【開催レポ】専門家、小児科医、参加者がクロストーク!「遊びと育ち」の本質を「はじめの100か月の育ちビジョン」から考える

幼児教育や遊びの専門家、小児科医、こども家庭庁職員と100人を超える参加者が、立場を超えて子どもの「遊びと育ち」について本音で語り合いました。

一般社団法人TOKYO PLAY

一般社団法人TOKYO PLAY(代表:嶋村 仁志)は2025年7月21日、サイボウズ株式会社東京オフィスで「『はじめの100か月の育ちビジョン』をどう読み解くか 第4回 総集編」を開催。専門家、小児科医などが登壇するクロストークや、登壇者と参加者が対話するワークショップを実施しました。

当日は、日本全国から子ども政策に関わる行政職員や議員、幼稚園・保育園職員、児童館職員、子育て支援者、プレーワーカー、学生まで100人以上が参加。会場は終始、温かな雰囲気に包まれ、イベント後には「『100か月ビジョン』を作った人たちの生の声が聞けて、また参加者とともに作っていこうという意思も感じられて、参加してよかった」「100か月ビジョンに書かれたような理想と、現場での現実とのギャップを埋めるヒントが得られた」といった感想が寄せられました。

【登壇者】

●第一部

・大豆生田 啓友 氏(玉川大学教育学部 教授)

・長田 浩志 氏(元こども家庭庁設立準備室審議官)

・土肥 潤也 氏(NPO法人わかもののまち代表理事/株式会社C&Yパートナーズ代表取締役) 

・山口 有紗 氏(小児科医/児童精神科医)

●第二部

・岩﨑 貴行 氏(こども家庭庁 成育基盤企画課 主査(指針担当))

・安宅 研太郎 氏(建築家・株式会社パトラック代表)

・松田 妙子 氏(NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事、NPO法人せたがや子育てネット 代表理事)

・嶋村 仁志(一般社団法人TOKYO PLAY代表理事)

【ファシリテーター】

・青木 将幸 氏(青木将幸ファシリテーター事務所代表)

【グラフィックレコーダー】

・石橋 智晴 氏(横浜創英中学・高等学校)

「はじめの100か月の育ちビジョン」が目指すもの

2024年に子ども家庭庁がまとめた「はじめの100か月の育ちビジョン」は、母親の妊娠期から子どもの小学校1年生までの期間にある子どもたちの育ちで、どんなことを大切にしたいかという基本方針。具体的には、「こどもの権利と尊厳を守る」「『安心』と『挑戦』の循環」「『こどもの誕生前』から切れ目なく育ちを支える」「保護者・養育者のウェルビーイングと成長の支援・応援をする」「子どもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す」という5つのビジョンが掲げられています。

第一部では、登壇者の皆さんが「はじめの100か月の育ちビジョン」ができるまでの経緯や、そのポイントについてトーク。まず、元こども家庭庁設立準備室審議官の長田 浩志氏と、玉川大学教育学部教授の大豆生田 啓友氏が、それぞれの立場からビジョンをまとめる際に大切にしていたことを語りました。

続いて、小児科医、児童精神科医の山口有紗氏は、子どもの脳の発達や公衆衛生の観点から、「安心」と「挑戦」の循環やウェルビーイングの重要性について解説。NPO法人わかもののまち代表理事の土肥潤也氏は、子ども時代に遊びを肯定されることが、将来の社会との関わりに影響することを指摘しました。

子どもたちは、会場のいたるところで隙間を見つけ遊んでいました

クロストークでは、「やりたい気持ちが尊重されることが、社会への効力感につながる。やらされる活動ばかりさせられていたら、子どもは社会や政治に参加する気持ちにはなれない」という土肥氏の指摘から、「やりたいことを尊重することと『わがまま』の違いとは?」というテーマに。大豆生田氏は「人が自由に遊ぶ、生きるということは、自分を出すこと。当然、ぶつかりあいも起こるが、わがままと片付けたり、禁止したりするのではなく、『どうすればいいか』と対話していくことが大事」と語りました。

話題は幼児教育の捉えられ方からビジョンに盛り込めたこと、まだ言い切れていないこと、特に子どもの意見表明・反映についての言及に進んでいきました。山口氏は、このビジョンを土台に幼児を含めた子どもたちと対話していきたいと話し、どう対話し声を聴くことができるか、ということについてそれぞれのお立場から話していただきました。

クロストーク後、参加者同士で感想をシェアする時間を設けました
登壇者もクロストーク以外の時間は参加者とともに

子どもの「やりたい!」を実現する場づくりとは?

第二部では、登壇者の皆さんから「はじめの100か月の育ちビジョン」を活かすヒントとなる事例が共有されました。

初めに、NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事、NPO法人せたがや子育てネット代表理事の松田 妙子氏は、乳幼児の意見を尊重するとはどういうことか、身近な実例を挙げて解説。こども家庭庁成育局成育基盤企画課主査の岩﨑 貴行氏は、2024年から取り組んできた広報活動について報告しました。

建築家の安宅 研太郎氏は、自身が設計した幼稚園の例から、居心地のよい建物を作ることが子どもを肯定することにつながると知った経験をシェア。一般社団法人TOKYO PLAY代表理事の嶋村 仁志は、子どもが豊かに遊べる環境の保障が大事だと語り、子どもが遊びの中で危険性に触れること(Risky Play)の重要性を訴える社会活動の事例を共有しました。

クロストークでは、遊びの中の危険性のテーマから、安宅氏によるお子さんの学童の父母会活動が話題に。保護者同士の関係性が深まることで、木登りなど危険をともなう子どもの遊びを見守りあうことが可能になったエピソードを紹介すると、嶋村からはそこがPlayable space(遊ぶことができる場)になるためには物理的な環境だけでなく心理的な環境が必要であることを示唆。さらに、松田氏が赤ちゃん親子が集まった場を例に「『すみません、すみません』じゃなくて、子どものしたいことに対して『いいんだよ』と言い合える場作りが大切ですよね」と賛同。

岩﨑氏の「まさしく社会の厚みを増すことにつながります。ぜひたくさんアイデアをいただければ」という声に、嶋村は「『100か月ビジョン』は自分たちの街を変えるチャンス。子どもの声を拾い、活かしていく場や時間をどうやって増やすか、一緒に考えていきたいですね」と締めくくりました。

会場では親子による「ソレアドカフェ」が出店。コーヒーは1枚1枚手書きのイラストシールつき

登壇者と参加者がさまざまなテーマでグループトーク!

イベントの最後には、希望者がそれぞれに発案したテーマについて対話するワークショップが行われました。

登壇者、参加者から寄せられたテーマは、「子育てに悩む保護者や被虐待経験のある子どもへの発信について考えたい」「100か月ビジョン、どう広めるといい? できること100個出そう!」「こんな園だったらいいな!? いろいろできる夢の幼稚園を勝手に想像しよう!」「子どもの過ごす場所の防犯 いっしょに考えてください!」「大人自身が『全力で遊ぶ』について、具体的に話しませんか?」「みちあそびいいよね。どこで、だれと、どうやってやる?」「日本版Risky Playのstatement(声明)、どんな内容にしたい?」など。

それぞれ数人のグループに分かれて1時間弱、対話の時間を設けましたが、終了時間を過ぎても会場はまだまだ話し足りない雰囲気。延長戦として会場の後片付けをしながら対話し続ける参加者が続出し、イベントは大盛況のうちに閉幕となりました。

たっぷり4時間、子どもの「遊びと育ち」について考えた参加者たちからは、以下のような感想が寄せられました。

「『100か月ビジョン』の策定に関わった人たちの生の声が聞けて、生きたモノとして感じられたのがよかったです。登壇者の皆さんと一緒に話せたことで『100か月ビジョン』を自分事として感じられたし、ともに作っていきたいという意思も感じられました。参加者の人たちと話せたのも、一緒に試行錯誤できる仲間がこれだけいるんだなと思えて心強いです」

「子ども時代に話を聞いてもらうことが、選挙などの高度な社会参加につながるという話が腹落ちしました」

「教員をしていますが、体育の授業中に大雨が降り出し、『気持ちいい~!』走り回る子どもたちをうっとり見守っていたときに、別の先生が『やめなさい!』と大声を上げて注意したことがありました。現場で働いていると、同じ子どもの幸せや安全を願っていても、人によってアウトプットが変わることがあります。今日は、理想と現実のギャップを対話で乗り越えていくというヒントをいただいたので、それを実践していきたいと思います」

イベント「『はじめの100か月の育ちビジョン』をどう読み解くか」アーカイブ動画販売中!

5月に行われた第3回のグラフィックレコーディング

専門家の知見や多くの実例を交えながら、「はじめの100か月の育ちビジョン」とは何か、子どもの心身を育てる「遊び」とは何か、その実現には何が必要なのかをひもといてきたイベント「『はじめの100か月の育ちビジョン』をどう読み解くか」。第4回を含めた3回分のアーカイブ動画を配信中です。

【アーカイブ配信の申し込みについてはこちら】

第1回:https://tpevent100months1.peatix.com/

第3回:https://tpevent100months3.peatix.com/

第4回(クロストーク部分のみ):https://tpevent100months4.peatix.com/

※第2回はブレイクアウトルームでの対話が中心であったため、アーカイブはありません。

一般社団法人TOKYO PLAYとは

一般社団法人TOKYO PLAYは、「Play Friendly Tokyo~子どもの遊びにやさしい東京を~」の実現を目指し、政策提言やキャンペーンから、研修や市民活動の伴走支援に至るまで、さまざまな事業を展開しています。
この度法人設立10年目をむかえ、ウェブサイトをリニューアルしました。それぞれの立場の方が必要な情報を見つけやすいよう、ページを新設しています。

今回のイベントでも様々な立場の人がつながり、新たな動きが生まれています。ぜひ、今後の活動にもご注目ください。

HP:https://tokyoplay.jp/

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一般社団法人TOKYO PLAY

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業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都渋谷区上原1-3-9
電話番号
-
代表者名
嶋村 仁志
上場
未上場
資本金
-
設立
-