アルファフュージョン、神戸市立医療センター中央市民病院と共同でAt-211治験薬供給体制を構築
af-001企業主導治験開始に向け、規制許可取得を経て技術移転・試験製造を推進
アルファフュージョン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:藤岡 直、以下「アルファフュージョン」)は、アスタチン-211(以下「At-211」)を用いた治験薬の国内供給体制を独立地方行政法人神戸市民病院機構神戸中央市民病院(所在地:兵庫県神戸市中央区、病院長:木原 康樹、以下「神戸市立医療センター中央市民病院」)と共同で立ち上げたことを発表します。これにより、世界初(※2025年9月現在)のAt-211を用いた企業主導治験に向けた基盤構築が大きく前進しました。
神戸市立医療センター中央市民病院は、原子力規制庁からAt-211の使用許可を取得し、アルファフュージョンのリードパイプラインであるaf-001(分化型甲状腺がん対象)の臨床試験開始に向け、技術移転および治験薬の試験製造を進めています。At-211創薬を実臨床へと繋げる体制が世界に先駆けて整いつつあります。
世界初のAt-211を用いた企業主導治験に向けた治験薬供給体制
At-211は、短半減期(約7.2時間)かつ、シンプルな崩壊特性を有することから、標的α線治療における極めて有望な放射性核種と評価されています。一方で、治験薬を安定的に供給する体制の整備が大きな課題であり、これまで世界ではアカデミア主導の臨床試験しか実施されてきませんでした。
そのような中、今回、神戸市立医療センター中央市民病院との協力により、日本国内で臨床試験を進めるための治験薬供給体制が整備されました。神戸市立医療センター中央市民病院は、放射性治験薬GMP製造施設を有しています。これまでPET(ポジトロン放射断層撮影)に用いる短寿命放射性核種を用いた治験薬製造に長年の実績があり、これをAt-211製剤に応用するものです。今回の治験薬供給体制の整備は、世界のAt-211を用いた治療薬開発において画期的なマイルストーンといえます。
アルファフュージョンは、日本国内のAt-211製造が可能なアカデミアのサイクロトロン保有施設との連携体制を構築しています。今回、神戸市立医療センター中央市民病院の治験薬GMP製造施設をサプライチェーンに組み入れることで、原料となる放射性核種の製造拠点・治験薬製造拠点・臨床試験実施施設と複数の拠点間をまたがるAt-211医薬品のサプライチェーンが世界で初めて実現します。

At-211独自の特徴を活かしたリードパイプラインaf-001
アルファフュージョンは、神戸市立医療センター中央市民病院との共同体制を活かした最初の企業主導治験として、リードパイプラインaf-001の臨床試験準備を進めています。af-001は分化型甲状腺がんを対象とする開発プログラムであり、At-211がヨウ素と同様にナトリウム・ヨウ素共輸送体(NIS)に取り込まれる特性を利用して、がん細胞に選択的に集積させることができます。これはα線核種の中でAt-211だけが可能なアプローチです。また、At-211は周囲への被ばくリスクが低いことから、日帰り治療が可能であり、甲状腺がんに対して新たな強力かつ利便性の高い治療効果を発揮することが期待されます。
この進展により、当社は「臨床段階のAt-211創薬企業」として、グローバルでも先行するポジションをさらに強固なものとします。
アルファフュージョン代表取締役CEO 藤岡 直のコメント
「At-211を活用した標的α線治療は、がん治療の新しい柱となる可能性を秘めていますが、これまでは供給体制が世界中において課題でした。今回の神戸市立医療センター中央市民病院との協働による治験薬供給体制の立ち上げにより、世界に先駆けて供給課題を解決したことは、社会実装に向けた大きな一歩です。患者様に一日も早く新しい治療法を届けるため、当社は臨床開発と供給体制の両面で取り組みを加速してまいります。」
神戸市立医療センター中央市民病院 分子イメージング研究部部長 山根 登茂彦のコメント
「当院はこれまで、PETに用いる診断用放射性治験薬を院内で製造し、アルツハイマー病治療薬をはじめ多くの治験を支えてまいりました。近年、放射性薬剤の活用は診断からがん治療へと広がっています。このたび、当院で培った放射性薬剤製造・品質管理のノウハウをがんの治療薬に応用し、アルファフュージョン社の企業主導治験に参画できることを大きな前進と捉えております。神戸から、市民の皆さまはもとより世界の患者さまへ、新たな治療の選択肢を一日も早くお届けできるよう、努めてまいります。」
今後の展望
アルファフュージョンが培った、At-211治療薬開発のための技術移転・治験薬製造・物流におけるノウハウは、今後の海外での臨床試験や商業用医薬品のサプライチェーン設計に活用可能です。今回日本で確立した供給体制をモデルケースに、米国をはじめとする海外において同様の仕組みを再現・拡張するため、国内外のサプライチェーンを担うパートナーとの具体的な協議を既に進めています。

アルファフュージョンは、af-001を皮切りに、複数のAt-211パイプラインの臨床開発を国内外で展開する計画です。国内治験薬供給の仕組みが整備されたことで、At-211創薬の国際展開をさらに推し進め、現在治療手段の無い患者様への医薬品の創出を目指してまいります。
※お問い合わせ先:https://alpha-fusion.com/contact-us/
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