2020年第2四半期台湾機械設備製造業の振り返りと業界の動向<ワイズ機械業界ジャーナル9月第2週号発行>
〜台湾機械業界の動向が分かる〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の9月第2週号を発行しました。今週号では、台湾の機械設備製造業、台北国際自動化工業展、木工機械のメーカーGeetech、水回り金物産業のスマート製造需要について紹介します。
<200910号内容案内>
1 | 機械設備業界 | 台湾機械設備製造業の振り返りと業界の動向— 2020年第2四半期 |
2 | 自動化業界 | 2020年台北国際自動化工業大展 |
3 | 木工機械業界 | 木工機械のメーカー—巨庭機械(Geetech) |
4 | スマート製造業界 | 水回り金物産業のスマート製造需要と導入実例 |
台湾機械設備製造業の振り返りと業界の動向—2020年第2四半期(※一部抜粋)
一、産業概況
2020年第2四半期、台湾機械設備製造業の生産額は2,165億6,000万台湾元で前期比5.8%増、前年同期比12.3%だった。カテゴリー別の生産額を見ると、産業用ロボットの生産額は前年同期比で42.5%増と大きく伸びたが、それ以外のカテゴリーの生産額はすべてマイナス成長となった。新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した影響で、市場の需要が大幅減少し、これに伴って製造業メーカーの設備投資意欲が低下したことが主な要因だ。しかし、▽第5世代移動通信システム(5G)▽医療▽半導体──などの分野で自動化設備に対する需要が増加したことから、産業用ロボットの生産額は大幅成長した。
また、第2四半期と第1四半期の生産額を比較すると、▽産業機械▽建設機械▽農業機械──はマイナス成長となったが、それ以外のカテゴリーの生産額は回復の兆しを示し、このうちハイテク生産設備と伝動機械が最も高い成長幅を示した。
これは、新型コロナウイルスの感染が各国に拡大した影響で、オンライン教育やリモートワークの関連需要が増加し、半導体産業の設備需要が成長したためだ。さらに、一部半導体大手メーカーが競争力を維持するため、例年通りの規模で設備投資を実施したことから、2020年第2四半期のハイテク生産設備の生産額は前期比16.9%増と大きく伸びた。一方で、主に自動化設備に応用される伝動機械は、▽医療器具▽スマート化・自動化▽半導体や5G──などの応用分野での需要が増加したことから、20年第2四半期の生産額は同14.8%増となった。
二、メーカー動向とトピックス
◎台湾積体電路製造(TSMC)が設備投資拡大
新型コロナウイルスの感染拡大は収束の兆しがみえないが、台湾積体電路製造(TSMC)は5Gや高性能計算(HPC)など応用分野の発展を楽観視しており、2020年の設備投資支出額は150億〜160億米ドルの水準を維持するとみられる。設備投資支出は、7ナノメートルの先進製造プロセスに80%、後工程の先進パッケージングおよびフォトマスクケースに10%、残りを複合電源IC(PMIC)やCMOSイメージセンサーなどの特殊製造プロセスに投資する予定で、サムスンに対する製造プロセス技術の優位性を維持し、市場シェアの拡大を目指していく。
<分析>
TSMCが2020年の設備投資規模を維持した理由は、今後の半導体産業の発展を楽観視しているためだけではなく、半導体メーカーとしての競争力を維持するためでもある。また、サムスンとインテルも市場シェアを維持するため、先進製造プロセスへの投資を継続する見通しだ。半導体大手メーカーは、新型コロナウイルスの感染収束後の市場景気を楽観視しており、メーカーの競争力を維持するために設備投資意欲が高いことから、ハイテク生産設備産業の生産額は安定した成長を維持できると予測される。
◎中国は台湾製および日本製立型マシニングセンターに対する反ダンピング調査を終了
2020年4月13日、中国の商務部は台湾製立型マシニングセンターについて不当廉売の事実がないと公告し、台湾製および日本製立型マシニングセンターに対する反ダンピング調査を終了した。
<分析>
立型マシニングセンターは、台湾製工作機械の中でも対中国輸出が最も大きな割合を占める製品で、新型コロナウイルスの感染拡大前は年間約2,000台輸出されており、輸出額は約2億米ドルに達していた。中国による反ダンピング調査が終了したことによって、11.34%の反ダンピング関税が免除され、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた中国市場からの受注も増加する見通しだ。また、輸出統計資料によると2020年4〜5月の台湾製マシニングセンターの対中国輸出額は前年同期比25.5%増と大きく伸びている。
◎鴻海精密工業と凌華科技(ADリンク・テクノロジー)が自律走行型ロボットの合弁会社設置
2020年6月、鴻海精密工業は凌華科技(ADリンク・テクノロジー)と自律走行型ロボット(AMR)の合弁会社を設置することを発表した。情報データリンク、自動スケジューリングやナビゲーションプラットフォームなどの技術を統合することで、自律走行型ロボットの機能を向上させる。合弁会社は20年第3四半期より運営開始する予定だ。(未完)
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代表者:吉本康志
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