世界初*!白い花を咲かせるラベンダー「美郷雪華」由来の化粧品原料(植物エキス)の開発
*美郷雪華を由来とした水溶性植物エキスは世界初(自社調べ:2023年3月)
コスモビューティー × 大阪医科薬科大学薬学部 共同開発
・美郷雪華について
白色のラベンダー「美郷雪華」は、主に観賞用として秋田県美郷町で栽培されている「さきがけ」という品種の中に、突然変異により白く咲いた個体が発見された事から始まります。この花を挿し穂によって株を増産させることに成功し、日本固有の品種として登録が行われました(図1)。
化粧品OEMを手掛ける株式会社コスモビューティー(本社 大阪市中央区 代表取締役社長 山添 隆)と、大阪医科薬科大学薬学部にある臨床漢方薬学研究室(大阪府高槻市)では2021年から、この「美郷雪華」が含有する成分に着目し、化粧品用原料の開発を行ってきました。
図1. 美郷雪華(左)と従来の紫ラベンダー(右)の乾燥素材
2022年には大手外資系の化粧品メーカーがホワイトラベンダーの香りをコンセプトにした化粧品を販売したこともあり、化粧品業界でも白いラベンダーの認知は広がっていますが、肌への有用性があるエキスは確認できておらず世界初の原料となります。
また、一部は香料として利用されているものの主に観賞用として栽培されている美郷雪華は、栽培後に刈り取って廃棄されていることから、貴重な資源の再利用を目的として花を美郷町から譲渡していただき、サスティナブルな原料として活用することにも繋がっています(図2)。
図2.美郷雪華の花と確認された含有成分
・共同研究について
大阪医科薬科大学薬学部との共同研究では、美郷雪華には様々なポリフェノール類や特徴的な成分を発見しました。これらの成分が持つ特徴として抗酸化性を有しており、エキス自身にも抗酸化活性が見込まれることから、紫外線による光老化や、活性酸素種による酸化ダメージへの効果が期待されます。我々は美郷雪華エキスが抗酸化活性を持つ事を証明し、その潜在的能力から抗老化への有効性があると仮定して、研究を進めていきました。
・研究内容
1.抗酸化活性試験
美郷雪華エキスを用いて抗酸化活性試験を行いました。試験方法は同仁化学のSOD Assay Kit-WSTを用いて試験を行いました。エキス無添加の試験区に対して、美郷雪華エキスを添加した場合、0.47 μg/ml以上では有意にSOD様活性を示すことが確認されました。これは、美郷雪華エキスが、細胞内の活性酸素種を除去する酵素SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)と同じような効果を持っていることを示しております。この試験結果から、美郷雪華エキスには抗酸化活性を有することが確認されました(図3)
図3.ラベンダーエキスの抗酸化活性(SOD様作用)
試験方法:SODアッセイ
エキスを96ウェルマイクロプレートに添加し、発色試薬(テトラゾリウム塩)とSODを添加後、37℃で20分インキュベートしたのちにマイクロプレートリーダーで450 nmの吸光度を測定し、SOD阻害率を算出した。
2.インフラマエイジングに対する美郷雪華エキスの効果
お肌には酸化ダメージの蓄積により微弱な炎症が発生していることが考えられます。そして、その微弱な炎症が慢性化することで老化が進行する「インフラマエイジング」という現象に着目をしました。インフラマエイジングの特徴として、老化細胞が放出する因子である細胞老化関連分泌形質(Senescence-Associated Secretory Phenotype:以下SASP因子)が周辺の細胞に放出することで発生しています。このSASP因子にはIL-6やIL-1βといった炎症性サイトカインといった周辺細胞や免疫系に作用し、炎症を引き起こす原因の一つとなっております。新生児由来の細胞よりも老人由来の細胞からこれらの炎症因子を含むSASP因子が放出されることが知られており、加齢とともにお肌に微弱な炎症が慢性的に起こっていることが言えます。さらにこのSASP因子を新生児由来細胞に添加すると老化マーカーが増殖する事から、老化細胞が周辺の細胞に対して老化を促進することが言えます。すなわち、これは微弱な炎症(インフラマトリー)と老化(エイジング)を掛け合わせた「インフラマエイジング」が加齢とともに進行していることが言えます(図4)
図4.インフラマエイジングのメカニズム
美郷雪華エキスには抗酸化活性を有することが確認されたことから、このエキスには紫外線や活性酸素種といった酸化ダメージを抑制する効果を持っているといえます。インフラマエイジングは炎症と老化がともに引き起こされることから、シワとシミの原因となり、生活の質(Quality of Life:QoL)を下げる原因にもなっております。我々はこのインフラマエイジングを解消する事で、抗老化効果を見出すことができると考え、SASP因子をスクリーニングし、そのうちの一つであるIL-6と美郷雪華エキスの関係に着目しました。
3.美郷雪華エキスが持つIL-6分泌抑制効果
IL-6はSASP因子の一種であり、主な働きとして周辺細胞に炎症を誘発することが報告されています。細胞が酸化ダメージを受けた時、細胞からIL-6が分泌され、免疫応答や周辺細胞への炎症をパラクリン(近隣細胞へ因子を拡散し、直接作用させる働き)的に伝達し、炎症と老化の誘導が始まります。その時、IL-6が及ぼす影響は、お肌の弾力や保水性を保つコラーゲンとエラスチンの分解、炎症による色素細胞(メラノサイト)への刺激による色素沈着・シミの原因になることが考えられます。美郷雪華エキスがこのIL-6を抑制すれば、最終的には抗シワ・シミ化粧品としての効果が期待されます。実際に、酸化ダメージによる老化誘導した細胞を用いてELISA法を用いてIL-6の分泌抑制効果を確認しました(図5)。
図5.美郷雪華エキスによるIL-6の分泌抑制効果
試験方法:ELISAアッセイ
線維芽細胞を播種し、過酸化水素で老化誘導を行った後に上清培地を用いてIL-6をELISAアッセイで検出した。
この結果から、美郷雪華エキスはIL-6の分泌を抑制する事が確認できました。これは美郷雪華エキスが酸化ダメージから始まるインフラマエイジングを抑制する事が言えます。簡単に述べますと、美郷雪華エキスの効果として、老化誘導した細胞からIL-6の分泌を抑える役割は周辺細胞への老化誘導に対する抑制効果があるといえます(図6)。
図6.美郷雪華エキスの効果美郷雪華エキスが今後期待できること
美郷雪華エキスは結論から申しますと、老化誘導細胞に対してIL-6の分泌を抑制する事から、シミとシワの抑制効果が期待されます。シワが形成するメカニズムは活性酸素種が細胞に酸化ダメージを与えることで炎症を起こし、コラーゲンとエラスチンを分解する酵素の分泌や、合成能力の低下が原因と言われております。
シミが発生するメカニズムは、シワと同様、酸化ダメージによる炎症から発生します。酸化ダメージを受けた表皮の角化細胞は炎症因子(SASP因子を含む)を用いて色素細胞(メラノサイト)を刺激し、メラニン色素の合成を促進させます(図7)。最近では真皮由来の細胞からの炎症因子がメラノサイトを刺激することが報告されています。
図7.酸化ダメージによる炎症と老化の仕組み
これらの要因から美郷雪華エキスは炎症因子の一種でありSASP因子であるIL-6の分泌を老化細胞から抑制する効果は、シワとシミの形成メカニズムの入口を防ぐ役割を果たし、抗老化化粧品原料として大きく期待されます(図8)。結論として弊社と共同研究を行った大阪医科薬科大学薬学部の臨床漢方薬学研究室は美郷雪華エキスがインフラマエイジングによる効果が期待できる化粧品原料を開発しました。
図8.美郷雪華エキスに期待できる抗老化作用
今後は、共同開発した美郷雪華エキスを弊社の特色として化粧品への配合を行い、展開を進めていきます。インバウンドが崩壊する前はメイドインジャパンの化粧品が高く評価されてきました。2023年には新型コロナによる入国規制や感染症予防の緩和から、再びインバウンドが訪れる事を予想し、この美郷雪華エキスも日本産である特色から、より強いコンセプト×有効性の訴求として展開を広げていきます。
【企業情報】
株式会社コスモビューティー
主な事業 化粧品・医薬部外品・医薬品・化成品の OEM
代表取締役 山添 隆
本社住所 大阪市中央区本町 1-1-1 OCT ビル
従業員数 1200 名(グループ全社/パート・アルバイト含む)
web サイト:http://www.cosmobeauty.co.jp
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