biomy、NVIDIAの技術協力により、ヒト腫瘍微小環境を再現するAI創薬基盤「Virtual Cell」の開発を推進

― 空間マルチオミクス解析の高速化から、AIエージェントによる仮想摂動シミュレーションへ ―

株式会社biomy

株式会社biomy(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小西 哲平、以下「biomy」)は、NVIDIAとの技術協力のもと、ヒト腫瘍微小環境を計算機上で再現することを目指すAI創薬基盤「Virtual Cell」の開発を推進していることをお知らせいたします。

本取り組みでは、公益財団法人がん研究会との連携を通じて取得を進める臨床組織検体を基盤に、遺伝子発現、タンパク質発現、病理画像などを統合した空間マルチオミクスデータの構築を進めています。これらのデータをもとに、がん細胞、免疫細胞、間質細胞などが複雑に相互作用するヒト腫瘍微小環境をAI上で再現し、従来の単一モダリティ解析では捉えきれなかった腫瘍組織全体を統合的に理解することで、創薬標的検証、薬効予測、耐性機序解析への応用へとつなげていく計画です。

biomyは、NVIDIAのAIインフラおよびライフサイエンス向けAIソフトウェアエコシステムを活用し、これまで計算負荷が大きな制約となっていた空間マルチオミクス解析の高速化・大規模化に取り組んでいます。すでに解析ワークフローの一部において、従来のCPUベース処理と比較して最大90%の処理時間削減を確認しています。今後は、こうした高速化基盤の上で、現在開発を進めているVirtual CellとAIエージェントを組み合わせた仮想摂動シミュレーションの実現へと発展させていく計画です。

本取り組みの背景

がん領域の医薬品開発では、基礎研究や前臨床試験で有望とされた創薬標的や薬剤候補が、臨床試験では十分な有効性を示さないケースが大きな課題となっています。その背景には、従来の2D細胞培養や動物モデルでは、患者体内に存在する腫瘍微小環境の空間構造、細胞間相互作用、免疫応答、薬剤耐性機序を十分に再現できないという前臨床再現性の壁があります。

biomyは、こうした前臨床再現性の課題に対し、AI for Scienceのアプローチによる解決を目指しており、その中核となる基盤としてVirtual Cellの開発を進めています。ヒト臨床組織に由来する空間マルチオミクスデータを用いて腫瘍微小環境を計算機上に再構築し、特定の遺伝子、細胞集団、薬剤介入が腫瘍組織全体に与える影響を予測できる基盤の実現に取り組んでいます。

これにより、従来のオミクス解析や病理画像解析では捉えきれなかった、細胞状態、空間配置、細胞間ネットワーク、薬剤応答の関係性を統合的に解析し、より臨床外挿性の高い創薬仮説の創出につなげていきます。

NVIDIAとの技術協力

スタートアップ向けのNVIDIA Inceptionプログラムのメンバーであるbiomyは、NVIDIAとの技術協力のもと、Virtual  Cellの開発を行って     います。この協力は、大きく「基盤モデル学習の効率化」と「AIエージェントの構築」という二つの領域にわたります。

1. 基盤モデル学習の効率化

Virtual Cellの構築には、臨床組織検体から得られる高次元かつ大容量の空間マルチオミクスデータを処理する必要があります。特に、遺伝子発現、タンパク質発現、病理画像などの異なる種類のデータを統合して解析する過程では、計算負荷の高い多段階の処理が連続して発生します。

biomyは、NVIDIAの技術チームによる支援のもと、single-cell解析ワークフローにGPUアクセラレーションを統合するためにNVIDIA CUDA-X for Data Scienceライブラリを導入し、空間マルチオミクスデータ処理基盤の最適化を進めています。

その結果、biomyの解析ワークフローの一部において、従来のCPUベース処理と比較して最大90%の処理時間削減を確認しました。これにより、より多くの臨床検体、より多層の分子情報、より高解像度の空間情報を統合したVirtual Cell開発を、現実的な計算時間で推進することが可能になります。

2. AIエージェントの構築

あわせてbiomyは、NVIDIAのライフサイエンス向けNVIDIA BioNeMo Agent Toolkitを活用し、創薬研究を支援するAIエージェントの構築を進めています。NVIDIA Nemotronオープンソースモデルをはじめとする大規模言語モデルやエージェント開発のための技術を取り入れ、研究者の解析業務や仮説検討を支援するAIエージェントの開発に取り組んでいます。

biomyは今後、現在構築を進めているVirtual Cellを、AIエージェントによる仮想摂動シミュレーションへと段階的に拡張していく構想です。

具体的には、Virtual Cellが実現した際には、その基盤上で、特定遺伝子の発現抑制、細胞集団間相互作用の変化、薬剤介入に伴う腫瘍微小環境の応答をインシリコで予測し、有望な創薬標的やバイオマーカー候補を効率的に抽出できるようにすることを想定しています。

さらに、こうしたAIエージェント技術の活用により、研究者が自然言語で仮説を入力し、AIが解析計画の立案、仮想摂動条件の提案、シミュレーション結果の解釈、追加実験候補の提示を支援する次世代型AI創薬ワークフローの実現にもつなげていきます。

biomyは、Virtual Cellを、単なるデータ解析基盤にとどまらず、創薬仮説の生成、検証、優先順位付けを支援するAI創薬プラットフォームへと発展させていくことを構想しています。こうした計算科学と実験科学の統合を通じて、より臨床外挿性の高い創薬仮説の創出を支援する、日本発の次世代AI for Science創薬基盤の構築を目指します。

コメント

株式会社biomy 代表取締役社長 小西 哲平は、次のように述べています。

がん創薬における課題の一つは、前臨床で得られた知見が、必ずしも臨床で再現されるとは限らない点にあると考えています。私たちは、ヒト臨床組織に由来する空間マルチオミクスデータと、AI・GPU計算基盤を組み合わせることで、腫瘍微小環境を計算機上に再構築し、より臨床外挿性の高い創薬仮説の創出につなげられればと考え、Virtual Cellの開発に取り組んでいます。

NVIDIAとの技術協力により、これまで制約となっていた大規模空間データ処理の高速化が進みつつあり、Virtual Cellの開発も着実に前進しています。Virtual Cell 基盤モデルの開発と、AIエージェントによる仮想摂動シミュレーションへの展開を目指し、日本発の次世代AI創薬基盤として、世界のがん医療と医薬品開発に少しでも貢献できるよう取り組んでまいります。

 

注記

※最大90%の処理時間削減は、biomy社内の特定解析ワークフローにおいて、従来のCPUベース処理とGPU高速化後の処理時間を比較した結果に基づきます。効果はデータサイズ、解析条件、ハードウェア構成により異なります。

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会社概要

株式会社biomy

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URL
https://www.biomy-tech.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都中央区日本橋本町3丁目8番3号 ライフサイエンスビル3 8F
電話番号
-
代表者名
小西哲平
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年11月