【中小企業の障害者雇用調査】立ちはだかる「業務切り出し」の壁。代行サービス利用者の4割超が「課題あり」と回答

法定雇用率2.7%へ引き上げ。準備状況の二極化が進む中、中小企業が代行サービスに頼る理由と見えてきた課題

株式会社ゼネラルパートナーズ

株式会社ゼネラルパートナーズ(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:進藤 均)は、中小企業の人事・採用担当者を対象に「中小企業における障害者雇用の課題と代行サービス活用の実態」に関する調査を行いました。

2026年7月、障害者の法定雇用率が「2.7%」へ引き上げられ、義務対象が従業員37.5人以上の企業へ拡大されます。

目前に迫る改正法の施行に対し、自社での雇用にハードルを感じ、対応に苦慮する中小企業も多いのが現状です。

こうした中、法定基準をクリアする手段として「農園型・サテライトオフィス型」などの「障害者雇用代行サービス」が注目を集めていますが、実際に利用している企業はどのようなメリットや課題を感じているのでしょうか。

そこで今回、株式会社ゼネラルパートナーズhttps://www.generalpartners.co.jp/)は、中小企業の人事・採用担当者を対象に「中小企業における障害者雇用の課題と代行サービス活用の実態」に関する調査を行いました。

調査概要:「中小企業における障害者雇用の課題と代行サービス活用の実態」に関する調査

【調査期間】2026年4月28日(火)~2026年4月30日(木)

【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査

【調査人数】1,024人

【調査対象】調査回答時に中小企業の人事・採用担当者と回答したモニター

【調査元】株式会社ゼネラルパートナーズ(https://www.generalpartners.co.jp/

【モニター提供元】サクリサ

※こちらでもご覧いただけます。

https://note.com/gp__info/n/n645290a2ed87

迫る法定雇用率2.7%。約6割が準備を進める一方で浮き彫りになった「業務の切り出し」と「属人化」の壁

はじめに、目前に迫る法改正への対応状況を見ていきます。

「2026年7月に『2.7%』へ引き上げられる障害者の法定雇用率達成に向けて、自社で新たに何人の採用が必要か、具体的に計算・把握しているか」と尋ねたところ、約6割が『すでに2.7%基準での採用人数を達成している(新たな採用は不要)(20.0%)』または『新たに必要な採用人数を、正確に計算・把握している(40.4%)』と回答しました。

多数が新基準を見据えた具体的なアクションや現状確認を終えていることが明らかになりました。

障害者雇用を進める上で、どのような点に難しさを感じているのでしょうか。

「障害者雇用を進める上で、中小企業ならではの課題だと感じるもの」を尋ねたところ、『障害者に任せる業務の切り出しが難しい(37.3%)』と回答した方が最も多く、『障害者雇用のノウハウが不足している(35.1%)』『専任の担当者を配置する余裕がない(28.3%)』と続きました。

大手企業に比べて一人ひとりの担当範囲が広い中小企業では、障害のある方が安定して取り組める「定型業務」を独立して抽出することが構造的に難しいという課題を抱えている様子が読み取れます。

次いで回答の多かった「ノウハウ不足」や「専任担当者を配置できないなどの人的リソース不足」もこうした受け入れ体制構築の遅れに拍車をかけていると推察されます。

「障害者雇用に関する実務(業務の切り出し、採用、定着支援など)は、主に誰が行っているか」と尋ねたところ、『人事・採用担当者(43.0%)』が最も多く、『配属先の現場社員・リーダーなど(24.7%)』『担当者が明確に決まっておらず、その都度対応している(13.5%)』と続きました。

『人事・採用担当者』が業務の傍らで実務全般を担うケースが約4割を占め、特定の担当者に実務の負担が集中している状況が確認できます。

また、「現場社員やリーダー」が実務を担う割合も約3割に達しており、日々の業務と並行しながら対応を進める現場の実態が見受けられます。

専任担当者が1割に満たない現状で、「その都度対応」という回答の存在をあわせると、多くの中小企業において障害者雇用は「組織的に標準化された取り組み」というより、担当者個人の尽力によって支えられている企業も存在するようです。

リソース不足を補う障害者雇用代行サービス。約6割が関心を示す一方で、「雇用整備不足」や「コスト」の狭間で揺れる企業も

「障害者雇用代行サービス(農園型・サテライトオフィス型など)の認知および利用・検討状況」について尋ねたところ、約6割が『現在利用している(18.5%)』『過去に利用していたが、現在は利用していない(23.2%)』『利用を検討している(20.6%)』と回答しました。

「過去に利用していたが、現在は利用していない」層が最多となったものの、利用経験のある企業や現在検討中の企業を含めると、約6割の中小企業が障害者雇用代行サービスに関心を示しています。

限られたリソースの中で法定雇用率を達成するための選択肢として、代行サービスが多数の企業に認知されている結果となりました。

前問で『現在利用している』『過去に利用していたが、現在は利用していない』『利用を検討している』と回答した方に「障害者雇用代行サービスを利用・検討した理由」について尋ねたところ、『自社で雇用管理や定着支援を行うノウハウがない(39.2%)』と回答した方が最も多く、『専任担当者を置く余裕がない(34.0%)』『自社で採用活動を行う手間・コストを省きたい(30.9%)』と続きました。

「ノウハウ不足」と「専任担当者の不在」といった社内リソースの課題に加え、「採用コストの削減」を求める声が上位に並びました。

本調査で浮き彫りになった中小企業特有の課題と一致しており、自力での受け入れ体制構築に支障が生じていることが見て取れます。

障害者雇用代行サービスのメリットは「手間の削減」と「負担軽減」。一方で浮き彫りになるノウハウ蓄積の課題

実際に障害者雇用代行サービスに触れた企業の評価はどうなっているのでしょうか。

「障害者雇用代行サービスについて、あなたの評価・印象として最も近いもの」について尋ねたところ、『活用できる場面はあると思うが、課題もあると感じる(40.3%)』と回答した方が最も多く、次いで『実際に利用したが期待を下回った(16.7%)』『実際に利用してよかった/良い手段だと思う(10.8%)』という結果になりました。

代行サービスを「良い手段だ」と肯定的に評価する声は約1割にとどまりました。

一方で、「有用性を認めつつも課題を感じる」層が約4割、「期待を下回った」層が約2割と、何らかの課題を実感している企業が約6割となりました。

この結果から、外部サービスを導入すれば雇用に関する課題がすべて解消されるわけではないという実情が浮かび上がります。

「障害者雇用代行サービスのメリット・効果として感じる(または感じそうな)ものはどれか」について尋ねたところ、『採用活動や雇用管理にかかる手間・コストを削減できる(39.5%)』と回答した方が最も多く、『現場の社員に負担をかけずに済む(39.4%)』『自社で設備や環境を整備する手間・コストを削減できる(24.4%)』と続きました。

「採用・管理の手間やコストの削減」に並んで、「現場の社員に負担をかけずに済む」という回答が上位に入りました。

代行サービスの多くは外部施設(農園やサテライトオフィスなど)を利用するため、社内のレイアウト変更や設備投資が不要になります。

さらに、現場の社員がサポート業務に時間を取られず、本業に集中できるというメリットもあります。

「手間」「現場の負担」「環境整備」とさまざまな回答が挙がりましたが、いずれも突き詰めれば企業側の負担を減らす要素であり、代行サービスは多様な「コスト(金銭・時間・労力)を削減できる手段」として支持されているようです。

「障害者雇用代行サービスの懸念・課題として感じる(または感じそうな)もの」について尋ねたところ、『自社内に障害者雇用のノウハウが蓄積されない(45.8%)』と回答した方が最も多く、『人材が定着しない(離職してしまう)(29.7%)』『障害者本人のキャリア形成や成長につながりにくい(28.3%)』と続きました。

約半数の企業が『自社内に障害者雇用のノウハウが蓄積されない』ことを懸念に挙げており、実務を外部に委託することで、社内の受け入れ体制や知見が育ちにくい状況に不安を感じていることが示されました。

また、「人材の定着」や「障害者本人のキャリア形成」に関する懸念もそれぞれ約3割にのぼりました。

法定雇用率を満たす合理的な手段として外部サービスを評価しつつも、組織としての多様性への対応力をどう養っていくかが、今後の課題として認識されているようです。

先日、5月12日に厚生労働省からも障害者雇用代行サービス(ビジネス)における雇用管理のあり方について「企業側の雇用責任の希薄化がみられる」といった課題が指摘されましたが、企業側も同様の危機感をすでに抱いていることがわかります。

自社雇用がもたらす本質的な価値。約3割が「マネジメント力の向上」や「組織の活性化」に期待

「障害者を自社内で雇用し活躍してもらうことは、自社にとってどのような良い影響・価値があると思うか」について尋ねたところ、『人手不足の解消(33.7%)』と回答した方が最も多く、『現場社員のマネジメント能力やコミュニケーションスキルの向上(31.7%)』『多様性(ダイバーシティ)の推進による、組織の活性化や企業価値の向上(30.0%)』と続きました。

多くの中小企業は、『人手不足の解消』にとどまらず、「現場社員のマネジメント能力やコミュニケーションスキルの向上」や「ダイバーシティの推進」など、組織全体に波及する良い効果に期待を寄せています。

多様な人材と直接関わりながら業務を進める経験は、既存の社員にとっても新たな視点を得る有意義な機会となる可能性があります。

【まとめ】法定雇用率達成の「その先」を見据えた持続可能な雇用戦略を

今回の調査を通じて、2026年の法改正を前に、中小企業が抱える障害者雇用の実態と模索する姿が浮き彫りになりました。

約6割の企業が新基準に向けて採用人数の把握などを進める一方で、「業務の切り出し」や「ノウハウ・人的リソースの不足」といった壁に直面し、特定の担当者や現場に実務の負担が偏るなど、自力での受け入れ体制構築に苦戦しています。そうした中、現場の負担を抑えながら手間やコストを削減できる現実的な選択肢として、約6割の企業が代行サービスに関心を示しています。

しかし、利用を見送る企業からは「コストの高さ」や「社会的責任」への葛藤が挙げられているほか、実際に代行サービスを利用・検討した企業の約6割も「自社にノウハウが蓄積されない」「人材が定着しない」といった課題を感じています。外部に委託するだけでは、障害者雇用における根本的な解決に至らないという実情が見えてきます。

こうした企業側の懸念は、先日5月12日に上野厚生労働大臣が記者会見で障害者雇用ビジネスに対し「企業側の雇用責任の希薄化」や「不十分・不適切な雇用管理」といった課題を指摘したこととも深く重なります。行政が問題視している点を、当事者である企業側もすでに自覚している実態が、今回の調査データから裏付けられた形です。

一方で、自社雇用に対して「現場社員のマネジメント能力やコミュニケーションスキルの向上」「ダイバーシティの推進」を期待する声も多く挙がりました。これは、障害者雇用を単なる義務の達成ではなく、組織を活性化させる機会と捉えている企業がいることを示しています。

今後の障害者雇用において重要なのは、自社ですべてを抱え込むことでも、完全に外部へ切り出すことでもありません。例えば、コストや手間の削減として代行サービスをうまく活用しつつ、社内では専門機関のサポートを受けながら少しずつ受け入れ体制を整えていくなど、自社の状況に合わせた柔軟な組み合わせが求められます。

法改正を一つの契機として、無理のない範囲で多様な人材が活躍できる仕組みを作っていくことが、結果として変化に強い組織づくりにつながっていくのではないでしょうか。

「障がい者総合研究所」について

今回、「中小企業における障害者雇用の課題と代行サービス活用の実態」に関する調査を実施した株式会社ゼネラルパートナーズは、障がい者の総合就職・転職サービス「atGP」等を運営するとともに、調査・研究機関「障がい者総合研究所」https://www.gp-sri.jp/)を運営しています。

■障がい者総合研究所とは

障がい者総合研究所は、障がい者の総合就職・転職サービスを運営する株式会社ゼネラルパートナーズの調査・研究機関です。

10年以上にわたり障がい者雇用において培った知識と経験を活かし、有益な情報を広く社会へ発信していきます。

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業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング9階
電話番号
-
代表者名
進藤 均
上場
未上場
資本金
-
設立
2003年04月