地域新電力が100社を超えました
~ 脱炭素まちづくりの担い手となる地域新電力が拡大~
地域の再生可能エネルギー電気等を地域に供給するとともに地域課題解決事業なども併せて実施する地域新電力は、脱炭素まちづくりの担い手として期待され、全国で拡大しています。
地域新電力の設立・運営支援を行う一般社団法人ローカルグッド創成支援機構(東京都港区、代表理事 大滝精一)の調査において、自治体が出資・協定等で関与する地域新電力が全国で103に上ることが分かりました。また、これら全国の地域新電力103社の現状について、調査結果をまとめましたのでお知らせします。
(調査結果のまとめ)
・自治体が出資・協定等で関与する地域新電力が全国で103に上る
・2016年4月の電力小売全面自由化以降、地域新電力の数、供給量ともに増加
・脱炭素まちづくりの担い手として価値を出す地域新電力が拡大
(1)全国の地域新電力の数
2024年4月末時点で小売電気事業者登録がされており、公表資料において次の①、②または③に該当することが確認できた法人を地域新電力としたところ、103社を確認した。
①自治体からの出資を受けている法人(間接出資を含む)
②自治体と協定を締結している法人(協定に基づき設立または運営されている法人含む)
③自治体が社員として構成されている一般社団法人
注:公表資料をもとに作成しているが、当該資料の時点が様々であることから、必ずしも最新情報を反映していない場合がある。
注:上記一覧は、①資源エネルギー庁(2021月12日)「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について」における「自治体出資が確認できた新電力一覧」、及び②稲垣憲治ら(2022年11月)「自治体新電力の現状と発展に向けた検討~74自治体新電力調査を踏まえて~」『国際公共経済研究』第33号などをもとに、ローカルグッド創成支援機構事務局において作成
(2)地域新電力の種類
(2-1)地域新電力の分類:次の2種類に分けることができる
①既に主力事業があり、小売電気事業を追加した社【前表中:追加】
(例:既存の地域ガス会社、地域ケーブルテレビ会社が小売電気事業を追加)
②小売電気事業を当初からの主力事業として設立された社【前表中:当初】
(2-2)地域新電力の主な設立経緯
・地域のガス会社が中心となり設立した社(または地域ガス会社自身)
・地域のケーブルテレビ会社が中心となり設立した社(またはケーブルテレビ会社自身)
・電気設備系地域企業が中心となり設立した社
・地域再エネ開発・運営会社が中心となり設立した社
・自治体が主導し地域外のエネルギー会社の支援を得て設立した社 など
(参考)多様な主体・連携
・観光まちづくり法人(DMO)、地域商社、廃棄物処理施設運営会社など多様な主体が地域新電力
として電力小売を行っている場合も
・旧一般電事業者が出資または協定を締結している地域新電力も
(3)地域新電力設立数の推移
・2015~2019年度に設立が相次いだが、2021年1月の卸電力市場高騰以降は減少傾向。
・しかし、ゼロカーボンシティ施策の1つとして地域新電力を検討中の自治体もあり、
今後も一定数設立されていく見込み。
注:ここでは、地域新電力設立年度を小売電気事業者登録された年度としている。
(4)販売電力量
・地域新電力数の増加とともに販売電力量も増加(ただし、伸び率は2020年度以降鈍化)
・地域新電力の販売電力量(2022年度:供給実績のある95社)は、合計76.8億kWh
地域新電力のシェアは、対全電気事業者で0.93%、対全新電力で6.7%
※出典:資源エネルギー庁「電力調査統計」(2022年度)
<地域新電力の販売電力量の推移>
(5)地域新電力の排出係数
・2022年度に販売実績のある地域新電力89社平均の排出係数は、
基礎排出係数0.000333t-CO2/kWh、調整後排出係数0.000400t-CO2/kWhであった。
地域新電力の排出係数は全国平均(0.000438t-CO2/kWh)を下回る。
・地域新電力の平均排出係数が低いのは、地域の再エネ電源を調達する傾向にあるためと考えられる
※電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)-R4年度実績(R5. 12.22 環境省・経済産業省公表)を基に算出
(6)事例紹介とまとめ
・現在、自治体等による地域脱炭素の機運が高まっており、2050年二酸化炭素排出実質ゼロを表明し
た自治体は1,112自治体に上る(2024年6月28日時点)。
・一方で、特に小規模の自治体においては、脱炭素事業をしたくても地域に相談・実行できる主体が
ほとんど存在せず、東京等の都市部の事業者に頼らざるをえないという課題がある
(地域経済循環や地域でのノウハウ蓄積につながらない)。
・そのような中、地域人材が運営する地域新電力が、自治体が環境政策で相談できる「ローカルシンク
タンク」や脱炭素まちづくりの「地域の担い手」としての役割を担う事例が拡大している
(下図に8事例)。
・これら地域新電力による自治体や地域のステークフォルダ―等と連携した脱炭素事業は、地域経済
循環を引き起こすとともに、地域共生型の再生可能エネルギー拡大にもつながる。
・脱炭素まちづくり事業を通じ、地域経済循環や地域発展を引き起こす地域新電力の更なる拡大が期待
される。
■法人概要
名称 : 一般社団法人ローカルグッド創成支援機構 https://localgood.or.jp/
代表者 :代表理事 大滝精一 所在地 :〒108-0014 東京都港区芝5-26-30 専売ビル6階
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