「Co-Design Challenge Pitch #5」 イベントレポート「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」――これからの日本のくらしをつくる22の挑戦――

コクヨ、&SPACE PROJECT、友安製作所が登壇!プロダクトに込めた想いと挑戦の舞台裏!齋藤氏「『共創』が日本の地域産業を強くし、世界をよりよくする活動として発展していくことをレガシーにしたい」

Co-Design Challenge PR事務局

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(大阪市住之江区 事務総長:石毛博行)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機に、様々な「これからの日本のくらし(まち)」を改めて考え、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノを万博で実現する「Co-Design Challenge」プログラム(以下、「CDC」)を2022年から展開しています。第1弾(CDC2023)では、社会課題の解決をめざすプロダクトの開発を実施。第2弾(CDC2024)では、その開発に加え、地域誘客を目的とした生産現場の公開やものづくり体験、オープンファクトリーにも取り組んでいます。

第5回目の開催となる「Co-Design Challenge Pitch #5 ― デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる これからの日本のくらしをつくる22の挑戦 ―」が、9月22日(月)、万博会場内のフューチャーライフヴィレッジ(以下「FLV」)にて実施されました。本イベントでは、CDCに参加する事業者が、自社の課題解決に向けたアプローチや、プロダクトに込めた想い、そして未来へのビジョンを語りました。

ナビゲーターには、齋藤精一氏と矢島進二氏を迎え、コクヨ株式会社、&SPACE PROJECT、株式会社友安製作所の3事業者が登壇。それぞれが直面する社会課題や、それに応えるために開発したプロダクト、さらに万博終了後を見据えた展望について発表し、全5回にわたり実施してきた「Co-Design Challenge Pitch」は幕を下ろしました。

“これからのくらし”をデザインするとは?齋藤氏が語る、CDCに込めた想い

プロジェクトの立ち上げ時から携わってきた矢島氏は「閉幕まで残り3週間となり、長い時間かけたみなさんの意欲的な取り組みも成功裏に終わることになる。今回3事業者の方のお話を聞けることが出来て感慨深い」と振り返りました。

準備段階からプロジェクト全体を見てきた齋藤氏は「コロナ禍以降で初めて計画された万博で苦労もあったが、2025年の万博はこうあるべきとの思いでやってきた」と話し、「デザイン(モノ・コト・仕組み)の力で、万博を『共創』の場所にしたい。その『共創』が2025年以降も日本の地域産業を強くし、世界をよりよくする活動として発展していくことをレガシーにしたい」と力を込め、3事業者の皆さんにバトンを渡しました。

コクヨ株式会社

最初に登壇したのは、コクヨ株式会社 TCM本部マーケティング部担当課長の酒井宏史氏。「日本の森が抱える問題への意識を高め、地域を知り地域の木材を使うことで地域の活性化につなげたい」とCDCに応募し、「地域木材を活用したベンチ」 の製作と「組み立てワークショップ」 を掛け合わせた、「モノ」 と 「コト」 をパッケージ化した企画を実施しました。

本企画には兵庫県伊丹市、大阪府河内長野市、高知県四万十町が協賛。万博への参加意識の醸成につなげるため、小物作りやベンチの組み立て、チャーム作り・飾り付けといったワークショップを開催し、四万十町では地元の高校生によるアイデアの検討やプレゼンテーションを経て、デザイン案を作成しました。

プロダクトには住民の想いを反映し、世界中の利用者を想定した耐久性や屋外での使用に耐えうる品質も追求。伊丹市は「伊丹空港から世界に飛び立つ飛行機の飛行機雲」、河内長野市は「森林が生み出す自然の恵み 豊かな水源」「想いをつむぐ高野街道」、四万十町は「こころの源流 四万十川」「人と人をつなぐ沈下橋」などが誕生しました。

酒井氏は「万博に設置するベンチの開発を通じて、コクヨや自分自身にとっても、新しい価値の追求ができた」と成長への手応えを感じていました。

&SPACE PROJECT 

続いて、異業種とのコラボにより宇宙産業の可能性を広げることを目指す&SPACE PROJECTから株式会社DOKASEN代表取締役の中井章郎氏が登壇しました。

北海道大樹町にはアジア初の民間商業宇宙港「北海道スペースポート」があり、JAXAの宇宙実験が行われるなど、道東エリアでは宇宙産業の開発が活発化しています。ロケットの開発時の耐久試験などでアルミ合金の燃料タンク廃材が大量に出ることに着目し、道東の家具メーカーや製作所と協力して家具にリメイクしたのが「宇宙タンクベンチ」です。宇宙タンクベンチ作成後も宇宙ロケットの廃材を活用したスピーカーや、実際のロケットの立体モデルを参考にしたロケット積み木についても制作を行っていることを紹介されました。中井氏はこうした取り組みを通じて「次の基幹産業である宇宙産業は、みんなの手が届くところにあることを知ってもらいたかった」と話します。

さらに、道東エリアに関心を持ってもらう体験企画として「プラスワントリップツアー」+「EXPO酒場釧路店」を実施しました。

中井氏は「宇宙産業に関心を抱くきっかけとなるように万博を道標にしていきたい。道東をもっと盛り上げていく」と熱く展望を語りました。

株式会社友安製作所

最後に登壇したのは、齋藤氏から「オープンファクトリー博士のひとり」と紹介された株式会社友安製作所 ソーシャルデザイン部担当執行役員の松尾泰貴氏です。八尾市職員として地元企業の支援業務に携わり、近畿経済産業局への出向では中小企業の政策立案や支援策に関わった経験から、行政や中小企業が抱える課題を実感してきたことが自身の強みだといいます。

松尾氏が2020年に始めた「FactorISM(ファクトリズム)」はこうば(Factory)の思いを、旅での体験(Tourism)を通じて、主義・主張(ISM)を伝える造語で、「こうばはまちのエンターテインメント」を合言葉に地域一体型のオープンファクトリーイベントを展開してきました。ものづくりの現場を一般開放し、人々の生活を支えるものづくりの現場が体験できる取り組みです。2025年は「五感」をテーマに10月23日から26日に開催し、参加は八尾市をはじめとする13市町92社にまで拡大しています。

松尾氏が「関わるという選択肢しかなかった」という万博には、町工場で出た端材と廃材を利用したテーブルやスツールを製作し設置。多様な廃材を集めるため町工場が協力し、アーティストも加わって職人の技術とアーティストのデザインを融合させた「作品」です。

松尾氏は「価値がなくなったモノに価値を吹き込みたかった。作っていきたいのは技術を次世代に継承する『式年遷宮(せんぐう)』の仕組み」と力を込めました。

齋藤氏と矢島氏、3事業者がそれぞれの挑戦を終えて語った”共創の手応えと未来 “

3事業者が揃って登壇したクロージングトークでは、齋藤氏から「これからの日本のモノづくりはどういう方向に向かうべきか」という問いかけがありました。松尾氏は「モノづくりの現場でも、公正な価格で継続的に商品が提供できるようなフェアトレードを実現していきたい。手仕事のような背景的な価値をちゃんと伝えて、モノづくりの価値をどう見える化するかにこだわっていきたい」と話しました。

中井氏は「世界ではロケットが毎日どこかで打ち上げられているのに、日本では年間3、4本というのが現状。予算も人も不足しており、このままではロケットエンジンが作れなくなる危機的な状況にもなりかねない。違うアプローチで、次世代の産業としてつなげていきたい」と訴えました。

酒井氏は「コクヨの場合、品質の確保に向けて決められた工程、材料、基準に則ってものづくりをしているが、CDCの取り組みをきっかけに、もっと柔軟な仕組みを取り入れてものづくりを進めても良いのでは、という気持ちに変わってきた。地元の材料を地元の工場で製作し、地元の住民に使っていただくなど、地域密着型の仕組みを整えていきたい」と意欲を見せました。

2022→2025の歩みを振り返って ― つながりと実装の記録 ―

CDCプログラムは、万博を契機に様々な「これからの日本のくらし(まち)」を改めて考え万博で実現するプロジェクトです。万博という機会を活用し、物品やサービスを新たに開発することを通じて、現在の社会課題の解決や万博が目指す未来社会の実現を目指します。

事業者の募集を2回行い、CDC2023(第1弾)では「モノの開発」、CDC2024(第2弾)では新たに「地域誘客」の観点も取り入れられ、合計22事業が実装されました。

齋藤氏は2018年に大阪・関西万博の開催が決まってから7年に渡って携わり、2025年を契機に政策や産業のうねりを創り出すことを目標に尽力してきました。矢島氏が所属する日本デザイン振興会は公式ロゴマークやキャラクター、デザインシステムの選考など、当初からデザイン面で支援をしてきました。

矢島氏は「新しいモノづくりの実現に向かって万博はひとつの起点になった。これからもどんどんチャレンジしていってもらいたい」とエールを送ります。齋藤氏はパビリオンや施設を解体し、移築や展示品のリユースなどを行う万博サーキュラーマーケット「ミャク市!」プロジェクトにも触れながら、「日本のモノづくりの場を強くするという思いで関わってきたが、将来が少し見えてきた。次の時代にはいいことも苦しかったことも共有していきたい」と手応えを語りました。

2025年、5回に渡り開催した「Pitch」はCDCに参加した事業者や伴走し続けてきたアドバイザーにとって今までの活動を語る集大成の場となりました。

第5回登壇者の紹介

■ナビゲーター

齋藤精一 EXPO共創プログラムディレクター

Expo Outcome Design Committee(EODC)代表。2025年大阪・関西万博EXPO共創プログラムディレクター。パノラマティクス主宰。建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。2006年(株)ライゾマティクス(現:(株)アブストラクトエンジン)を設立。社内アーキテクチャー部門『パノラマティクス』を率い、行政や企業などの企画、実装アドバイザーも数多く行う。2023年よりグッドデザイン賞審査委員長。

矢島進二

公益財団法人日本デザイン振興会 常務理事。グッドデザイン賞をはじめ、東京ミッドタウン・デザインハブ、東京ビジネスデザインアワード、地域デザイン支援など多数のデザインプロモーション業務を担当。武蔵野美術大学、東京都立大学大学院、九州大学大学院で非常勤講師。毎日デザイン賞調査委員。

■事業者

コクヨ株式会社(大阪府大阪市)

国産材、地域材活用のための木製ベンチ

&SPACE PROJECT

宇宙ロケットの試験用燃料タンクを使用したアップサイクル家具「宇宙タンクベンチ」

株式会社友安製作所(大阪府八尾市)

端材と廃材を活用した中庭スツールとテーブル~LIVE!SM(ライブイズム) 生きるが、醸す~

※登壇事業者の詳細は以下の別紙をご参照ください。

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2025年⼤阪・関⻄万博

4月13日から10月13日まで開催中の2025年大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げています。「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」という3つのサブテーマのもと、世界各国が多様な提案を行い、未来社会に向けた取り組みが進められています。人工知能=AI、エネルギー、交通、都市開発などの分野における最新技術やアイデアが披露され、すべての人にとって持続可能な社会を、というコンセプトを中⼼に据えています。

また、大阪・夢洲からすべての人にとってよりよい未来を創造するための文化的理解と多様性の重要性を世界に発信し続けています。

 「Co-Design Challenge」プログラムとは

Co-Design Challengeプログラムは、大阪・関西万博を契機に、様々な「これからの日本のくらし(まち)」 を改めて考え、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノを万博で実現するプロジェクトです。

万博という機会を活用し、プロダクトやサービスを新たに開発することを通じて、現在の社会課題の解決や万博が目指す未来社会の実現を進めます。

Co-Design Challengeプログラムは、当協会が設置したデザイン視点から大阪・関西万博で実装すべき未来社会の姿を検討する委員会「Expo Outcome Design Committee」監修のもと生まれたプログラムです。

本プログラムは、計2回、募集を行いました。第1弾募集(Co-Design Challenge 2023)はモノの開発、第2弾募集(Co-Design Challenge 2024)は、モノの開発に加え、新たに「地域誘客」の観点でそれらのモノが作られた「日本全国それぞれの土地」の生産現場や工房を公開し、来訪者にものづくりを体感してもらう取組(オープンファクトリー)を募集。

4月13日に開幕した大阪・関西万博の会場に22のプロジェクトを通じて制作されたプロダクトが実装され、実際に来場者が触れることができます。さらに本イベント「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」では、その背景にある社会課題へのアプローチや、プロジェクトに込めた想い、未来へのビジョンについて、事業者自らの言葉で語り合う場を設けました。

また、フューチャーライフヴィレッジ内に、CDCを紹介する2台の展示台を設置しています。設置は万博閉幕までを予定しています(※一時展示を行っていない場合もございます)。

CDCではこれらの取組を通じて、万博が目指す未来社会の実現を進めます。

 体験企画 詳細情報

※1:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/715881/

※2:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/732220/

※3:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/815909/

※4:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/1047780/

※5:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/1057576/

 大阪・関西万博会場 設置予定場所

※フューチャーライフヴィレッジは、会場西側(フューチャーライフゾーン)に位置しています。

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会社概要

URL
https://www.expo2025.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
大阪府大阪市住之江区南港北一丁目14番16号
電話番号
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代表者名
十倉雅和
上場
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資本金
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設立
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