ロマンス詐欺の“口説き文句”を使った啓発ポスター「こんなセリフにキュンときたら#9110」が公開

9月29日よりなんばマルイ大型ビジョンや大阪府下の各交番で順次掲出

ない株式会社

2025年9月29日 09時52分

「つまらない」「みっともない」「はしたない」など、あらゆるマイナス要素「ない」からコンテンツの企画・制作を行うない株式会社（所在地：大阪市淀川区、代表：岡シャニカマ）は、大阪府警察のSNS型ロマンス詐欺啓発ポスターとして『こんなセリフにキュンときたら#9110』を企画・制作しました。

本ポスターは、犯人が被害者を誘惑する際に実際に用いる「口説き文句」をそのまま使い、ロマンチックに聞こえる言葉こそが「詐欺の手口」であることを示すデザインとなっています。

2025年9月29日より大阪府下の各交番で順次掲示され、動画化したものはなんばマルイの「Grand Namba Vision（ACNビジョン）」でも放映予定です。

実際の犯行手口をもとに4種類の「キュン」とくるポスターを用意

啓発ポスターは、犯行グループが実際に用いる典型的なシナリオを4種類用意。被害者が目の当たりにする「口説き文句」と「設定」をそれぞれビジュアル化し、読者が“キュン”とした瞬間に「これは詐欺かもしれない」と立ち止まれる構成にしました。

異国の女性編

海外在住の女性が「二人の老後のために通販サイトへ出資してほしい」と持ちかけ、偽EC投資へ誘導する。

アイドル編

人気男性アイドルを名乗り「税金滞納で口座が凍結した…君しか頼れない！」と緊急送金を要求する。

軍人編

海外派兵中の軍人が「帰国したら家を建てよう。ただ渡航費が足りなくて」と渡航費名目で資金を求める。

NGO医師編

国境なき医師が「あなたの投稿で希望をもらったわ。仮想通貨を試して」と暗号資産投資へ誘い込む。

また、漫画の表紙を模したポスターデザインをもとに、啓発するためのノベルティとしてメモ帳を作成。裏面にも裏表紙のようなデザインを施し、より世界観がイメージしやすいあらすじなども表現することで、被害者側の目線を臨場感高く味わえる設計にしました。こちらは各警察署での防犯キャンペーン等で配布予定です。

「甘い言葉」で誘うロマンス詐欺

大阪府内のロマンス詐欺被害は近年、件数・金額ともに急激に増加しています。2023年に49億円だった被害額は、2024年には127億円へと約2.6倍に拡大し、2025年は上半期時点で110億円に達しました※1。被害者層も40〜60代を中心に男女双方へ広がり、2024年の統計では男性被害者が54％と女性を上回る結果となっています。

手口も巧妙化が進み、犯人は恋愛感情で信頼を獲得した後「一緒に資産運用しよう」と偽の投資サイトへ誘導し、架空の成功体験を演出するなど“成功体験型洗脳”で追加送金を迫ります。さらに、大阪はスマートフォン・SNSの利用率が全国最高水準であることや単身世帯の多さによる孤立感に加え、犯罪グループが関西圏を重点的な標的と位置づけていることが被害拡大の要因と指摘されています。

大阪府警察は被害防止のために「SNSでお金の話が出れば詐欺を疑い、おかしいと感じたら一人で判断せず家族や警察に相談してほしい」と呼びかけています※2。本ポスターでは、府民が甘いセリフに触れた瞬間に「むしろ危険信号では？」と気づけるよう意識啓発を図ることを目的としています。

※1 大阪府警察「特殊詐欺等の被害発生状況」（2025年6月速報値）
※2 大阪府警察本部公式サイト『ロマンス詐欺に注意！』

関係者メッセージ

大阪府下のSNS型ロマンス詐欺被害は、令和７年７月末時点において、被害件数は278件（前年同期比＋167件）、被害金額約32億円（前年同期比＋約21億円）であり、前年に比べ被害が倍以上に増加するという極めて深刻な状況です。この詐欺の特筆すべき点は、被害者の約9割が20代〜60代の現役世代ということです。その点を踏まえ、ない株式会社様に実際のロマンス詐欺で多用されている詐欺の言葉を用いた分かりやすく、そして現役世代が親しみやすいポップなデザインを考案していただきました。このデザインをポスターや府警のSNS等で広く展開し、被害防止に役立てていきたいと考えています。

大阪府警察本部　府民安全対策課　警部　井上信輔