法人口座、メガバンクとネット銀行で「来店必須」10倍差
〜経営者342名調査、メガバンク利用者30.7%が来店必須に苦労、ネット銀行は3.0%にとどまる〜

株式会社融資代行プロ(本社:東京都港区、代表取締役:岡島光太郎)は、自身が主体となって法人口座を開設し保有する経営者342名を対象に「法人口座開設の実態調査」を実施した。
近年、金融機関のマネー・ローンダリング対策強化や本人確認の厳格化を背景に、新興企業・中小企業が法人口座を開設できない、あるいは事務負担を強いられるという課題が社会的に注目されている。2026年5月には「事業性融資の推進等に関する法律」も施行され、企業の事業性をどう評価するかが金融機関の実務的論点となっている。
今回の調査では、約4人に1人にあたる24.9%の経営者が法人口座開設で「来店が必要だった」点に苦労したと回答した。さらに、利用する金融機関別にクロス集計した結果、メガバンク利用者の30.7%が来店必須に苦労した一方、ネット銀行利用者では3.0%にとどまり、業務オンライン化の進度に金融機関種別でおよそ10倍の差が生じていることが判明した。16.4%は過去に法人口座の開設そのものを断られた経験があると回答している。
1. 約4人に1人が「来店必須」に苦労、開設までは半数が1週間未満で完了
法人口座開設で「困ったこと」(複数回答可)を尋ねた結果、「来店が必要だった」が24.9%(85名)で最多となった。

次いで「必要書類の準備」21.3%、「審査基準がわからない」15.8%、「手続きの煩雑さ」15.2%が上位に並んだ。
一方、開設までの期間については「1週間未満」が52.9%、「2週間未満」までを含めると82.2%が比較的短期間で完了している。

完了までの時間が比較的短いにもかかわらず、来店という物理的な拘束が4人に1人を悩ませているという構造は、経営者が「窓口で半日を奪われる」体験そのものへの不満が大きいことを示唆している。
口座開設は事業活動の入口の手続きであり、本業を進めながらこれを処理する経営者にとって、来店の段取りそのものが心理的負荷となっている可能性が高い。
2. メガバンク30.7%・地方銀行27.8%、ネット銀行3.0%──業務オンライン化の10倍差
「来店が必要だった」と答えた経営者を、メインで利用する金融機関種別ごとに集計した結果、来店必須に苦労した割合はメガバンクで30.7%(127名中39名)、地方銀行で27.8%(97名中27名)、信用金庫で15.0%(60名中9名)と高水準だった。一方、ネット銀行利用者では3.0%(33名中1名)にとどまり、メガバンクとネット銀行のあいだにおよそ10倍の差が生じている。

数値で比較すると、地域経済を支える地方銀行で来店必須に苦労する割合は、ネット銀行のおよそ9倍。同じ「法人の口座開設」という入口の手続きでありながら、業態によって経営者にかかる工数が桁違いに異なる現状は、経営者が無意識のうちに「使える金融機関」と「使いにくい金融機関」を選別する材料になっている可能性が高い。
なお、メインで利用している金融機関の構成比はメガバンク37.1%、地方銀行28.4%、信用金庫17.5%、ネット銀行9.6%の順で、業務オンライン化が遅れている金融機関種別が依然として主要利用先となっている実態もうかがえる。
年代別に「来店必須」に苦労した経営者の割合を見ると、40代33.3%(最多)、50代26.6%、60代23.0%、70代以上19.1%と、現役世代ほど来店という形式に強い負担を感じている構造が浮かび上がった。
事業を最も活発に運営する世代において、本業の時間を窓口対応に充てるコストが企業活動の実質的な制約となっている可能性が高い(詳細はメガバンク融資の特徴解説記事にて分析)。
3. 16.4%が「開設を断られた」、断った理由の3割超が「説明なし」
過去に法人口座の開設を金融機関から断られた経験があると答えた経営者は16.4%(56名)に達した。1社で断られた経営者が11.1%、2社以上で断られた経営者も5.3%おり、複数行で連続して断られるケースも一定数存在する。

さらに、断られた56名に「考えられる理由」を尋ねたところ、最も多かったのは「理由を教えてもらえなかった」33.9%(19名)で、次いで「事業実績がなかった」26.8%、「資本金が少なかった」16.1%、「設立直後だった」14.3%が続いた。

3人に1人が金融機関側からの説明なしに開設を拒否されている状況は、経営者にとって改善余地の判断ができないまま事業の入口で足止めを受ける構造を生んでいる。
業種別では、サービス業の21.7%、教育業の23.1%、製造業の20.0%、情報通信業の14.8%が開設を断られた経験を持つ。事業性融資推進法が「過去実績ではなく将来性を評価する」方向に動いているなか、入口段階である口座開設の運用が同じ方向に整合しているかについて、業界内での議論が求められる局面にあると考えられる。
さらに、メインで利用している金融機関別に「過去に開設を断られた経験あり」の割合を集計したところ、ネット銀行利用者で36.4%(最多)、メガバンク18.9%、信用金庫18.3%、地方銀行4.1%(最少)と、来店必須では最も負担が低かったネット銀行が、開設拒否経験では最も高い結果となった。ネット銀行は来店という形式的負担は解消する一方で、書類審査の門は店舗型より厳しいという、二面性のある実態が浮かび上がっている。
対照的に、地域に根ざした地方銀行では拒否経験が4.1%にとどまり、既存取引履歴や地域内ネットワークを背景に開設が成立しやすい構造がうかがえる(調査記事の詳細)。
4. 自由回答から見える現場 ─「客観的資料を、と繰り返される」「犯罪者扱い」
自由回答からは、調査票上の数値だけでは見えにくい経営者のリアルな声が浮かび上がった。
「設立直後で契約書も請求書もない中、銀行窓口では『客観的な資料を』と繰り返されるばかり。架空会社を疑うような冷ややかな視線に、起業早々社会的な孤立感を味わいました」(20代・経営者)
「銀行として審査が必要というのは分かるが、まるでこちらが犯罪者かのごとくあれこれ追加資料を要求してくる事に大きな憤りを感じる」(60代・不動産業)
「口座がないと事業活動ができないのに、実績がないと開設できないと断られてしまった。特にメガバンクは断る口実にしているように感じた」(60代・建設業)
「最後の最後で『印鑑が必要』と言われ、家に取りに戻る往復30分が一番つらかった瞬間」(40代・金融・保険業)
「ネット銀行がとにかく便利でハードルが低い。ネット銀行を使いこなせない会社はむしろ信用できない」(50代・卸売・小売業)
KYC(本人確認)強化の流れの中で、提出書類の追加要求が反復的に発生し、経営者が本業に集中できない実態がうかがえる。一方で、9.6%にとどまるとはいえネット銀行を支持する声が一定数存在することは、従来の金融機関の業務プロセスが経営者の時間感覚と乖離している可能性を示している。
【調査結果】法人口座開設をめぐる4つの構造課題
今回の調査から、法人口座開設をめぐる以下の構造課題が浮き彫りとなった。
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来店必須など、経営者の時間を奪う手続きが約4人に1人に発生している
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メガバンク・地方銀行とネット銀行のあいだで業務オンライン化が10倍規模で二極化している
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開設を断られた経営者の3人に1人が、金融機関から理由の説明を受けられないまま門前払いを受けている
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サービス業・教育業・製造業など、特定業種で開設拒否経験が2割を超える
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ネット銀行は「来店の壁」を解消する一方で、開設拒否経験36.4%と書類審査の壁は最も厳しい二面性
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40代経営者の3人に1人が来店必須に苦労、現役世代ほど時間的負担を強く感じる構造
2026年5月に施行される「事業性融資の推進等に関する法律」が事業性評価を促進するなか、口座開設という入口段階の手続きにも、事業性を踏まえた柔軟な運用と、拒否理由の説明責任を含む透明性の確保が求められる時期に来ている可能性がある。
代表コメント(岡島光太郎)

融資のご相談を受ける中で、創業直後の経営者から『そもそも法人口座が開けない』『窓口で半日が消える』という声を伺います。口座開設は事業活動の最初の一歩であり、ここが詰まれば資金調達も取引も始まらない。今回の調査結果は、その入口で経営者の時間が消費されている実態と、業態間でおよそ10倍の負担差があることを示しています。一方で、金融機関のマネー・ローンダリング対策の強化は社会的に必要であるため、安易に緩和せよとも言えない現実もある。事業性融資推進の流れの中で、口座開設の運用から会社や経営者の将来性を評価し、事業活動を支援する方向へ整合させるべき局面に来ている。持続可能な仕組みが急がれる。
調査概要
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調査タイトル:法人口座開設の実態調査
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調査期間:2026年4月28日
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調査方法:インターネット調査(一部設問は複数回答可・モニター調査)
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調査対象:自身が主体となって法人口座を開設し、保有する経営者
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有効回答数:342名(不適切回答排除済)
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主要設問:メイン利用金融機関種別/金融機関を選んだ理由/開設完了までの期間/開設で困った点/開設拒否経験/断られた理由/苦労した点と経営者へのアドバイス(自由回答)
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回答者属性:経営者・役員100%/40代以上92.1%/業種上位はサービス業19.7%・商社小売業16.1%・不動産業14.4%・建設業10.3%
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注記:本リリース内の比率は、各設問の有効回答に対する選択率(小数第2位四捨五入)。クロス集計値は元データに基づき算出
会社概要
会社名:株式会社融資代行プロ
代表取締役:岡島光太郎
所在地:東京都港区南青山2-2 5F
事業内容:財務コンサルティング、融資コンサルティング、銀行融資コンテンツ制作
資本金:500万円
設立:2024年2月(創業2020年1月)
代表プロフィール
岡島 光太郎(株式会社融資代行プロ 代表取締役)
累計6,300社以上の資金調達・財務改善を支援。累計融資実行額33億円超。金融機関出身者を中心とする専門コンサルタントチームを率い、資金調達から条件設計までを実務レベルで支援する融資コンサルタント。
【本リリースに関するお問い合わせ先】
株式会社融資代行プロ / 広報担当
Email:info@financing.web-matching.com
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【引用・転載について】
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本リリース内のグラフ・数値の引用は、出典として「株式会社融資代行プロ『法人口座開設の実態調査』(2026年5月)」の明記を条件に自由です
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