大王製紙向け木材チップ専用船でバイオ燃料試験航行を実施
当社外航船として国内初のバイオ燃料補油
2023年6月30日
当社は6月22日、衣浦港(愛知県)で大王製紙株式会社(以下「大王製紙」)向けの木材チップ専用船「DAIO AUSTRAL」(ダイオー・アウストラル、以下「本船」)に、当社が運航する外航船として初めて、日本国内でバイオディーゼル燃料(注1、以下「バイオ燃料」)を供給しました。本船はベトナムのカイラン港まで試験航行を行い、現地時間の6月29日、無事に到着しました。
本船は大王製紙の木材チップを輸送するため当社が運航しているもので、バイオ燃料の供給を豊田通商マリンフューエル株式会社から受け、航行中にバイオ燃料使用時の主機・発電機の動作検証などを行いました。
バイオ燃料は、廃食油などの生物由来の有機性資源(バイオマス)を原料としており、燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量は実質ゼロとみなされます(注2)。重油焚き船舶エンジンでも使用可能なため、重油からゼロエミッション燃料への過渡期で温室効果ガス(GHG)の排出を削減する有力な手段とされています。
当社グループは2019年度以降、2022年度までにばら積み船を主とする外航船7隻、タグボート(注3)2隻でバイオ燃料を使用した試験航行に成功しています。2023年度も複数隻での試験航行を目指しており、今回、大王製紙の協力を得て実施に至りました。
当社は今後も、バイオ燃料やその他の次世代燃料の導入に積極的に取り組み、海上輸送での脱炭素化を推進します。
日本郵船グループは、中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を2023年3月10日に発表しました。“Bringing value to life.”を企業理念とし、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、ESGを中核とした成長戦略を推進します。(詳しくはこちら→ https://www.nyk.com/profile/plan/ )
本取り組みは、当社における、海上、陸上、ターミナル等のモードを問わず、モノ運びを通じてGHG排出を低減し、お客様のサプライチェーンに還元していく取り組みを対象としたブランド「Sail GREEN」の一環です。
Sail GREENロゴ
(詳しくはこちら→ https://www.nyk.com/news/2022/20220427_02.html )
今回の取り組みが特に貢献するSDGsの目標
位置関係図
© OpenStreetMap
バイオ燃料補給の様子
「DAIO AUSTRAL」概要
全長 : 210メートル
全幅 : 36.5メートル
総トン数 : 49035トン
載貨重量トン数 : 60575トン
建造年 : 2009年
造船所 : 株式会社大島造船所(長崎県西海市)
各社概要
大王製紙株式会社
本社: 東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 若林 賴房
ウェブサイト:https://www.daio-paper.co.jp/
豊田通商株式会社マリンフューエル株式会社
本社: 東京都港区
代表者:代表取締役社長 平田 竜也
ウェブサイト:https://toyota-tsusho-marine-fuels.com/
日本郵船株式会社
本社: 東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 曽我 貴也
ウェブサイト:https://www.nyk.com/
当社グループがバイオ燃料を通じて目指す循環型社会
当社グループは循環型社会の実現を目指し、客船「飛鳥Ⅱ」や本店の社員食堂で使われた廃食油を回収して、国内バイオ燃料メーカーに販売する取り組みを2022年に開始しています。
(注1)バイオ燃料
植物油脂のメチルエステル化によって精製され、石油由来の重油や軽油の代替燃料として期待されています。
(注2)バイオ燃料は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出するものの、原料となる植物はCO2を吸収してバイオマスを再生産するため、直接燃焼におけるCO2排出量は実質ゼロとみなされることから、「カーボンニュートラル」を実現する化石燃料の代替物として注目されています。
(注3)タグボート
大型船の岸壁や桟橋への離着岸の補助を行う小型船。曳船とも呼ばれます。
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