2040年までに国内の食品ロス年間253万トンの活用・循環を目指す新組織サーキュラーフード推進ワーキングチームを新設
国連「食料のロスと廃棄に関する啓発の国際デー(9月29日)」に発足
本WTは現在世界的に発生している食品ロスの問題を背景に発足し、捨てられるはずだった食品を新たな食料として循環させる食品・食材“サーキュラーフード”の推進を通じて、持続可能な社会の実現に向け、議論してまいります。また2040年までに、日本国内で発生している年間約2,531万トンの食糧廃棄物等の内、約10%となる年間253万トンの食品ロスの活用・循環を目指してまいります。
また発足前日の9月28日(火)には、食品ロス問題ジャーナリストの井出 留美氏や農林水産省の高木 徹男氏、参画各社の代表者を招いての記者会見を開催いたしました。当日の様子は下記URLより動画データと画像素材をダウンロードしてご確認いただけます。
https://www.dropbox.com/sh/xyt4o45qkuwct43/AADZmvgS7ogaPCiUTalxoeLpa?dl=0
■発足記者会見 9月28日(火)
発足前日に開催された記者発表会では、食品ロスジャーナリストの井出 留美氏による食品ロス問題に関する講演とWT代表の渡邉 崇人による設立趣意に関する講演の後に、二部に分けて登壇者各位によるパネルディスカッションを行いました。
井出 留美氏による講演では「世界中の食品ロスに起因する温室効果ガスは、各国の排出量と比較すると中国、アメリカに次ぐ総量になっている。また、日本の食品ロスは年間600万トンにも及び、東京都民が1年間に消費する量を超える。」といった発表と共に食品産業が地球温暖化に与える影響に関するご説明をいただきました。また渡邉 崇人による講演ではサーキュラーフード推進WTを設立するに至った経緯とともに、具体的な取り組みについての説明を行いました。
パネルディスカッションの第一部では、産官連携における食品ロス削減に活動についての議論が主に交わされ、井出氏(食品ロスジャーナリスト)による「日本の食品産業と海外との違いは、余る前提の商品流通、過度な安全性への重視、食品ロスを活用する制度や仕組みが未熟」といった発言の他に、村田氏(Future Food Fund株式会社)からは「企業側も努力する必要があるがアップサイクルした商品は”手間”がかかるために高い価格になってしまう」といった課題が述べられました。また、渡邉代表(株式会社グリラス)からの「企業も連携して自社の取り組みを社会や消費者の方々へ発信することが必要になる」という発言に加え、高木氏(農林水産省)より「食品ロス削減には、消費者も含めたフードチェーン全体としての取り組みが重要になる」といった様々な立場が直面する課題とともにWTにかけられる期待が表れる内容となりました。
続く第二部では、WTに参画する企業の取り組みや各社や今後の展望を中心に議論が展開され、酒井氏(株式会社ファーメンステーション)からは「食品ロスを原料にしていたり、環境に配慮したプロダクトたからといって積極的に買いたいと思う消費者の方はまだ少ないのが現状です」といった発言に加え、高田氏(株式会社AlgaleX)からは「リサイクルというのは”安いもの”という意識が社会には根深い」という課題が述べられました。また、吉田氏(株式会社CRUST JAPAN)より「食として美味しいこと、安心安全であることに加え、付加価値をつけているものであるという文化の醸成ができると更なる商品の普及につながる」ことに加え、渡邉代表(株式会社グリラス)からは「横のつながりを生み出しサーキュラーフードのラインナップが広がることによって食品ロスの活用可能性が広げていきたい」と、参画各社によるWTの活動への意欲と今後の展望が見える場となりました。
■記者会見の登壇者 ※敬称略、五十音順
有馬 暁澄(Beyond Next Ventures株式会社、Manager)
井出 留美(食品ロス問題ジャーナリスト)
酒井 里奈(株式会社ファーメンステーション、代表取締役)
高木 徹男(農林水産省、大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・食品産業政策課調査官)
高田 大地(株式会社AlgaleX、代表取締役)
村田 靖雄(Future Food Fund株式会社、ファンドマネージャー)
吉田 紘規(株式会社CRUST JAPAN、General Manager)
渡邉 崇人(株式会社グリラス、代表取締役)
■設立の背景
世界における食料廃棄量は年間約13億トンにも及び、人が消費するために生産された食料の約3分の1が廃棄されている計算になります※1。これは食料の生産・加工・輸送等の過程で発生した資源やコストの多くが浪費されているということを意味します。また食料廃棄はその処理の際にも、温室効果ガスの発生といった問題も引き起こします。
日本国内に目を向けると、食品廃棄物等は年間約2,531万トン※2であり、消費する食料の大部分を輸入に頼っている状況と大きな矛盾が生じています。実際に日本は、国際連合「持続可能な開発目標(以下「SDGs」)」の目標12「つくる責任つかう責任」の項目にて「重要な課題が残っている」と評価されている状況です。また現在農林水産省の推進する「みどりの食料システム戦略」においても、食品ロスに関する項目が設定されています。
※参考:https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/index.html
本WTの代表である渡邉 崇人(株式会社グリラス、代表取締役)は、食品ロスの削減に対して賞味期限の延伸や小ロット生産といった「生み出さないための施策」が重視される一方で、「生まれてしまった食品ロス」の活用不足を唱え、2019年よりサーキュラーフード関連事業を進めてまいりました。しかし一企業の活動や発言では社会に対して与えられる影響が小さく、持続可能な社会の実現が難しいことを憂慮し、関連する事業会社の賛同を受けて本WTの立ち上げを決定いたしました。
※1:国連食糧農業機関(FAO)「世界の食糧ロスと食料廃棄(2011年)」
※2:環境省「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成30年度)の公表について」
■サーキュラーフードとは
持続可能な社会の実現にあたり、環境負荷の低減を目指し、かつ食品ロスを主要原料として活用すべく開発された、新技術を用いて生産された食材及び食品のことを指します。その一例として、幹事企業である株式会社グリラス(徳島県鳴門市、代表取締役:渡邉 崇人)では、小麦の生産残渣であるフスマなどの食品ロスを食用コオロギの餌として与えることで、食品ロスの循環・アップサイクルを行っています。
また、サーキュラーフードの普及は、SDGsのターゲット12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。」への寄与が見込めます。
■今後の取り組み
本WTではプロジェクトごとに分科会を複数設置し、参画企業はそれぞれの持つ特色に応じた分科会への参加を行います。現在検討しているプロジェクトは下記4項目であり、今後WTの拡大に伴い内容の拡大を予定しております。またWTで行われた議論を社会実装する際は、実働組織の立ち上げを別途行う予定です。
・サーキュラーフード認証
⇒本組織に申請された食材・食品に対してサーキュラーフードの認証を行うことで、既存商品および今後上市される商品の市場価値を高めます。
・ポップアップストア(仮)の運営
⇒サーキュラーフードに該当する食材や食品を展示・販売するポップアップストアを展開することで、生活者への認知および普及を図ります。
・食品ロスや食品廃棄物等の活用
⇒発生した食品ロスや食品廃棄物等の活用方法を持たない事業会社と、それらの活用・アップサイクルの技術を有した企業のマッチングにより、新たなサーキュラーフードの生産を推進します。
・サーキュラーポイント(仮)の制定・運用
⇒サーキュラーフードの消費によって削減された、食品ロスや食品廃棄物等に応じて獲得できるポイントを制定します。これにより生活者の消費行動によって削減された食品ロスが視覚化できると共に、獲得したポイントを再度サーキュラーフードの購買に利用できるシステムを導入することで、さらなる消費につなげていきます。
■体制・参画企業
代表 :渡邉 崇人(株式会社グリラス、代表取締役)
共同代表:有馬 暁澄(Beyond Next Ventures株式会社、Manager)
幹事企業:株式会社グリラス(代表取締役:渡邉 崇人)
参画企業:株式会社AlgaleX(代表取締役:高田 大地)
株式会社CRUST JAPAN(General Manager:吉田 紘規)
株式会社ファーメンステーション(代表取締役:酒井 里奈)
Future Food Fund株式会社(代表取締役:松本 浩平)
※2021年9月29日時点 ※五十音順
■「食料のロスと廃棄に関する啓発の国際デー : 9/29(水)」について
国際連合が定める「食料のロスと廃棄に関する啓発の国際デー(International Day of Awareness of Food Loss and Waste)」は食品ロスの削減を掲げた国際的な記念日であり、今年で2回目の開催となります。
※参考:http://www.fao.org/japan/portal-sites/international-days/0929/es/
■フードテック官民協議会について
産学官の多数のステークホルダーの参画を得て2020年10月に設立された組織であり、食・農林水産業の発展と食料安全保障の強化に資する資源循環型の食料供給システムの構築や高い食のQOLを実現する新興技術の国内の技術基盤の確保に向けて、官民連携の取り組みを推進しています。また本WT同様、特定のテーマについて議論する場として複数のWTが設置されております。
※参考:https://foodtech-lab.jp/public_private_council/
■サーキュラーフード推進WTへの参画フロー
①フードテック官民協議会への入会
農林水産省ホームページ(https://www.maff.go.jp/j/kanbo/foodtech/kyougikai.html)をご参照の上、フードテック官民協議会へご入会ください。
②サーキュラーフード推進WT事務局への申し込み「企業名、役職名、ご芳名、簡単な事業内容」を記入の上、メール(circular_food@gryllus.jp)までご連絡ください。
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