、自社工場内での活用やデジタル化にとどまらず、エコシステムパートナーと共に、イノベーションの成果を多様な業界に展開しています。
 

 



こうした新技術の後押しもあり、社会全体にデジタル・トランスフォーメーションの新たな機会が訪れています。そして今回のパンデミックはこのプロセスを加速させることになりました。2025年、世界の97%の大企業でAIが導入され、中国の国内GDPに占めるデジタルエコノミーの割合は55%にのぼり、通信事業者の売上の60%は業界向けビジネスによってもたらされると予想されています。

ファーウェイは多様な業界のデジタル・トランスフォーメーションに備え、様々な準備を進めています。そのためのアプローチはイノベーションとコラボレーションです。当社のイノベーションには技術、製品とアプリケーションの3つの階層があります。5G to Bを例にすれば、技術面では、通信事業者やパートナー企業と大規模な5Gスーパーアップリンクソリューションの検証を行いました。
 



製品面では、エッジコンピューティングが5G to B業界向けアプリケーションの鍵の一つとなっています。これに対し、コンピューティングとコミュニケーションを統合した一体型5Gエッジコンピューティング製品を打ち出し、エッジコンピューティングの展開効率を10倍向上させました。また、5Gの業界向けの展開ではアプリケーションがとりわけ重要になるため、ワイヤレスアプリケーションシナリオラボ(X Labs)を通じて、各業界のパートナーと共に製造、医療、金融、交通などの業界向けアプリケーションのインキュベーションに取り組んでいます。
 



イノベーションにおけるもう一つのアプローチにコラボレーションがあります。ここでも5G to Bの事例になりますが、例えば石炭業界の地下作業現場の要件を満たす防爆仕様の5G基地局など、手掛ける製品が多様な業界シナリオのニーズに最適にマッチするよう、パートナーとの協業を積極的に進めています。また、通信事業者とも活発な取り組みを行っています。5G to Bソリューションを各業界にお届けし、「1 から N」への水平展開により産業界のデジタルトランスフォーメーションを加速させるべく、通信事業者とジョイント・イノベーションや戦略的パートナーシップによる協業を進めています。

そして、5Gと業界それぞれの標準規格の速やかな融合と標準化の推進によって5G to Bの実装を加速させるべく、多様な業界との協業に取り組んでいます。最近では山西省と共同でインテリジェントマイニング・イノベーションラボを設立しました。こうした協業により、早い段階での大規模活用を実現したいと願っています。

イノベーションで、よりインクルーシブな社会を
 



デジタル技術がポストコロナの経済回復で大きな力を発揮することは間違いないでしょう。そのうえで、本日この場をお借りして、避けて通ることのできない1つの問題を皆様と共有したいと思います。それは、デジタル技術は多大な作用を発揮する一方、しかるべき行動を起こさなければ、社会の分断を引き起こしかねないということです。

JPモルガンの「K字型」シナリオを拝借して私の懸念を述べたいと思います。K字型で上向きに属するのはデジタル技術の資源や能力を手にした国、企業や個人で、現在「デジタル技術ボーナス期」ともいうべき利益を享受しています。例えば、先進的なデジタル技術を掌握した企業はコロナ禍にあっても業績や株価を伸ばし続けています。一方K字型で下向きに属する方では、そうした技術を持たない少なくない企業が倒産の危機に瀕しています。昨年、オンラインで授業を受けた小中学生は世界で1億人にのぼりました。しかしネットワークにアクセスする手段を持たない家庭では、通学できないことはすなわち授業を受けられないことを意味します。

こうした社会の分断が深刻化する恐れがあります。その背景にあるデジタル・デバイドへの警戒を怠ってはなりません。今回GSMAは「和合共生(Connected Impact)」をテーマに掲げていますが、まさに時宜にかなっているといえましょう。イノベーションでは視線を上に向けることも大事ですが、それ以上に視線を下に向けることの重要性を強調したいと思います。当社もこうした考えに基づき、一部で取り組みを進めています。

まず、過疎地域の接続に関して、革新的な基地局ソリューションRuralStarを投入しました。コロナ期間中、ガーナと協力して農村に通信インフラを構築し、ガーナ国内に2,000あまりのRuralStar基地局を展開しました。現在ガーナには2,960万人の人々が暮らしていますが、モバイルネットワークの人口カバー率は83%にとどまります。つまり過疎地域に暮らす17%の人々のカバレッジの問題の解決が今なお待たれているのです。
 



ガーナではRuralStarを用いて主に2G、3Gの通信サービスと、一部で4Gのブロードバンドアクセスを提供しました。技術革新のポイントは、第一に展開が容易で、木杭にも設置できる点です。第二に太陽光発電を採用し、商用電源が通っていない地域でも電力を確保できる点です。また、ランニングコスト削減のため省エネ仕様にしました。こうしたイノベーションによって基地局の投資収益率(ROI)が8~9年から2~3年に短縮され、通信事業者がこうした地域で大規模展開を行うモチベーションが高まりました。こうして過疎地域に暮らす人々に移動通信サービスが届けられるようになりました。

ガーナの事例は一例にすぎません。世界に目を向けると、インターネットにアクセスした経験を持たない人々が全人口の40%にのぼります。デジタル化を推進する上で決して忘れてはならない人々です。ファーウェイは、あらゆる人が簡便にデジタル技術を使用でき、誰も置き去りにされないデジタル世界の実現を目指しています。

中小企業にデジタル技術のメリットを提供するためにできることもあります。マレーシアのHexa Foodという会社は、75名の従業員で高品質な調味料を生産しています。その調味料づくりの重要な原料となるのが唐辛子ですが、これまでは手作業で唐辛子の選別を行っており、時間と手間がかかっていたうえ、品質のばらつきもありました。

 



2年前、Hexa Foodは当社のAIを活用した唐辛子選別ソリューションを導入しました。高価なサーバーなどのハードウェアは必要ありませんし、高い技術力を持つITエンジニアも必要ありません。シンプルなカメラとネットワーク接続機器だけを設置し、Huawei Cloudに接続することにより、唐辛子のスマート選別を実現しました。その結果、調味料の生産効率と品質が大幅に改善しました。昨年はコロナウイルスの流行により新たな人手の確保が難しい中、AIの助けを借りて、労働力を増やすことなく生産高を2倍に増やすことに成功しました。今後は世界中の中小企業が等しくこうした技術による恩恵を受けられるようになることが望まれます。

デジタル技術は多岐にわたる希少資源のより有効な活用も可能にします。現在、医療資源の不均衡が世界的に深刻な問題になっており、コロナウイルスへの対応の中でも大きくクローズアップされました。例えば、中国には経験豊富な超音波専門医が約20万人おり、多くは都市部の大病院に勤務しています。しかし中国は14億の人口を抱え、患者は全国にいます。都市部から遠く離れた地域では、超音波診断装置があっても経験ある医者がいません。
 



5Gネットワーク展開後は、通信網を介した遠隔超音波診断が可能になりました。都市部にいる熟練医が5Gネットワークを経由しリアルタイムで送られてくる高解像度の超音波画像を見ながら、現場の医者に診断装置の操作を指示することで、迅速に診断を下せるようになったのです。これは超音波診断モデルの大きな変化です。従来は医者と患者が同じ場所にいることが医療行為の必須条件だったのが、5Gの出現によって、何千キロも離れたところからも診察できるようになりました。これにより、医療資源の不均衡や逼迫といった問題が劇的に解消されました。

5Gのこうしたデジタル技術は触媒のような働きをし、遠隔聴診、遠隔CT検査などがますます多くの医療機関で導入されています。5Gによってこうした医療サービスが可能になったことで、過疎地に暮らす人々も良質の医療サービスを受ける機会を平等に得られるようになりました。

コロナで「扉を閉ざされ」ても、イノベーションで「窓を開く」


新型コロナウイルスにより、フィジカル・ディスタンシングを余儀なくされる状況は今なお続いています。感染症拡大を食い止めるため、やむを得ない選択として「扉を閉じた」現実がある一方で、コロナによって「イノベーションとコラボレーションの窓」が開かれたのも事実です。我々はまさにポストコロナの時代に足を踏み入れています。ファーウェイは持続的なイノベーションや、顧客やパートナーとのオープンな協業を通じて、遍く業界のデジタルトランスフォーメーションを推進し、より良い生活、よりスマートなビジネス、よりインクルーシブな世界の実現に尽力してまいります。
 


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