<セルフメディケーション税制に関する意識調査> 「セルフメディケーション税制」施行から一年…申告しましたか?

FromプラネットVol.83

プラネット

~実際に申告を行った人は1.6%…対応アプリができれば利用者広がる可能性も?~

 国内1,200社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (所在地:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝)は、消費財にまつわるトピックスをお届けする『Fromプラネット』の第83号として、セルフメディケーション税制に関する意識調査の結果をご紹介します。バックナンバー https://www.planet-van.co.jp/news/from_planet.html
 
  • 一年前より認知度は大幅アップ
 
  医療費控除の特例として2017年1月に施行がスタートし、1年余りが経過した「セルフメディケーション税制」。2018年2〜3月には初めての確定申告期間も迎えました。今回はセルフメディケーション税制に関するアンケートを実施し、認知度や実際に申告を行った感想、申告しなかった理由などについてまとめました。

 

  まずは、「セルフメディケーション税制」を知っているかどうかを聞きました。すると、「詳しく内容を知っている(他人に説明できるくらいに)」4.5%、「おおよその内容は知っている」30.0%を合わせた“知っている”計は34.5%。3人に1人以上になりました。約1年前、2016年12月のアンケートでは、“知っている”計は8.2%。認知度は大きくアップしていました。

  次に、セルフメディケーション税制を利用して控除を受けてみたいかどうかを聞きました。すると、「ぜひ控除を受けたい」25.7%、「控除を受けるのを検討してもよい」30.7%を合わせた“控除を受けたい”計は56.4%。「あまり控除を受けたいと思わない」8.5%、「まったく控除を受けたいと思わない」7.9%を合わせた“控除を受けたいと思わない”計の16.4%を大きく上回りました。しかし、2016年12月のアンケートでは“控除を受けたい”計は59.8%。一年前に比べ、むしろ低くなっていました。

  この一年で、セルフメディケーション税制の認知度は上がったものの、控除を受けたい人は同程度か、むしろ減っていることがわかりました。
 
  • メリットが見えにくい
 
  セルフメディケーション税制による控除を受けたいと思わないという人を対象に、その理由を聞きました。すると、1位は「医療費控除で申告するから」28.9%、2位「還付金額が少ないから(少なそうだから)」28.0%、3位「手間の割にメリットを感じないから」25.8%と、いずれも25%以上で並びました。 “そもそも還付金額が少なそう”“手間をかけるほどのメリットがない”と、感じている人が多いようです。そのために、従来の医療費控除のほうを選んだ人もいると考えられそうです。


        参考:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について|厚生労働省
        http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
 

  • そもそも「スイッチOTC医薬品」がわからない!?
 
  セルフメディケーション税制を利用した控除の対象となるのは、年間の「スイッチOTC医薬品」購入金額が12,001円を超えた人です。そこで、2017年の「スイッチOTC医薬品」購入金額がいくらだったかを聞きました。

   すると、「12,000円以下」が29.0%と3割を占めたのに対し、「12,001円〜100,000円超」は7.1%と1割以下。控除対象金額に満たない人のほうが大きく上回っていました。
 さらに、「購入したが、合計金額はわからない」が12.2%と1割を超え、「『スイッチOTC医薬品』を購入したかどうかわからない」も18.8%と2割近く。「スイッチOTC医薬品」そのものへの認識があいまいな人が少なくないこともうかがえました。
 
  • 申告は“意外に簡単”

   「スイッチOTC医薬品」の年間購入金額が12,001円を超えていた人に、2018年の確定申告でセルフメディケーション税制による申告を行ったかどうかを聞きました。


 最も多かったのは「確定申告のとき『セルフメディケーション税制』の申告は行わなかった(行う予定がない)」38.2%、次いで、「確定申告を行わなかった(行う予定がない)」が28.0%、「確定申告のとき『セルフメディケーション税制』申告を行った(行う予定)」23.2%という結果でした。「スイッチOTC医薬品」の購入金額が控除対象条件を満たしていても、控除の申請や確定申告そのものを行わない人が多かったことがわかります。
 また、「申告を行った」23.2%という数値は「スイッチOTC医薬品」の購入金額が12,001円を超えていた人(全体の7.1%)に占める割合なので、全体のうちに占める割合は、1.6%とさらに低いことになります。

 「セルフメディケーション税制」の申告を行った(行う予定の)人には、感想を聞いてみました。すると、「とても簡単にできた(できそう)」と「どちらかといえば簡単にできた(できそう)」を合わせた“簡単にできた”計は69.5%と、約7割。申告を行った実数は少ないものの、実際に申告した人の大半は“簡単”と感じていたことがわかります。表3の調査結果では、“面倒そうだから控除を受けたくない”と敬遠する人もいるようでしたが、やってみれば“意外に簡単”なのかもしれません。控除の条件を満たしているなら試してみる価値がありそうです。
 
  • 申告しなかった理由1位は「控除対象商品がわからなかったから」

  セルフメディケーション税制の申告を行わなかった(行う予定がない)人に、その理由を聞きました。


 1位は「『セルフメディケーション税制』の控除対象商品がわからなかったから」28.6%、2位「確定申告で医療費控除の申請を行ったから」25.0%、3位「レシート保存が面倒だから」22.0%の順になりました。
「スイッチOTC医薬品」の購入金額を聞いた表4の調査結果でも、そもそも「『スイッチOTC医薬品』を購入したかどうかわからない」という人が2割近くいましたが、控除の対象となる「スイッチOTC医薬品」のわかりにくさが申告を敬遠した第一の理由にあるようです。
 また、この質問の回答者は「スイッチOTC医薬品」の年間購入金額が12,001円を超えていたはずですが、それでも「『セルフメディケーション税制』の控除対象商品の購入金額が、12,001円を超えなかったから」と答えた人が17.3%になりました。これも対象商品のわかりにくさの一端を表しているように思われます。
セルフメディケーション税制による控除を「受けたいと思わない」理由を聞いた表3の調査結果でも「医療費控除で申告するから」がトップでしたが、ここでも「医療費控除の申請を行ったから」が上位に。施行されたばかりでなじみがなく、何かとわかりにくいセルフメディケーション税制が従来の医療費控除のように浸透するには、まだ時間がかかりそうです。
 
  • セルフメディケーション税制について思うことを聞きました
 
  セルフメディケーション税制に関する意見や思うことを自由に答えてもらいました。代表的な回答を紹介します。
 多かったのはやはり、“わかりにくい”“面倒”“わずらわしい”という声。“制度そのもののわかりにくさ”と“対象となる商品のわかりにくさ”と、二重のわかりにくさがあるようで、“結局、どのように得になるの?”と感じている人が多いことが想像されます。「薬自体はよく購入するが、対象商品だったことがない」「定期健診を受けていないとダメなど、条件が細かくうるさい」「12,000円はハードルが高い」など、控除を受けるために必要な条件にうんざりしている様子もうかがえました。「手間をいとわない金額が控除されなければ、なかなか浸透はしないと思います」と結論づけた回答に、思わず納得です。
 
  • 従来の医療費控除で十分?…市販薬を奨励するような制度疑問の声も
 
 自由回答をさらに見ていくと、“従来の医療費控除との違いがわかりにくい”という声も目立ちました。これまでの医療費控除と比べてどちらを選ぶべきか、とまどっている人も多いようです。
 こうした意見とは別に、病院へ行かず、自己判断で市販薬を飲むことを勧めるかのような“制度そのもの”に疑問を感じるという人も…。一方で、軽症なら市販薬で済ませることで「医療機関が混まなくなればいい」など、好意的な回答も見られました。
 
  • “購入金額の累計をレシートに表示” “専用アプリがほしい”…改善案も多数
 
  セルフメディケーション税制を利用しやすくするための改善案や要望を挙げる人も多数いました。中でも多かったのが“対象商品は別レシートを出してほしい”“レシートに累計金額を表示して”“専用カードや対応アプリで購入金額を管理”というもの。何らかの対策でもう少し使い勝手がよくなれば、利用者の広がりにつながっていくかもしれません。

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メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)です。
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代表者名
田上 正勝
上場
JASDAQスタンダード
資本金
4億3610万円
設立
1985年08月