「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」結果!【保険適用で支払う医療費は43%が「減った」】
「保険適用になって『良くなった』と感じる」が65%、「『悪くなった』と感じる」が73%という結果に。
妊治療患者をはじめ不妊・不育で悩む人をサポートするセルフサポートグループ「NPO 法人 Fine (ファイン、以下「当法人」)」は、2022年7月~10月に、「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」を実施し、1,988人の回答を得ました。
2022年4月より、不妊治療については、人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」に健康保険が適用されるようになりました。生殖補助医療については基本的な治療手技に保険が適用されるようになったことに加えて、一部の保険適用外の治療についても先進医療と位置づけられたものは保険と併用することができるようになりました。
これにより、「支払う治療費が減った」「これまでは金額が高くて受けられなかった治療が受けられるようになった」という喜びの声が、患者から多数届いています。これは、当法人が設立以来提唱してきた不妊治療の4つの負担(「身体的負担」「精神的負担」「経済的負担」「時間的負担」)の中で大きな課題であった経済的負担の軽減であり、患者の立場からすればとてもありがたく喜ばしいことだと感じています。
一方、生殖補助医療については、適用に当たって女性の年齢や回数に制限が設けられており、この制限を超えて治療を受ける場合や、患者一人ひとりの身体の状況にあわせて受けたい治療が先進医療に位置づけられていない場合は自費診療となるため、今までと同様に高額な治療費を支払っている患者も少なくありません。加えて国の特定不妊治療費助成制度による助成金が無くなっており、「保険適用前よりも経済的負担が増えた」という声も届いています。
当法人では、患者が保険適用後どう思っているのか、どのような情報やサポート、病院の対応を求めているのかなどを把握し、患者が正しい情報に基づき、自分で納得し安心して治療が受けられるよう、治療環境の向上を図ることを目的に、「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」を実施しました。
<1>保険診療を受けている人は47%。保険診療+先進医療を受けている人は28%。自由診療を受けている人は25%(Q4)
(調査結果概要・グラフ集P9~P10表1・表2・表3参照)
<2>支払っている医療費は、保険適用前と比べると「減った」と感じている人が43%。「増えた」と感じている人が31%(Q6)
「人工授精」を受けていた人(48%)は、保険適用前よりも経済的負担が減ったと実感し、「不育症の検査・治療」を受けていた人(36%)は、保険適用前よりも経済的負担が増えたと実感(Q6×Q2)。
経済的負担が減ったと感じた人が次に多かったのは「体外受精・顕微授精」(47%)、「不妊の検査」(44%)、「男性不妊の検査・治療」(43%)。逆に経済的負担が増えたと次に多かったのは「体外受精・顕微授精」を受けていた人(31%)、「男性不妊の検査・治療」(31%)、「不妊の検査」(30%)。
(調査結果概要・グラフ集P10~P11表4・表5参照)
<3>保険適用になって「良くなった」と感じるのは「経済的に治療が始めやすくなった」(67%)、「悪くなった」と感じるのは「医療機関が混雑して、待ち時間が増えた」(46%)(Q10・Q12)
良くなったと感じる次の理由は「支払う医療費が少なくなった」(66%)、「心理的に治療が始めやすくなった」(42%)。逆に、悪くなったと感じた次の理由は「保険適用の範囲がわかりづらい」(44%)、「経済的負担が大きくなった」(33%)。
(調査結果概要・グラフ集P11~P13表6・表7・表8・表9・表10参照)
<4>保険適用後に転院した人は16%。70%の人は「転院していない」(Q17)
転院していない理由として最も多かったのは「医師と医療機関を信頼・満足しているから」(34%)、続いて「転院する理由が見つからないから」(11%)、「納得する治療が受けられているから」(10%)。
(調査結果概要・グラフ集P14~P15表11・表12・表13参照)
<5>56%の人が「今、受けたい治療を受けられている」(Q7)
年齢別に見てみると、「~24歳」(67%)が最も高く、「30~34歳」(62%)、「25~29歳」(55%)。
(調査結果概要・グラフ集P15~P16表14・表15参照)
<6>保険適用の制限に関して、42%の人が「年齢制限と回数制限の撤廃」を希望(Q16)
続いて「年齢制限は賛成、回数制限は反対」(36%)、「年齢制限は賛成、回数制限も賛成」(16%)。
(調査結果概要・グラフ集P16表16参照)
<7>自由記述コメントより(抜粋)
◆保険適用になって「良くなった」と感じる理由
・保険診療により、採卵時の自己注射で高価な薬剤であるペン型が使用しやすくなったこと。自己注射の際、痛みがほとんどなく、自己注射のストレスが軽減された。(30代女性・千葉県)
・助成金はどうしても振り込みまで3カ月と時間がかかってしまい、治療はずっと進むので、初めから支払いが軽くなった保険適用はありがたいです。(30代女性・大阪府)
・それまでは高くて使えなかった種類の薬や注射が使えるようになった。(40代女性・岐阜県)
・煩雑な助成金申請の手続きが不要になった。(40代女性・兵庫県)
・・・など
◆保険適用になって「悪くなった」と感じる理由
・不育症を想定した制度になっていないと感じる場面が多く、これまで受けた検査のほとんどは自己負担100%で、今後体外受精を受けようと思っても不育症に適切な治療は100%自己負担となってしまいます。(30代女性・東京都)
・体外受精の治療を進めるにあたって、必ずパートナーが同席して医師の説明を聞いて同意書にサインしなければいけないというルールができた。それにより、スケジュールの調整に苦慮した。また子どもがいるので一緒に来院しなければならず、待合室で周囲に気を遣うのが嫌だった。(40代女性・兵庫県)
・保険適用の治療をして、その後自費の治療したあと、また保険治療できると思っていたが、今の制度だと一度自費に切り替えたら保険適用の治療はできないと言われた。(40代女性・栃木県)
・・・など
他にもコメントの一部を抜粋紹介しています。(調査結果概要・グラフ集P5~P8参照)
<8> 回答者のプロフィール
回答者の性別は、女性が97%、男性が3%。年齢は30歳代が62%、40歳代が26%、20歳代が10%。居住地は、関東地区(1都3県)在住者が37%。(調査結果概要・グラフ集P17~P18表17、表18、表19参照)
プレスリリースはこちら↓
https://prtimes.jp/a/?f=d76314-15-1d59e8e7054195a59e6c275d281e5b10.pdf
「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」調査結果概要・グラフ集はこちら↓
https://prtimes.jp/a/?f=d76314-20221208-6d3849ea6e32048cffab134c3ecbaeb2.pdf
保険適用になり、不妊治療全般、特に生殖補助医療に対するハードルが非常に低くなり、「病院に通いやすくなった」、「治療を始めやすくなった」という声が多く聞かれました。また不妊治療の保険適用は、そうした経済的負担の軽減のみならず、保険が適用されることにより、社会的に不妊が認められたように感じ、「精神的にも治療を受けやすくなった」、「周囲の人に話しやすくなった」という喜びの声も届いています。
制度に関しては、人工授精は希望する患者全員に保険が適用され、また生殖補助医療にも回数と年齢の制限はあるものの、回数は1子ごとにリセットされること、さらに先進医療との組み合わせにより保険適用と自費診療が同時に利用可能とされることなど、当初からとても当事者に寄り添った制度設計をしていただいたと感じていました。
しかしながら、今回の私どもの調査では、保険診療のみを受けている人は半数に満たず、いまだ4人に1人は自費診療であること、また、保険適用になって「良くなった」ことがあると感じる人よりも「悪くなった」ことがあると感じる人のほうが8ポイント上回るなど、まだまだその内容には改善の余地があることが浮き彫りとなりました。診療の待ち時間に関しては63%が「増えた」と答えており、企業における不妊治療に対するサポート制度やしくみ、風土醸成が道半ばである中、「不妊治療と仕事の両立」に関する課題がさらに増すことも予想されます。当法人では、これらの結果を踏まえて、国に対する要望をこれからも行なってまいります。
【調査期間】:2022年7月1日~2022年10月10日
【調査方法】:WEBアンケート。自由回答を含む25問
【対象者】:不妊治療・不育治療を受けている(これから受ける)すべての方
【回答数】:1,988
【設問】:https://j-fine.jp/activity/enquate/hoken_tekiyo2022.pdf
※本調査結果を引用する場合、下記をご記載ください。
『NPO法人Fine「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」より』
これにより、「支払う治療費が減った」「これまでは金額が高くて受けられなかった治療が受けられるようになった」という喜びの声が、患者から多数届いています。これは、当法人が設立以来提唱してきた不妊治療の4つの負担(「身体的負担」「精神的負担」「経済的負担」「時間的負担」)の中で大きな課題であった経済的負担の軽減であり、患者の立場からすればとてもありがたく喜ばしいことだと感じています。
一方、生殖補助医療については、適用に当たって女性の年齢や回数に制限が設けられており、この制限を超えて治療を受ける場合や、患者一人ひとりの身体の状況にあわせて受けたい治療が先進医療に位置づけられていない場合は自費診療となるため、今までと同様に高額な治療費を支払っている患者も少なくありません。加えて国の特定不妊治療費助成制度による助成金が無くなっており、「保険適用前よりも経済的負担が増えた」という声も届いています。
当法人では、患者が保険適用後どう思っているのか、どのような情報やサポート、病院の対応を求めているのかなどを把握し、患者が正しい情報に基づき、自分で納得し安心して治療が受けられるよう、治療環境の向上を図ることを目的に、「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」を実施しました。
- 調査結果(概要)
<1>保険診療を受けている人は47%。保険診療+先進医療を受けている人は28%。自由診療を受けている人は25%(Q4)
保険診療を受けている人が最も多いのは九州・沖縄地方に住む58%(Q4×都道府県)。「3割負担+10割負担(保険診療+先進医療)」の人が最も多いのは「北海道地方」(57%)。
(調査結果概要・グラフ集P9~P10表1・表2・表3参照)
<2>支払っている医療費は、保険適用前と比べると「減った」と感じている人が43%。「増えた」と感じている人が31%(Q6)
「人工授精」を受けていた人(48%)は、保険適用前よりも経済的負担が減ったと実感し、「不育症の検査・治療」を受けていた人(36%)は、保険適用前よりも経済的負担が増えたと実感(Q6×Q2)。
経済的負担が減ったと感じた人が次に多かったのは「体外受精・顕微授精」(47%)、「不妊の検査」(44%)、「男性不妊の検査・治療」(43%)。逆に経済的負担が増えたと次に多かったのは「体外受精・顕微授精」を受けていた人(31%)、「男性不妊の検査・治療」(31%)、「不妊の検査」(30%)。
(調査結果概要・グラフ集P10~P11表4・表5参照)
<3>保険適用になって「良くなった」と感じるのは「経済的に治療が始めやすくなった」(67%)、「悪くなった」と感じるのは「医療機関が混雑して、待ち時間が増えた」(46%)(Q10・Q12)
良くなったと感じる次の理由は「支払う医療費が少なくなった」(66%)、「心理的に治療が始めやすくなった」(42%)。逆に、悪くなったと感じた次の理由は「保険適用の範囲がわかりづらい」(44%)、「経済的負担が大きくなった」(33%)。
(調査結果概要・グラフ集P11~P13表6・表7・表8・表9・表10参照)
<4>保険適用後に転院した人は16%。70%の人は「転院していない」(Q17)
転院していない理由として最も多かったのは「医師と医療機関を信頼・満足しているから」(34%)、続いて「転院する理由が見つからないから」(11%)、「納得する治療が受けられているから」(10%)。
(調査結果概要・グラフ集P14~P15表11・表12・表13参照)
<5>56%の人が「今、受けたい治療を受けられている」(Q7)
年齢別に見てみると、「~24歳」(67%)が最も高く、「30~34歳」(62%)、「25~29歳」(55%)。
(調査結果概要・グラフ集P15~P16表14・表15参照)
<6>保険適用の制限に関して、42%の人が「年齢制限と回数制限の撤廃」を希望(Q16)
続いて「年齢制限は賛成、回数制限は反対」(36%)、「年齢制限は賛成、回数制限も賛成」(16%)。
(調査結果概要・グラフ集P16表16参照)
<7>自由記述コメントより(抜粋)
◆保険適用になって「良くなった」と感じる理由
・保険診療により、採卵時の自己注射で高価な薬剤であるペン型が使用しやすくなったこと。自己注射の際、痛みがほとんどなく、自己注射のストレスが軽減された。(30代女性・千葉県)
・助成金はどうしても振り込みまで3カ月と時間がかかってしまい、治療はずっと進むので、初めから支払いが軽くなった保険適用はありがたいです。(30代女性・大阪府)
・それまでは高くて使えなかった種類の薬や注射が使えるようになった。(40代女性・岐阜県)
・煩雑な助成金申請の手続きが不要になった。(40代女性・兵庫県)
・・・など
◆保険適用になって「悪くなった」と感じる理由
・不育症を想定した制度になっていないと感じる場面が多く、これまで受けた検査のほとんどは自己負担100%で、今後体外受精を受けようと思っても不育症に適切な治療は100%自己負担となってしまいます。(30代女性・東京都)
・体外受精の治療を進めるにあたって、必ずパートナーが同席して医師の説明を聞いて同意書にサインしなければいけないというルールができた。それにより、スケジュールの調整に苦慮した。また子どもがいるので一緒に来院しなければならず、待合室で周囲に気を遣うのが嫌だった。(40代女性・兵庫県)
・保険適用の治療をして、その後自費の治療したあと、また保険治療できると思っていたが、今の制度だと一度自費に切り替えたら保険適用の治療はできないと言われた。(40代女性・栃木県)
・・・など
他にもコメントの一部を抜粋紹介しています。(調査結果概要・グラフ集P5~P8参照)
<8> 回答者のプロフィール
回答者の性別は、女性が97%、男性が3%。年齢は30歳代が62%、40歳代が26%、20歳代が10%。居住地は、関東地区(1都3県)在住者が37%。(調査結果概要・グラフ集P17~P18表17、表18、表19参照)
プレスリリースはこちら↓
https://prtimes.jp/a/?f=d76314-15-1d59e8e7054195a59e6c275d281e5b10.pdf
「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」調査結果概要・グラフ集はこちら↓
https://prtimes.jp/a/?f=d76314-20221208-6d3849ea6e32048cffab134c3ecbaeb2.pdf
- (コメント)NPO法人Fineファウンダー/理事 松本亜樹子
2022年4月から、不妊患者が待望していたとされる不妊治療の保険適用がついに実現されました。
保険適用になり、不妊治療全般、特に生殖補助医療に対するハードルが非常に低くなり、「病院に通いやすくなった」、「治療を始めやすくなった」という声が多く聞かれました。また不妊治療の保険適用は、そうした経済的負担の軽減のみならず、保険が適用されることにより、社会的に不妊が認められたように感じ、「精神的にも治療を受けやすくなった」、「周囲の人に話しやすくなった」という喜びの声も届いています。
制度に関しては、人工授精は希望する患者全員に保険が適用され、また生殖補助医療にも回数と年齢の制限はあるものの、回数は1子ごとにリセットされること、さらに先進医療との組み合わせにより保険適用と自費診療が同時に利用可能とされることなど、当初からとても当事者に寄り添った制度設計をしていただいたと感じていました。
しかしながら、今回の私どもの調査では、保険診療のみを受けている人は半数に満たず、いまだ4人に1人は自費診療であること、また、保険適用になって「良くなった」ことがあると感じる人よりも「悪くなった」ことがあると感じる人のほうが8ポイント上回るなど、まだまだその内容には改善の余地があることが浮き彫りとなりました。診療の待ち時間に関しては63%が「増えた」と答えており、企業における不妊治療に対するサポート制度やしくみ、風土醸成が道半ばである中、「不妊治療と仕事の両立」に関する課題がさらに増すことも予想されます。当法人では、これらの結果を踏まえて、国に対する要望をこれからも行なってまいります。
- 調査概要
【調査期間】:2022年7月1日~2022年10月10日
【調査方法】:WEBアンケート。自由回答を含む25問
【対象者】:不妊治療・不育治療を受けている(これから受ける)すべての方
【回答数】:1,988
【設問】:https://j-fine.jp/activity/enquate/hoken_tekiyo2022.pdf
※本調査結果を引用する場合、下記をご記載ください。
『NPO法人Fine「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」より』
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