国連事務総長が科学諮問委員会を設立
チリツィ・マルワラ国連大学学長が国連事務総長の科学諮問委員会委員に任命されました。
科学技術の急速な進展によって、気候変動から平和構築、食料安全保障から公衆衛生に至るまで、世界の最も重大な持続可能な開発課題の解決を推進できる大きなチャンスが訪れています。しかしながら、諸開発課題に内在する相互関連性によって、新たな科学的躍進は同時に複雑な倫理的、社会的、技術的、そして政治的リスクを生む可能性があり、そうしたリスクへの理解と対処が必要となります。
ニューヨーク時間の8月3日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、新興課題に備え、科学の進歩による利益を活用し、潜在的なリスクを軽減するために、科学諮問委員会を設立することを発表しました。
「科学や技術の進展は、持続可能な開発目標の達成に向けての努力を後押しできますが、同時に倫理的、法的、政治的な懸念が生じるため、多国間協力による解決策が必要となります」とグテーレス事務総長は述べました。
「私の科学諮問委員会は、データとエビデンスに関する信頼のおける情報源としての国連の役割を強化し、私や国連幹部に対し助言を提供してくれます」
諮問委員会は複数の著名な科学者、国連諸機関の筆頭科学者、国連事務総長の技術特使、そして国連大学学長のチリツィ・マルワラ教授で構成されます。
委員会への任命を受け、マルワラ教授は国連大学がその専門的知見を提供する機会を強調しました。
「13の研究所でSDGsの全17目標に関する膨大な研究を推進する国連大学は、独特の立場から、事務総長の科学諮問委員会を通じて事務総長や国連幹部に科学的知見を提供することができます」
本委員会の主目的は、科学、倫理、ガバナンス、そして持続可能な開発の交錯点における最新動向に関する知見を独立した立場から提供することです。委員会とそのネットワークは協働的な取り組みを通じ、国連のリーダーたちが人類、地球、そして繁栄のための活動において、最新の科学的進展を予期し、それに適応して活用していくことを支援します。
特筆すべきは、あらゆる地域、言語、年代を代表する機関から構成され、特に開発途上国に焦点を当てた科学機関のネットワークが、諮問委員会とともに設立されることです。同ネットワークは、特定課題に関するワーキンググループや、新たな科学技術の進展に備えるための年次でのホライズン・スキャニング(将来展望分析活動)、分析や報告書の発表、そして能力開発事業を通じ、諮問委員会と協働します。
本委員会の設立は、全国連加盟国の集団的利益のために科学技術の持つ可能性を最大限に生かすための重要な一歩となります。委員会による協働的な取り組みは、科学技術の最前線にある複雑な課題や機会に対応する国連の能力を強化し、すべての人にとって公平で豊かな未来への道を切り開くでしょう。
科学諮問委員会委員一覧
外部メンバー
ヨシュア・ベンジオ教授、チューリング賞受賞者、Mila(ケベック人工知能研究所)科学ディレクター、モントリオール大学コンピューターサイエンス・オペレーションリサーチ学科教授
サンドラ・ディアス教授、アルゼンチン国立科学技術研究評議会(CONICET)上級主任研究員、コルドバ国立大学(アルゼンチン)生態学教授
サリームル・フク教授、バングラデシュ独立大学気候変動開発国際センター所長
フェイフェイ・リー教授、スタンフォード大学コンピューター科学セコイア教授、同大学 人間中心のAI研究所(HAI)デニング家共同所長
アラン・ライトマン教授、マサチューセッツ工科大学人文学部教授
トゥリ・マドンセラ教授、ステレンボッシュ大学法学部教授
トーマス・C・スードフ教授、ノーベル賞受賞者、スタンフォード大学医学部分子細胞生理学科教授
国連メンバー
次の国連機関の筆頭科学者:国連食糧農業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、世界保健機関(WHO)、世界気象機関(WMO)
アマンディープ・シン・ギル氏、国連事務総長の技術特使
チリツィ・マルワラ教授、国連大学学長
国連事務総長の科学諮問委員会に関する詳細は、国連本部ウェブサイトのプレスリリース(英語)をご覧ください:https://press.un.org/en/2023/sga2223.doc.htm
チリツィ・マルワラ学長のプロフィール:https://jp.unu.edu/about/unu/office-of-the-rector/prof-tshilidzi-marwala
国連大学HP:https://jp.unu.edu/
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