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新田ゼラチン株式会社
会社概要

“世界初のコラーゲン人工腱゛の研究開発に挑む

コラーゲン製人工腱を用いた靱帯再建術の実現を目指して、北海道大学産学・地域協働推進機構内に『バイオマテリアル構造設計部門』を開設

新田ゼラチン株式会社

新田ゼラチン株式会社(代表取締役社長:尾形浩一、本社:大阪府八尾市)は、世界初となる靱帯再建術用コラーゲン製人工腱(以下、「コラーゲン人工腱」という)の研究開発を目的に、北海道大学産学・地域協働推進機構内に「バイオマテリアル構造設計部門」(以下、「部門」という)を2022年4月1日より開設しました。本部門において、靱帯断裂や損傷等を受傷したスポーツ選手をはじめ一般患者への靱帯再建術で使用するコラーゲン人工腱の研究開発を行います。このコラーゲン人工腱を用いた靱帯再建治療により、従来の自家腱移植術等による患者の負担を減らし、多くの患者が元の運動機能を取り戻せるよう北海道大学と協働してまいります。

■背景・経緯

弊社は、未来の医療への貢献を目指して、高い品質と安全性を備えたコラーゲン・ゼラチンを人工骨や人工皮膚等の医療機器用や、ドラッグデリバリー用ゲルとして製品を提供しつつ革新的技術の開発に取組んできました。一方、これまでコラーゲンから靱帯の再建術等に用いられる移植腱の代替えとなる材料を作製するには、強度や微細構造が不十分となることが課題で、難しいとされてきました。この度、本部門の特任教授に就任する柚木俊二氏および北海道大学病院スポーツ医学診療センター近藤英司教授が、世界に先駆けて成し遂げたコラーゲン線維ゲルの連続成型技術によりこの課題を解決し、移植腱と同じように機能するコラーゲン材料を製造し、これを用いることで自家腱移植が不要な靱帯再建術の実用化を目指すことになりました。

■北海道大学での懇話会開催
本部門開設にあたり、本年4月8日に北海道大学内事務局にて、同大学総長 寳金清博氏と懇話会を行いました。懇話会では、本研究開発を進める上で想定される課題や、実用化された際の患者負担の軽減に対する期待について意見交換する等、将来の事業化へ向けて具体的な議論が交わされました。

■北海道大学 バイオマテリアル構造設計部門開設の理由
(1)産業創出部門のユニークな仕組み
従来の寄付講座を発展させた北海道大学独自の仕組みであり、スタッフ人選、テーマ選定、知財等に対して弊社が北海道大学と力を合わせて取組むことができ、短期間で目的の成果を得ることが期待できます。また北海道大学は、保有する先端研究設備および技術職員の持つ専門的かつ高度な分析・解析/ 成型・加工技術の高度化とオープン化を推進するため、グローバルファシリティセンター(GFC)を整備しており、本部門を開設することにより部門研究員はGFCを活用でき、研究の効率化と加速を図ることができます。

北海道大学グローバルファシリティセンターのサイトへ:  https://www.gfc.hokudai.ac.jp/

(2)北海道大学大医学部・整形外科との連携
北海道大学病院スポーツ医学診療センター・近藤英司教授との緊密な連携を図るうえで、コラーゲン 人工腱開発同大学内で実施することに意義があります。近藤教授は、靱帯再建術の研究および臨床において世界の最前線で活躍しており、コラーゲンや高強度ゲルなど生体適合性材料の応用研究において豊富な実績があります。また柚木氏とは10年以上の共同研究歴があり、緊密な連携体制を構築済です。

■本部門でのコラーゲン靱帯研究・開発について
(1)現在の靱帯再建術の課題
膝前十字靱帯断裂等はスポーツ時の受傷が大半で、その治療は外科手術による移植再建術が主流となっており、現在の靱帯再建術とその課題は以下の通りです。
自家腱移植:              患者本人の腱(膝屈筋腱、膝蓋腱など)を採取し、断裂した膝靱帯の代わりに腱移植により靱帯を再建する現在主流の手術。移植した腱は膝関節内でリモデリング(組織再構築現象)を生じ、徐々に靱帯組織へと変化するため成績が良好であるというメリットがあるが、患者にとっては正常な腱を犠牲にしなければいけないという侵襲性(負担増)という課題がある。
人工靱帯移植:                 合成高分子(ポリエチレンテレフタレート等)製の人工靱帯で断裂した靭帯を置き換えるもので、初期強度こそ高いものの、生体内の様々な生理的反応を受け経年劣化し、関節疾患が生じたり、断裂に至るリスクがある。

(2)これまでのコラーゲン人工腱の研究成果
断裂した靱帯の機械的機能のみを代替えする合成高分子製の“人工靱帯”に対し、コラーゲン人工腱とは、精製コラーゲンから加工・製造することにより、自家腱移植と同様のリモデリングを受けて靱帯化する性質を持つ革新的なバイオマテリアルです。

ヒトの靱帯や腱は配向コラーゲン線維が階層化された束であるため、コラーゲン線維の配向化技術とファイバー作製技術を基にした人工腱開発が、1990年前後から始まりました。強磁場、電場、延伸、せん断応力、電界紡糸、湿式紡糸など多彩な技術が応用されてきました[1]が、配向した線維は得られるものの量産性や微細構造に問題があるか、あるいはファイバーを連続成型できても腱のような線維配向性を示さないという限界がありました。このように配向コラーゲンによる人工腱はまだ基礎研究の段階にありましたが、自家腱による靱帯再建術が普及するにつれて研究論文発表が急速に増えつつあります。これらの先行技術に対し、柚木氏が北海道大学医学部の近藤英司教授と開発した技術[2,3]は、世界に先駆けて紐状配向コラーゲン線維ゲルの連続成型を可能にしました(画像1)。その後の研究で、コラーゲン線維が高度に配向した強靭なファイバーの作製にも成功し、精製コラーゲンからコラーゲン人工腱を開発するファブリケーション技術において、世界のトップランナーとなっています。

また、自家腱移植術を行うと移植腱のコラーゲン構造が変化することで力学特性が低下することが解っていますが、そこから移植腱のコラーゲン構造が再構築されるリモデリング現象を経て、最終的には高い力学特性が達成されスポーツへの復帰等が可能となります。このリモデリング現象の鍵となるのが外来性細胞(周囲から入ってくる細胞)であることを、種々の動物実験により明らかにしてきました[4]。

(3)精製コラーゲン分子からコラーゲン人工腱製造過程のイメージ

 

(4)コラーゲン人工腱移植の実用化の意義
コラーゲン人工腱は臨床現場に常備できる上、これまでの研究成果から移植後には自家腱同様のリモデリングが期待できます。現在主流の自家腱移植や人工靭帯の課題を解決できる可能性があり、多くの患者が元の競技パフォーマンスや運動機能を取り戻すことへの貢献が期待されています。

■膝前十字靱帯再建術の症例数
国内で、膝前十字靱帯再建術を受けている患者(靱帯断裂形成手術): 約18,000例(2017年度データ)
米国では約170,000例/年と推定。

■開発スケジュールと展望
2024年度には、コラーゲン人工腱の製造技術確立と動物に対する実証試験を開始し、2027年度中の事業化を目指しております。なお、原材料となるコラーゲンは、みらい館*での製造を行います。

 


みらい館:弊社が2022年秋の竣工を目指して建設中で、バイオメディカル製品の研究・開発・生産機能ならびに全事業部門の研究・開発機能を集約し、新事業につながる製品の創出を図るための新研究棟。






■■■ 新田ゼラチンについて ■■■
1918年の創業以来100年以上、コラーゲンの“無限の可能性”を追求し、研究開発を続けてきた大手コラーゲン・ゼラチンメーカー。いつまでも元気で若々しくありたいと願う世界中の人の願いを叶えることを目指し、製品やソリューションを食品、健康食品、バイオメディカル市場に提供すると共に、コラーゲンの研究を通じて新たな価値生み出し、社会課題の解決に取組んでいます。

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https://www.nitta-gelatin.co.jp
業種
製造業
本社所在地
大阪府八尾市二俣2丁目22
電話番号
072-948-5381
代表者名
尾形浩一
上場
東証スタンダード
資本金
31億4492万円
設立
1918年01月
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