負の世界遺産を結ぶ平和の行動 ― 広島とルワンダ、両国の子どもたちが共に描く未来
なかよし学園「世界とつながる学びプロジェクト」で教育と平和を結ぶ架け橋に
特定非営利活動法人なかよし学園(所在地:千葉県松戸市、代表理事:中村雄一)は、2025年8月19日から24日にかけて、ルワンダ共和国において広島県三次市の小学校教員とともに現地の児童・教員を対象とした模範授業を行いました。本取り組みは、同法人が展開し、2025年経済産業省の補助金事業採択も受けている「世界とつながる学びプロジェクト」の一環であり、日本の子どもたちが創り出した教材や作品を活かし、教育・文化・平和をテーマにした国際的な交流を実現しました。

広島からルワンダへ― 教師と児童がともに描く「学びの未来」
ルワンダは1994年のジェノサイドから31年を迎え、「アフリカの奇跡」と呼ばれる復興を遂げています。その首都キガリ周辺のスラムにあるKibagabaga Schoolと、Ruhango州KinaziにあるGashike Primary School、キガリ市内の特別教育支援施設African Mirrorにて、なかよし学園のメンバーである三次市立みらさか学園小中学校・瀬尾駿介教諭(39)、八次小学校・金子真代教諭(36)が模範授業を展開しました。



なかよし学園は2017年からルワンダで教育支援活動を行っており、首都圏のスラムや地方の学校と連携しながら、現地の教員研修や子どもたちへの模範授業を継続して実施してきました。算数や理科などの教科学習に日本の体験型教育を導入し、また平和教材や文化交流を通じて、教育の質の向上と子どもたちの学びの意欲を高める活動を積み重ねています。

瀬尾教諭は、算数教育研究をもとに、つまようじとスポンジを用いて図形・立体の面白さを体験的に学ぶ授業を実施。Kibagabaga SchoolのTheophile教諭は「なかよし学園の授業を通じて多くを学び、ルワンダ教育庁から優秀教師に認定された。今回も質の高い日本の教育を受けることができ、生徒と教員双方にとって大きな財産となった」と語りました。



一方、金子教諭は低学年教育を中心に研究してきた経験を活かし、理科の静電気を体験する授業や図形を楽しく学ぶ「タングラム」の授業を実施。苦手意識を抱きやすい算数を遊び心を通じて興味深く学ぶ場を提供しました。
また、同教諭は自校児童(幼児)が作成したうちわやぶんぶんごまを提供し、日本の遊びを現地に伝える場も設けました。


負の世界遺産を結ぶ「平和ポスター」交流
本プロジェクトの一環として、広島市特別支援学校の生徒が制作した「平和ポスター」を世界遺産であるキガリ・ジェノサイドメモリアルと両校に寄贈。さらに、ルワンダの児童と共作した平和ポスターは日本に持ち帰り、広島市特別支援学校に贈呈予定です。負の世界遺産を持つ日本とルワンダの児童が共に描いた「平和の絵」は、国境を越えた象徴的な交流となりました。




生徒が翻訳・折り鶴を添えた『はじめてのヒロシマ』
長崎県壱岐市立石田中学校、早稲田佐賀中学高等学校、千葉県佐倉市立南部中学校の生徒たちが翻訳し、広島県神石高原町立三和小学校が折り鶴をあしらって仕上げた絵本『はじめてのヒロシマ』(広島平和記念資料館発行)を用いた「PEACE BUTTONプロジェクト」も実施。絵本は現地で平和教育に活用され、ジェノサイドメモリアルや現地校に寄贈されました。


お好み焼きでつなぐ「お好みPEACEプロジェクト」
また、事務局長の中村里英(42)は「お好みPEACEプロジェクト」を実施。このプロジェクトは広島県三次市立みらさか学園小中学校生徒児童が探究学習で研究した広島のお好み焼きを、その歴史と共に世界各国で紹介し、現地で調理するもので、なかよし学園ではこれまでケニア、シリア、カンボジアでこのプロジェクトを行ってきました。中村事務局長は広島のお好み焼きが戦後の食糧難の中で生まれた歴史を紹介しながら、ジェノサイドサバイバーにお好み焼きを提供。さらに現地食材(アボカド、チーズ、キャッサバ)を使った「ルワンダオリジナルお好み焼き」を共に作るワークショップを通じて、参加者に笑顔をもたらしました。



「AOGA SOAP」とハンカチで広がる手洗い習慣
三次市立青河小学校児童が開発した「AOGA SOAP」は、Kibagabaga School、Gashike Primary School、African Mirrorでの手洗い授業に活用されました。みらさか学園小中学校児童生徒が作成したハンカチと共に「石けんで手を洗い、清潔なハンカチで拭く心地よさ」を伝え、児童たちに衛生習慣の重要性を学んでもらいました。




アートと教育で平和をつなぐ African Mirror との協働
また今回なかよし学園の一行は、キガリを拠点に活動する団体「African Mirror」を訪問しました。同団体は、アートやスポーツ、教育を通じて困難な状況にある子どもたちを支援しており、現地の若者たちの居場所づくりを行っています。
この場でも三次市立青河小学校の児童が開発した「AOGA SOAP」を用いた手洗い授業を実施し、衛生習慣の大切さを体感してもらいました。さらに、みらさか学園小中学校の児童生徒が作った日本のお菓子を振る舞い、文化交流を深めました。


また、なかよし学園代表・中村雄一は、世界各地で歌い継がれるカンボジア発の平和の歌「アラピヤ」を披露。今回は歌詞の一部をルワンダ語で「平和」を意味する「アマホロ」に変え、同団体が支援する学校に通えなかった子どもや職を得られない若者たちと共にダンスコラボレーションを行いました。

さらに、長崎県対馬市で回収された海洋プラスチックをリサイクルし、Dolphine Papa社が製造するフライングディスクを活用したダンスパフォーマンスも展開。海洋プラスチックという世界的課題と、教育機会を奪われた若者の貧困問題を結び合わせ、芸術と身体表現を通じて世界に発信するプロジェクトが実現しました。

なかよし学園代表 中村雄一コメント
「日本は戦後80年、ルワンダはジェノサイド後31年を迎えました。両国の子どもたちが教育を通じて出会い、共に平和を描く姿は未来への希望です。なかよし学園はこれまで、戦後直後のシリア、紛争の絶えない南スーダンやコンゴといった地域で活動し、悲しみの連鎖が繰り返される現実を目の当たりにしてきました。終わらない戦争はガザやウクライナだけではなく、世界各地に存在しています。
その中で、私たちはTEAM JAPANとして多くの学校、自治体、企業と連携し、教育や文化を通じて“悲しみの連鎖を断ち切る”活動を行ってきました。その取り組みは国連をはじめとする国際社会からも高く評価をいただいています。
これからも、私たちは“この世界の片隅で笑顔を生み出す”ことを大切にしながら、一歩一歩、仲間とともに平和を紡いでいきます。そして子どもたちが国境を越えて友情を育み、世界中を平和にする未来を実現していきたいと考えています。」

【本プロジェクトに参加した日本国内教育機関】
広島県三次市立みらさか学園小中学校
・瀬尾駿介教諭(算数模範授業/AOGA SOAP・ハンカチ活用の手洗い授業)
広島県三次市立八次小学校・東光保育所
・金子真代教諭(算数模範授業授業/児童(幼児)作品の提供)
広島県三次市立青河小学校
・児童が開発した「AOGA SOAP」による手洗い授業を提供
広島県広島市特別支援学校
・児童が制作した「平和ポスター」を現地・日本で共有
長崎県壱岐市立石田中学校
・『はじめてのヒロシマ』翻訳に参加
早稲田佐賀中学校高等学校
・『はじめてのヒロシマ』翻訳に参加
千葉県佐倉市立南部中学校
・『はじめてのヒロシマ』翻訳に参加
広島県神石高原町立三和小学校
・折り鶴をあしらった絵本制作に参加
団体概要
団体名:特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
所在地:千葉県松戸市
代表者:代表理事 中村雄一
事業内容:教育支援、平和構築活動、国際協力事業。国内外の学校・自治体・企業と連携し、教育を軸に国際的な社会課題解決を推進。
公式サイト:http://www.nakayoshigakuen.net/npo/index.html
本ニュースリリースに関する取材・お問い合わせはなかよし学園プロジェクト事務局まで
nakayoshigakuen.office@gmail.com
すべての画像