"地方建設会社が挑む、i-Construction2.0最前線" 鴻治組、急峻・狭小な山間部の直轄砂防現場で遠隔×自動施工を実証

~EARTHBRAINとして全国初、急峻な砂防工事でAIを活用した自動施工。1人で遠隔建機・自動建機の2台を統合運用~

株式会社鴻治組

 株式会社鴻治組(本社:広島県広島市安芸区、代表取締役:檜山典英、以下「鴻治組」)は、国土交通省 中国地方整備局 広島西部砂防事務所発注の砂防堰堤工事(広島県広島市安芸区)において、株式会社EARTHBRAIN(本社:東京都港区、代表取締役社長:小野寺昭則、以下「EARTHBRAIN」)の協力のもと、遠隔操作油圧ショベルと自動運転クローラーダンプを組み合わせた遠隔・自動施工の実証を実施しました。また、2026年9月14日~18日には、発注者・自治体職員・大学生・高校生などを対象とした現場見学会を開催しましたので併せてお知らせいたします。

 本実証では、現場内に配置した移動式DX拠点「モビリティーオフィス」から、1人のオペレーターが掘削・積込みを担う遠隔操作油圧ショベルと、運搬を担う自動クローラーダンプ(不整地運搬車)の2台を統合運用しました。危険区域内で作業する人員をゼロとしたうえで、従来2人で行っていた掘削・運搬作業を1人で担い、50%の省人化、1人当たり生産性32%向上を実現いたしました。なお、自動建設機械の運用が難しいとされる傾斜地の砂防工事において、クローラーダンプによる自動施工を行ったのは、EARTHBRAINとして全国初の事例です(※1)。また、モビリティーオフィスを操作拠点とした遠隔・自動施工としても、全国初の取り組みとなります(※2)。

    

現場全景(深山の滝川上流支川砂防堰堤)
移動式DX拠点「モビリティーオフィス」

■取り組みの背景

 建設業では、就業者の高齢化と若年入職者の減少により、担い手不足が深刻化しています。国土交通省は「i-Construction 2.0」において、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進める目標を掲げ、建設機械の遠隔化・自動化をその柱の一つに位置付けています。砂防分野においても、平時から遠隔・自動施工を推進し、地域の建設会社の日常的な施工手段として普及させる方針が示されています(※3)。

 一方、平成30年7月豪雨で甚大な土砂災害を経験した広島県では、砂防堰堤の整備が地域の安全を守るうえで欠かせません。しかし、県内の砂防現場の多くは急峻な山間部に位置し、施工ヤードも狭小であることから、作業員と重機の動線が交錯しやすく、接触や巻き込みのリスクと隣り合わせの環境にあります。

 こうした中、鴻治組は「危険な場所に人を立ち入らせない施工」の実現を目指し、EARTHBRAINと協業して、実際の狭小・傾斜地の直轄砂防現場において遠隔・自動施工の有効性と課題を検証する本実証に踏み切りました。

■取り組みの概要

  • 工事名:令和7年度 安芸南部山系深山の滝川上流支川砂防堰堤他工事

  • 発注者:国土交通省 中国地方整備局 広島西部砂防事務所

  • 施工者:株式会社鴻治組

  • 使用機械:遠隔操作バックホウ コマツ PC200-11、自動クローラーダンプ コマツ CD110R

  • 操作拠点:モビリティーオフィス

  • システム:Smart Construction Teleoperation ほか(EARTHBRAIN)

  • 通信:衛星通信サービス「Starlink」(※4)

遠隔油圧ショベル(掘削・積込み)
自動クローラーダンプ(運搬)

■本取り組みの特徴

1. 移動式DX拠点から、1人で遠隔建機・自動建機の2台を統合運用

オペレーター1人がモビリティーオフィス内から、掘削・積込みを遠隔操作で、運搬を自動運転で同時に管理しました。オペレーターは空調の効いた車内で作業できるため、危険区域での接触リスクに加え、夏季の熱中症リスクの低減にもつながります。

2. 狭小な現場における多重の安全対策

国土交通省の「自動施工における安全ルール」に準拠したリスクアセスメントをEARTHBRAINと共同で実施し、その結果を運用設計に反映しました。立入管理に加え、障害物検知・通信途絶・ルート逸脱時の自動停止、全機を一斉に停止できる遠隔非常停止スイッチ、AIカメラによる現場監視を組み合わせた多重の安全対策を講じ、実証期間を通じて無事故・無災害を達成しました。

3. 建機制御・安全管理へのAI技術の活用

自動クローラーダンプの走行ルート設定では、ドローンで取得した点群データをもとにAIが走行可能範囲を判定し、日々変化する現場条件に応じたルート設定を支援しました。また走行中は、搭載したセンサーとAIが障害物を検知して自動停止します。さらに、東京大学発ベンチャーと協業し、映像理解AIカメラによる立入禁止エリアへの侵入検知も試行しました。

    

モビリティーオフィス内での遠隔操作
AIによる障害物検知の画面

 ■本取り組みの意義と今後の展開

◯本取り組みの意義

 遠隔・自動施工はこれまで、大規模で平坦な現場やテストフィールドなどの条件下での活用が中心でした。本取り組みは、地域の建設会社が日常的に担う狭小・急峻な砂防現場において、平時の施工手段としての実効性を検証した点に意義があります。実証を通じて、危険区域への立入ゼロと省人化を両立できることを確認しました。一方で、狭隘部における障害物の過検知や通信の安定性など、実用化に向けた課題も明らかになりました。いずれも、実際の現場で運用したからこそ得られた知見です。

 人口減少と高齢化が進む地方では、建設業の担い手不足が年々深刻化しています。インフラの維持管理と防災を担う地場建設会社にとって、省人化と安全性の向上は、地域を守り続けるための喫緊の課題です。鴻治組は、地域の建設会社自らが新技術を現場に実装し、その知見を地域に還元していくことが、持続可能な「地域の守り手」の姿であると考えています。

◯今後の展開

 今後は、自動クローラーダンプの複数台による協調運用や、より急勾配・不整地といった厳しい条件への適用拡大を進めるとともに、油圧ショベルやブルドーザによる掘削・積込み・転圧の自動化についても検討してまいります。フィジカルAIを活用した複数機の協調施工も視野に入れ、将来的には1人で3~4台以上の建機を管理する「施工のオートメーション化」の実現を目指します。

 また、本現場で得た施工データと知見は、EARTHBRAINをはじめ、発注者や地域の建設会社と共有し、技術の改善と運用ノウハウの蓄積に活かしてまいります。遠隔・自動施工が地域の建設会社にとって「特別な技術」ではなく「日常的な施工手段」となるよう、地域に根ざした建設会社の立場からその実用化と普及に向け貢献してまいります。

■コメント

◯株式会社鴻治組 取締役副社長 檜山直稔

「広島の砂防現場は、狭く急峻な地形の中で人と重機が近接して作業せざるを得ず、安全の確保と省人化が長年の課題でした。今回の実証では、作業員を危険区域に立ち入らせることなく、1人で2台の建機を運用できることを実際の現場で示すことができました。同時に、狭い現場ならではの課題も明確になり、今後の改善に向けた大きな手がかりを得ています。テストフィールドではなく、地方のリアルな現場だからこそ見えた課題も含め、確かな一歩を刻めたと考えています。

地域の建設会社が率先して先進技術を現場に実装し、その知見を地域や業界に還元していく。それこそが、これからの『地域の守り手』のあるべき姿だと考えています。創業から140年余り、地域のインフラと暮らしを守りながら挑戦を続けてきた地場建設会社として、今後とも『一歩先の建設へ。』を体現し、建設現場の未来を切り拓いてまいります。」

◯株式会社EARTHBRAIN 代表取締役社長 小野寺昭則

「今回、鴻治組様とともに、急峻で狭小な砂防現場において、遠隔操作と自動運転を組み合わせ、危険区域に人が立ち入ることなく、1人で2台の建機を運用する施工を実証できたことは、大きな一歩です。地域の安全を守る実際の工事現場で、新たな施工のあり方に挑戦された鴻治組様に、深く敬意を表します。

私たちが目指すのは、担い手が減少する中でも、安全性と生産性を高め、地域の建設会社がインフラをつくり、守り続けられる現場の実現です。今回明らかになった課題にも鴻治組様とともに向き合い、技術と運用の両面から改善を重ねてまいります。Smart Construction®を通じて、遠隔・自動施工を地域の建設会社が日常的に使える施工手段へと育て、建設現場の変革につなげてまいります。」

※1 EARTHBRAIN調べ(2026年10月時点)。EARTHBRAINの自動施工システムを傾斜地の砂防工事で運用した事例として。

※2 当社・EARTHBRAIN調べ(2026年10月時点)。移動式のモビリティーオフィスを拠点に遠隔操作建機と自動運転建機を組み合わせた施工として。

※3 国土交通省「i-Construction 2.0」(令和6年4月)、「砂防関係事業における遠隔・自動施工の推進検討委員会」中間とりまとめ(令和8年8月)

※4 Starlinkは、Space Exploration Technologies Corp.の商標です。その他記載の会社名・製品名は各社の商標または登録商標です。

■株式会社鴻治組について

1882年(明治15年)創業。広島を拠点とする総合建設会社として「一歩先の建設へ。」をスローガンに掲げ、マツダスタジアムをはじめ広島を象徴する数多くの建設工事を手がけてきました。近年は地域建設業のファーストペンギンとして建設DXに注力し、建機の遠隔施工や自動航行ドローン、現場での生成AI/フィジカルAI活用、建設用3Dプリンタの施工活用(国土交通省 令和7年度「インフラDX大賞」優秀賞受賞)など先端技術を駆使した働き方改革・生産性向上に積極的に取り組んでいます。

  • 社名:株式会社鴻治組

  • 所在地:広島県広島市安芸区船越南1丁目2番6号

  • 事業内容:総合建設業(土木・建築工事)

  • ホームページ:https://koujigumi.jp/

■株式会社EARTHBRAINについて

社名:株式会社EARTHBRAIN   
住所:東京都港区六本木一丁目6番1号 泉ガーデンタワー 29階
代表者:代表取締役社長 小野寺 昭則   
事業内容:建設業向けデジタルソリューション(現場可視化デバイス、プラットフォーム、アプリケーション)の開発、提供、保守など

ホームページ:https://www.earthbrain.com/

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会社概要

株式会社鴻治組

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業種
建設業
本社所在地
広島県広島市安芸区船越南1-2-6
電話番号
082-822-5211
代表者名
檜山典英
上場
未上場
資本金
9375万円
設立
1952年09月