世界的建築家隈研吾氏設計、炭素繊維素材を用いた世界初の耐震補強構造~繊維会社が提案する新建材によるファブリック・ラボラトリー~「fa-bo(ファーボ)」
2015年11月13日(金)落成披露会開催
1968年に建築された小松精練の旧本社棟は、炭素繊維ロッドで布を組成するイメージの外観として生まれ変わります。耐震補強に用いた「カボコーマ・ストランドロッド」は、先端素材の炭素繊維を芯地に使用し、外層を無機繊維でカバーリングしたものに熱可塑性樹脂を含浸させ作製した熱可塑性炭素繊維複合材料です。新建材として提案する「カボコーマ・ストランドロッド」は、内外装に用いることで繊細でしなやか且つ強靱な構造体を実現します。また、この「ファーボ」内には、ニーズに応えてきた歴史や、未来を見据えたファブリックのビジョンを通じ、小松精練の使命を探る場も設けられます。今回、「ファーボ」をつくるにあたり、建築家・隈研吾氏(東京大学教授)に協力を得て、構造やデザインの設計に着手。地面と既存躯体をつなぎ、ドレープをモチーフとし、建物がレースを纏っている様な軽やかな外観を実現。新たな耐震補強のイメージ醸成を狙います。また、断熱性や遮音性にも優れているエコ建材「グリーンビズ」を外構や屋上庭園に採用、緑豊かな環境を整備するとともに機能性も充実した建築物となります。
小松精練代表取締役社長 池田哲夫は、「建築材料の多くを輸入に頼らざるを得ない日本。その中で炭素繊維強化プラスチックは、国際競争力の中心建築素材の可能性を秘めています。炭素繊維の軽く、強く、錆びない特徴は、近い将来、日本の繊維業界で最も優れている点と評価されると思います。また、今回のファーボを通じて、建築業界での認知拡大と高性能建材として普及させ、新たな雇用機会の創出を生み出したい。」とコメント。また、設計に携わった隈氏は、「炭素繊維を建築改修に用いたのはファーボが世界初でしょう。小松精練には炭素繊維分野でも、日本の技術を紡ぎ出す新素材を世界に売り込むパイオニアになってほしい。また、炭素繊維が実現する未来のしなやかな耐震補強に期待したいです。」とコメント。
小松精練では、「ファーボ」を地域の繊維産業の歴史を学び素材や技術を伝承する場とするとともに、未来を創造し、ファブリックの可能性を引き出す空間として活用していきます。
■ファブリック・ラボラトリー「fa-bo(ファーボ)」概要
・設計 / 管理者 :隈研吾建築都市計画事務所
・施工者 :清水建設株式会社
・構造設計者 :江尻建築構造設計事務所
・施工期間 :2015年2月12日(木)~11月10日(火)
・竣工披露式典 :2015年11月13日(金)
・構造 / 規模 :鉄筋コンクリート造・地上3階
・面積等 :敷地面積 67,713㎡ ・建築面積:959㎡ ・延床面積:2,873㎡
カボコーマ・ストランドロッドの全長:3万m ロッドに使用した炭素繊維の総m数 63万m
エコ建材と世界初の熱可塑性炭素繊維複合材料カボコーマ・ストランドロッドによる耐震補強
世界的建築家 隈研吾氏設計によるファブリック・ラボラトリー「ファーボ」
■建築設計の基本方針
1.新素材を用いた新しい耐震補強とデザインの融合
先端材料の炭素繊維を使用したロッドで、繊細でしなやか且つ強靭な新しい建築の姿とする。
①建物を外から支える柔らかな外観デザイン。地面と既存躯体を繋ぎ、構造とデザインが一本化したドレープ状の新しい建築。
②建物を内から支える『透ける耐震壁』コンクリート耐震壁の重いイメージを刷新する新たな耐震補強工法に挑戦。
③炭素繊維ロッドで緩やかに空間を区切り、人と環境を柔らかく繋げる。
2.産業ツーリズムの中心となる施設
当社の製品だけでなく、繊維産業について学ぶための施設をつくる。
①産業ツーリズムの中心施設にふさわしいシンボリックな外観デザイン。
②アーカイブを新設し繊維産業や当社に関する様々な展示。
③工場内部を見下ろせる2階のオープンスペースや3階のワークショップスペースなど、繊維産業を身近に体験する。
3.エコロジカルな最新技術の導入
当社の建材を使用した環境にやさしい建築とする。
①軽量で断熱・吸音材としての役割も持つ『グリーンビズ』を、外構及び屋上庭園に用い緑豊かな環境をつくる。
②リサイクル可能な素材である炭素繊維ロッドを使用し、建物の内外で耐震補強と改修を行う。
世界的建築家 隈研吾氏プロフィール
<プロフィール>
氏名:隈研吾(くま けんご)
1954年横浜生まれ。1979年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、2001年より慶應義塾大学教授。2009年より東京大学教授。1997年「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」で日本建築学会賞受賞、同年「水/ガラス」でアメリカ建築家協会ベネディクタス賞受賞。2002年「那珂川町馬頭広重美術館」をはじめとする木の建築でフィンランドよりスピリット・オブ・ネイチャー 国際木の建築賞受賞。2010年「根津美術館」で毎日芸術賞受賞。近作にサントリー美術館、根津美術館、歌舞伎座。著書に「自然な建築」(岩波新書)「負ける建築」(岩波書店)「新・都市論TOKYO」(集英社新書)『建築家、走る』(新潮社)『僕の場所』(大和書房)
■隈研吾氏からのコメント
1.小松精練とのコラボレーションに至った経緯とは?
小松精練が開発した産廃物を活用した建材“グリーンビズ”を紹介されたことがキッカケです。この材料の開発コンセプト、優れた機能、素朴な質感などが気に入りました。サステナブルな社会を作ってゆくために、これからの建築は材料から見直すべきだと考えていたので、自然とコラボレーションする機会が増えて行きました。何より中山会長の熱意に動かされたことも大きいです。
2.グリーンビズ を用いた建築の特徴とは?
グリ-ンビズを使った屋上緑化や壁面緑化を使っています。富山のカフェの屋上を緑化したのですが、薄い基盤材なので庇の様な意匠にしたが、これが格好良いし、断熱や遮音、吸音など中にいる人たちにも優しいものにすることが出来ます。凄く見えないけど、実は凄いところが面白いと思っています。
3.炭素繊維ロッドを用いた耐震補強、震災対策への可能性について
炭素繊維複合材は、飛行機や車にも使われている世界に誇るメイド・イン・ジャパンの材料なのに、日本では規制があって建築では使えない。そんなバカな話があるかと思って、今回の案件に挑戦することにしました。地震国日本での耐震補強は必要です。しかし鉄骨やコンクリートなど無骨なものばかりで、景観上大きな問題と感じています。今回は繊維を扱う小松精練らしく、建物がレースを纏っている様な涼しげなイメージに仕上げました。外装だけでなく内装にも炭素繊維を試耐震壁として使用する試みで更に補強効果を高めています。
グリーンビズについて
■グリーンビズとは
“グリーンビズ”は、染色産業の廃棄物(余剰バイオマスケイク)を有効利用し開発された超微多孔性の発泡セラミックス基盤です。地球環境の保護・保全に対する企業姿勢が問われる中、環境保全、環境づくりを経営の最重要課題の一つとして挙げる小松精練が2009年より販売を開始。2015年5月時点で屋上及び屋上緑化材として39,000㎡、駐車場等の路面材として75,000㎡の導入実績となっています。2013年(グリーンビズ)、2014年(グリーンビズG)と2年連続グッドデザイン賞を受賞しています。
小松精練株式会社 会社概要
小松精練は、1943年の設立以来『モノ』ではなく『技術を売る』企業として、積極的な研究開発とマーケットの開拓に取り組み、現在では主力の繊維・高分子技術をもとに、ファッション、スポーツ、インテリア、生活資材、医療・福祉、エレクトロニクス、車両内装材、環境関連事業など、多彩な事業領域をカバーするファブリック&環境共生素材メーカーです。
■会社名 :小松精練株式会社
■設立 :1943年(昭和18年)10月
■代表取締役社長 :池田哲夫
■年商 :366億円(2015年3月期:連結)
■従業員数 :1,268名(2015年3月期:連結)
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