企画展「上野駅と猪熊弦一郎の《自由》」3月1日(日)から丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開幕。
本展は猪熊が描いた上野駅の壁画《自由》に焦点を当て、その成り立ちから現在までをご紹介します。

JR東日本上野駅の中央改札には、猪熊弦一郎(1902-1993)の大壁画《自由》が掲げられています。1951年、戦後の混乱期に描かれたこの壁画は、東京の「北の玄関口」と呼ばれる上野駅の象徴的な存在となり、70年以上に渡って行き交う人々を見守ってきました。


物資不足で適した材料が調達できなかった制作当時の事情と、駅という開かれた環境によって、この壁画は傷みやすく、これまで三度修復が施され、存続が図られてきました。2025年5月に始まった三度目の修復では、壁画前に設置された「『自由』を修復しています」という横断幕が意味深長とSNSで話題になり、壁画自体も注目されました。
《自由》の修復を含め、現在リニューアル工事が進行するJR上野駅グランドコンコースでは、クリエイティブユニットSPREADが《自由》から採集した色彩を現代的にアレンジした色の組み合わせ「フリーダムカラー」を用いて空間全体の調和を図る計画も進んでいます。
本展では、上野駅の壁画《自由》に焦点を当て、その成り立ちから現在までをご紹介します。《自由》というタイトル、「絵画は独占するものでなくより多くの人々を喜ばせ、みちびくもの、多くの人々のためになるべきもの」という猪熊の言葉、それぞれに込められた画家の思いを再考する機会となれば幸いです。
本展の見どころ
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上野駅と壁画《自由》の歩みをたどる
1883年に開業し長い歴史を持つ上野駅と、1951年に制作され「北の玄関口」の象徴となった猪熊の壁画《自由》。上野駅の歴史を年表で紹介するとともに、壁画《自由》が駅の一部としてどのように関わってきたのかをたどります。
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壁画《自由》のスケールを体感する
スケール感を体感するため、幅約27メートル、高さ約5メートルに及ぶ壁画《自由》の外枠を、展示室の壁に原寸大で型取りします。あわせて、猪熊が北国の風物をモチーフに描いた壁画の一部を原寸大写真で展示します。
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壁画《自由》の修復作業の現場を紹介
三度目の大規模修復で行われた、普段は目にすることのできない緻密な修復作業の様子を、写真や実際に使用された道具とともに紹介します。
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「フリーダムカラー」による空間全体の調和
クリエイティブユニットSPREADが壁画《自由》から採集した色彩「フリーダムカラー」を用いて、空間全体の調和を図る計画を紹介します。
展示構成
1章 上野駅について
上野駅は、1883年(明治16)に開業し、2023年(令和5)に開業140周年を迎えました。長い歴史を持つ、東京を代表する駅の一つで、東北や北陸方面行きの列車が発着する東京の「北の玄関口」として親しまれてきました。多くの人が行き交う交通の要所でありながら、周辺には自然豊かな上野恩賜公園や多様な文化施設、古い町並み、情緒あふれる下町文化が広がっています。
今展では、上野駅の歴史を年表でたどり役割や特徴を紹介するとともに、その歴史に含まれる猪熊の壁画《自由》が駅の一部としてどのように歩んできたのかを概観します。
また、東日本旅客鉄道株式会社の協力により、同社が製作しJR上野駅構内で上映していた映像《上野発の名列車》も特別に展示し、上野駅の魅力に迫ります。
2章 壁画《自由》について

壁画《自由》が制作された経緯、当時の制作の様子、絵に込められた作者の思いなどを下絵や資料でご紹介します。
また、幅約27メートル、高さ約5メートルに及ぶ壁画の大きさを体感できるよう、壁画の外枠を原寸大で展示室の壁に型取り、そこに絵の一部を原寸大写真で再現します。
さらに、別の壁に一色で塗りつぶされたもう一つの原寸大の枠に、会期中の関連プログラムを通して、参加者が少しずつ線や色を加えていく予定です。
*関連プログラムを開催予定です。詳細は決まり次第お知らせします。




3章 これからの上野駅と壁画《自由》
現在、JR上野駅グランドコンコースでは、大規模なリニューアル工事が進行しています。そのなかで、壁画《自由》に関わるプロジェクトを2つ、ご紹介します。
①三度目の大規模改修
小さなカンヴァス画に施すのと同じ緻密で丁寧な修復作業が、巨大な壁画に対して半年以上かけて行われました。作業を担った「有限会社修復研究所二十一」は、前回、2002年の修復も手がけています。


有限会社修復研究所二十一
1972年創立。全国の美術館、博物館、個人等が所蔵する油彩画、水彩画、版画、デッサン、さらにこれらのカテゴリーに含まれない作品まで、多岐にわたる作品の修復を手がける。猪熊弦一郎作品の修復も数多く行っており、2008年には慶應義塾大学学生食堂の壁画《デモクラシー》の修復も担当した。
②フリーダムカラー
空間全体の調和を図るために、クリエイティブユニット「SPREAD」が《自由》から採集した色彩を現代的にアレンジした色の組み合わせ「フリーダムカラー」。その制作プロセスをご紹介いたします。


SPREAD
2004年に山田春奈と小林弘和が立ち上げたクリエイティブユニット。「あらゆる記憶を取り込み『SPREAD=広げる』クリエイティブを行う」ことをモットーとし、グラフィック、プロダクト、展示などのデザインやディレクションを手がける。2025年、四国村ギャラリー(高松)において「猪熊弦一郎 Form, People, Living 身の回りにある、秘密と美しさ」展のディレクションを担当。
関連プログラム
キュレーター・トーク
本展担当キュレーター(古野華奈子)が展示室で来館者に見どころをお話しします。
日時:2026年3月1日(日)、4月5日(日)、5月3日(日)、6月7日(日) 各日14:00ー
参加料:無料(別途、本展観覧券が必要です)、申込不要
親子でMIMOCAの日
高校生以下または18歳未満の観覧者1名につき、同伴者2名まで観覧無料となります。
日時:2026年4月25日(土)、26日(日) 各日10:00ー18:00(入館は17:30まで)
*その他関連プログラムは、開催が決まり次第、順次当館ウェブサイト等でお知らせします。
作家プロフィール

猪熊弦一郎(いのくまげんいちろう)
1902年 香川県高松市生まれ。少年時代を香川県で過ごす。
1921年 旧制丸亀中学校(現 香川県立丸亀高等学校)を卒業。
1922年 東京美術学校(現 東京藝術大学)に進学、藤島武二教室で学ぶ。
1926年 帝国美術院第7回美術展覧会に初入選する。
1936年 同世代の仲間と新制作派協会(現 新制作協会)を結成、以後発表の舞台とする。
1938年 渡仏、パリにアトリエを構える(〜1940)。滞仏中アンリ・マティスに学ぶ。
1950年 三越の包装紙「華ひらく」をデザインする。
1951年 国鉄上野駅(現 JR東日本上野駅)の大壁画《自由》を制作。
1955年 渡米、ニューヨークにアトリエを構える。
1975年 ニューヨークのアトリエを閉じ、東京に戻る。冬はハワイで制作するようになる。
1984年 上野駅開業百周年記念として《自由》が初めて修復される。
1989年 丸亀市へ作品1000点を寄贈。
1991年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館が開館。
1993年 逝去、90歳。
2002年 上野駅の大規模改修にあわせ、《自由》が修復される(2回目)。
2025年 上野駅グランドコンコースのリニューアルにあわせ、《自由》の修復が始まる(3回目)。
開催概要
展覧会名:上野駅と猪熊弦一郎の《自由》
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
所在地:香川県丸亀市浜町80-1
会期:2026年3月1日(日)ー6月28日(日)
開館時間:10:00-18:00(入館17:30まで)
休館日:月曜日(ただし、5月4日は開館)、5月7日(木)
観覧料:一般1,500円(団体割引1,200円、市民割900円)
大学生1,000円(団体割引800円、市民割600円)
高校生以下または18歳未満・丸亀市内に在住の65歳以上・各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
*同時開催の常設展「猪熊弦一郎展 20歳から90歳まで」の観覧料を含みます。
*団体割引は20名以上の団体が対象です。
*市民割は丸亀市民が対象です。チケットご購入時に証明する書類(運転免許証、保険証など)のご提示が必要となります。団体割引を含み、他の割引との併用は出来ません。
主催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
問い合わせ先:0877-24-7755

令和7 年度日本博2.0 事業(委託型)
チケット購入案内
本展の観覧券は、JR東日本が運営するオンラインチケット販売サイト「JRE MALLチケット」でもお求めいただけます。販売開始日が決まり次第、同サイトにてご案内いたします。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(愛称:MIMOCA)
1991年開館、30年を超える活動
1991年11月23日、JR 丸亀駅前に開館。同時代の新しい表現を積極的に紹介する「現代美術館」を望んだ猪熊弦一郎の考えを受け継ぎ、猪熊作品を中心とした常設展、現代美術にフォーカスした企画展、子どものためのワークショップなど、多彩なプログラムを展開しています。さらに、当館は猪熊弦一郎の遺した絵画やドローイングなど作品約2 万点を所蔵しています。猪熊が「対話彫刻」と名付けた小さな作品群、猪熊夫妻が各地で収集しその生活を彩っていたコレクションなどの多数の資料とともに、常設展や企画展を通して、猪熊の活動を深く、広く紹介しています。

現代美術に特化した美術館として
現代美術を中心とし、企画展として国内外のアーティストの活動を展観。これまでにヤン・ファーブル、マリーナ・アブラモヴィッチ、マルレーネ・デュマス、エルネスト・ネト、杉本博司、塩田千春、ホンマタカシ、石内都らの個展を開催する一方、金氏徹平、小金沢健人、志賀理江子、中園孔二ら気鋭のアーティストの紹介にも積極的に取り組み、近年では若手作家を対象とした公募展「MIMOCA EYE」を立ち上げました。また、同時代のクリエイティブな表現にも着目し、ファッションやファニチャーといったデザイン、現代建築にも拡張しています。

谷口吉生の設計による美しい建築
設計は、数々の美術館建築を手がけ、高い評価を受ける谷口吉生。猪熊との対話によって、アーティストと建築家の理念が細部に至るまで具現化されています。猪熊弦一郎の巨大な壁画《創造の広場》が眼を引く伸びやかなファサードは、駅前広場と建築をゆるやかに結びつけ、館内に入ると自然光をふんだんに取り込んだ、開放的な空間が広がります。2階には対照的なプロポーションをもつ2つの展示室があり、3階の天井高約7m の豊かなスケール感をもつ展示室へと続きます。
さらに、正面左側の大階段はアートへのさまざまなアプローチを可能にするパブリックな空間へと接続しています。2階のアートセンターには、ライブラリー、ホール、スタジオが備わり、3階最奥部にあるカスケードプラザとカフェも来館者に心地よい時間を提供します。

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