Spiberのバイオスフィア・サーキュレーション(生物圏循環)プロジェクトにKering、EILEEN FISHER Inc.などの企業が新たに参画
繊維産業における循環型システム構築に向けた取り組みの促進に向け、生地サンプル提供等連携
構造タンパク質素材「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)」を開発するSpiber株式会社(本社:山形県鶴岡市/取締役兼代表執行役:関山和秀/以下、Spiber)は、完全循環型の繊維製品の実現、循環型社会の推進を目指し、繊維製品や農業の廃棄物を、微生物発酵で新たなタンパク質素材を産業規模で生産する際の原料に転換する、バイオスフィア・サーキュレーション(生物圏循環)システムの研究開発を進めています。そしてこの度、Kering Material Innovation Lab (MIL)、EILEEN FISHER Inc.、Johnstons of Elgin、DyStarが、同プロジェクトに新たに参画することとなりました。
この新たな一歩は、1月11日に開かれた、バイオに関連するイノベーター、ブランド、投資家などに画期的なバイオ素材や原材料を紹介するエコシステムとして毎年開催されている「Biofabricate Paris Summit」(今回はパリでの開催。期間は1/10-12)でのパネルセッションにおいて、当社のヘッド・オブ・サステナビリティ兼執行役員の東憲児より発表されました。(同パネルセッションには新たに参画することとなったKering Material Innovation Lab (MIL)、EILEEN FISHER Inc.も登壇し、循環型モデル構築に向けた繊維産業の課題や、バイオスフィア・サーキュレーションプロジェクトへの期待などが語られました)
同プロジェクトへの参画は、2023年6月に参画を開始したゴールドウインとPANGAIAに続くもので、これらのコラボレーションは、繊維産業の「取る-作る-使う-捨てる」という直線型モデルから「取る-作る-使う-再利用する」という循環型モデルへの移行に向け、同システムの研究開発の促進、そして業界全体での導入の促進を目的としています。各社からは多面的なご協力をいただく予定で、Spiberのラボレベルでの取り組みに際する生地サンプルの提供にあたっては、主要な種類の化学薬品で加工された特定の繊維で構成されている生地が必要となるため、各社はそれぞれのサプライチェーンパートナーとも連携しながら本プロジェクトに向け特別に生地をご用意いただくなど、多角的にサポートいただいております。
Kering Material Innovation Lab Director | Christian Tubito氏コメント
「より循環的な繊維産業を実現するためには、さまざまな解決策を検証、展開するだ
けでなく、マルチレベルのアプローチが必要です。バイオスフィア・サーキュレー
ションプロジェクトは、繊維リサイクルに新たな道を開く野心的で挑戦的な取り組み
です。これまではリサイクルのその先はありませんでしたが、再利用できていなかっ
た繊維素材の新たな有望な選択肢となる可能性があると考えています。」
EILEEN FISHER Inc. Director of Material Sustainability and Integrity | Inka Apter氏コメント
「繊維産業を循環型経済に向けて共に前進させるためには、道具箱の中にあるすべて
のツールが必要です。バイオスフィア・サーキュレーションプロジェクトは、循環性
の基本原則に、染料や仕上げ剤などを含め素材の構成要素レベルから目を向けたもの
です。これは、循環型経済への新しくも本質的なアプローチです。これらの課題を共
同で解決していくために、アイリーン・フィッシャーは喜んでサポートしていきま
す。」
各社から提供いただいた素材や他の素材をラボレベルで試験することで、セルロースやタンパク質ベースの素材から糖やアミノ酸など発酵プロセスで使用できる栄養素への変換にあたり、仕上げ剤や着色剤などさまざまな種類の加工用化学物質がどのような影響を与えるかを分析します。Spiberは、この試験結果を蓄積してデータベース化し、加工用化学物質と組み合わせたさまざまな素材が、 発酵のための栄養素に変換される際の効率性などを明らかにしていく予定です。このデータベースは、業界が循環型製品を設計する際に参照でき、将来的にはSpiberのバイオスフィア・サーキュレーションシステムのような循環型ソリューションに適合する製品の設計にも有効的に使用できる見込みです。
2023年、Spiberのバイオスフィア・サーキュレーションプロジェクトは、循環型ソリューションに適合する製品を製造するための枠組みを業界に提供するため、製品設計の原則を含むプロジェクトの概要を発表しました。さらに、Spiberとバイオスフィア・サーキュレーションプロジェクトへの参加企業は、初期段階として、さまざまな種類の化学物質がセルロースとタンパク質ベースの繊維の発酵プロセス用の栄養素への変換にどのような影響を与えるかを調べるため、繊維と主要加工用化学物質の組み合わせの試験と分析を開始しました。(進捗の詳細は、プレスリリース添付資料内に記載しております)。
Spiberは今後も、すべての製品が循環型システムに組み込まれ、これまで廃棄されていたものが使用終了時からも新たな価値を持ち再生することができる未来の実現に向け、強力な参画企業のお力添えもいただきながら、素材の作り手として研究開発を推進していくと共に、業界全体で限りある資源を有効に活用し、包括的な循環型モデルとインフラを確立させるべく、プロジェクトの推進と合わせ、より多くのブランド、企業の皆様へ引き続き参画を呼びかけて参ります。
<参考>
Biosphere circulation project
当社は、バイオベース及び生分解性を有する繊維、そしてサトウキビのバガスやトウモロコシの茎葉などの農業廃棄物も含め、これまで“ゴミ”とされてきたものを微生物発酵プロセスの栄養素(糖やアミノ酸)として分解し、新たにBrewed Protein™素材に再生していく際の資源として最大限に活用するという循環型エコシステムの実現を目指し、必要な技術の確立、製品設計ガイドラインの作成、インフラ構築等に向け、長期的な開発に取り組んでいます。
Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)繊維
植物由来のバイオマスを原材料に使用した微生物の発酵プロセスにより生産される人工タンパク質素材。様々なアプリケーションに加工でき、Brewed Protein™ポリマーを紡糸した Brewed Protein™繊維は、シルクのような光沢と繊細さを持つフィラメント糸、さらに上質でなめらかな肌触りのカシミヤや嵩高性に優れたウールのような紡績糸にも加工することができます。同繊維の生産規模が拡大していくと、開発を手がけるSpiber が初期的な注力分野としているアパレル産業向けのテキスタイル用途において、例えば、高級獣毛でありながら、様々な環境リスクを指摘されているカシミヤ繊維と比較した場合には、温室効果ガスの排出量の大幅な縮小と土地や水の使用量の削減が、また、Brewed Protein素材自体は環境分解性を有するため、最終製品の設計によっては石油由来製品によるマイクロプラスチック排出の課題解決への貢献が見込めるなど、従来の動物由来、植物由来、合成素材に代わるソリューションを提供することができる次世代の素材として期待が寄せられています。
Spiber 株式会社
2007年創業、構造タンパク質「Brewed Protein™素材」を開発する、山形県鶴岡市に拠点を置くバイオベンチャー。Spiber初となるタイ・ラヨン県の量産プラントでBrewed Protein™ポリマーの生産を段階的に拡大しており、国内外で広く販売を続けております。
Spiberのウェブサイト: https://spiber.inc
Spiber Sustainabilityウェブページ: https://spiber.inc/sustainability/
※Spiberは、Spiber Inc.の日本およびその他の国における商標または登録商標です。
※Brewed ProteinTMはSpiber Inc.の日本およびその他の国における商標または登録商標です。
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