~防災・減災から平時の農業用水管理まで~『ため池防災システム』を開発
2019年10月30日
応用地質株式会社
報 道 関 係 各 位
応用地質株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:成田 賢)は、低価格・双方向通信型ハザードマッピングセンサを用いた、自治体・土地改良区向け『ため池防災システム』の提供を開始しましたのでお知らせします。
■サービス提供の背景
灌漑を目的に築造された「ため池」は、西日本を中心に全国に約17万箇所存在していると言われています。農業用水の確保だけでなく、洪水調整や親水空間の創出、多様な生物の生育の場など、様々な機能を有しています。
しかしながら、近年は農業従事者の高齢化や減少、権利者の世代交代による管理体制の弱体化などから、設備や堤体が老朽化し、災害時における決壊などのリスクが高まっています。農林水産省の調べによると、直近10年間におけるため池の被害の70%が豪雨によるものであり、平成30年7月豪雨においても各地で決壊が発生し、多くの被害をもたらしました。
このような状況を受けて、国は、決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設等が存在し、人的被害を与えるおそれのある全国63,722か所のため池を「重点防災ため池」として指定しました。
■サービスの概要
当社は、このような社会的課題を踏まえ、得意とする防災・減災分野の知見とIoTセンシング技術を活かした、「ため池防災システム」を開発しました。
本システムは、当社が開発した低価格・双方向通信型ハザードマッピングセンサや監視カメラにより、ため池の氾濫危険情報をリアルタイムで発信し、自治体の防災担当者と連携した上、下流域に住む住民の速やかな避難行動を支援します。
ハザードマッピングセンサは、冠水センサや簡易傾斜計を組み合わせ、広域なエリアに多数設置することで面的な水防情報体制を構築することを目的としたセンサです。センサ自体の費用は無料で、ユーザーには、センサ個数に応じた月々の通信費(1万円/台・月)のみご負担いただきます。
センサの種類および最適な設置箇所の選定については、ご要望によりコンサルティングいたします。また、水位計や雨量計、温度計などと組み合わせ、災害時の備えだけでなく、平時の農業用水管理にも活用いただくシステムとすることも可能です。
■システムの概要(ハザードマッピングセンサの紹介)
①冠水センサ「冠すいっち」
センサは堤体の天端および表法上に設置し、標準で2深度、最大3深度で管理水位を設定します。センサが冠水すると電源が作動し、即座にクラウド経由で管理者にアラートを発信するとともに、危険が迫っているため池をスマートフォンやタブレット、パソコンのマップ上に表示します。
②簡易傾斜計「クリノポール」
センサは堤体の裏法等に設置し、ため池の堤体の変動を監視します。傾斜を検知すると電源が作動し、冠すいっち同様、クラウドを経由してアラートを発信し、マップ上で表示されます。
上記のハザードマッピングセンサのほか、水位計や監視カメラなど、様々なセンサを組み合わせて、地域の状況に応じた最適なシステムを構成します。
本システムは、激甚化する豪雨災害に対し、緊急的かつ比較的簡易な監視体制の整備を目的として開発したものです。当社では、このような比較的簡易なモニタリングシステムだけでなく、より高度な避難誘導システムの構築から、ため池の損傷による浸水被害の予測、耐震照査、ハザードマップの作成まで、ユーザーのご要望により、ため池に関わる様々なサービス/システムソリューションを提供しています。
当社は、これらのサービス/システムソリューションの提供を通じて、一人でも多くの地域住民の命と財産を守ることを目指すとともに、持続可能な開発目標SDGsの達成に貢献してまいります。
以上
【本件に関するお問合せ先】
応用地質株式会社 経営企画本部 川地真人・橋本晋一
TEL:03-5577-4501
E-mail:prosight@oyonet.oyo.co.jp
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