世界初!宇宙を汚さないクリーンなロケット推進薬の開発に成功
-新小型固体ロケット2機の発射実験で性能を確認-
2021年3月25日、千葉県千葉市にある千葉工業大学千種グラウンドにおいて新小型固体ロケット2機の打上実験を実施しました。この新小型ロケットには、千葉工業大学、日油株式会社、宇宙航空研究開発機構(JAXA)らが共同研究にて新たに開発した宇宙を汚さないクリーンなロケット推進薬を搭載しています。2回の打上実験が実施され、いずれも打ち上げに成功し予定通りの高度へ到達したことが確認されました。これにより、新しいロケット燃料の有用性が確認され、今後、クリーンな推進装置として人工衛星や惑星探査機などの宇宙機への搭載や宇宙ゴミを発生しないため他の惑星を汚染しない推進系としての利用が期待されます。
【詳細】
新固体小型ロケットの打上実験は、千葉工業大学、日油株式会社、JAXA の 3 者が進める高性能な小型 推進系の研究開発と題した共同研究の一環として実施されました。3 者は金属燃料を使用しないクリーン な排気ガスを持つ新たなロケット推進薬の開発に取り組んでいます。通常のロケット推進薬には、金属 燃料を用いるため性能が向上する代わりに金属酸化物などが排気ガス中に含まれて排出されます。それ らが宇宙ゴミ(デブリ)となり、宇宙空間を汚染してしまうことを受け、ISO-24113 、Space debris mitigation requirements ではこうしたデブリの抑制を求めています。しかし、金属燃料を抜いてしまうと 性能が極端に低下するため、性能を落とさず高性能でクリーンな推進薬を開発する必要があります。そ こで、本研究ではロケット推進薬の燃料兼結合材として用いられている高分子材料に高エネルギ物質で ある Glycidyl Azide Polymer (GAP)を採用しました。これにより、金属燃料を抜いた従来推進薬よりも 15% 以上の性能向上(※2)を実現することができます。しかし、GAP を用いた推進薬を固体ロケットの形に して燃焼効率や推力発生効率などの性能評価を行った研究はこれまでにありませんでした。本研究では 「GAP/AP 推進薬」として固体ロケットの燃焼器内で燃焼させ性能評価を行う実験を複数回実施し、確実 な着火と安定した燃焼を確認しました。次のステップとして小型ロケットに搭載し、打ち上げ時の加速 度が生じる状況でも、正常に燃焼することを確認するために今回の打ち上げ実験を実施しました。 打ち上げたロケットは、千葉工業大学工学部機械電子創成工学科の和田研究室が設計製作した全長 680mm、重さ 550g の小型ロケット 2 機となります。表に実験成果をまとめます。本実験の成功により、 GAP/AP 推進薬において 2 回の小型ロケット打上に成功し、シミュレーションとほぼ一致する到達高度 となったため、高加速度環境下においても予定通りの性能が得られることを実証することが出来ました。 今後は、宇宙空間での利用を目指し、より小型軽量化と真空環境下での着火特性を評価し、宇宙機への 搭載と宇宙実証を目指します。
新固体小型ロケットの打上実験は、千葉工業大学、日油株式会社、JAXA の 3 者が進める高性能な小型 推進系の研究開発と題した共同研究の一環として実施されました。3 者は金属燃料を使用しないクリーン な排気ガスを持つ新たなロケット推進薬の開発に取り組んでいます。通常のロケット推進薬には、金属 燃料を用いるため性能が向上する代わりに金属酸化物などが排気ガス中に含まれて排出されます。それ らが宇宙ゴミ(デブリ)となり、宇宙空間を汚染してしまうことを受け、ISO-24113 、Space debris mitigation requirements ではこうしたデブリの抑制を求めています。しかし、金属燃料を抜いてしまうと 性能が極端に低下するため、性能を落とさず高性能でクリーンな推進薬を開発する必要があります。そ こで、本研究ではロケット推進薬の燃料兼結合材として用いられている高分子材料に高エネルギ物質で ある Glycidyl Azide Polymer (GAP)を採用しました。これにより、金属燃料を抜いた従来推進薬よりも 15% 以上の性能向上(※2)を実現することができます。しかし、GAP を用いた推進薬を固体ロケットの形に して燃焼効率や推力発生効率などの性能評価を行った研究はこれまでにありませんでした。本研究では 「GAP/AP 推進薬」として固体ロケットの燃焼器内で燃焼させ性能評価を行う実験を複数回実施し、確実 な着火と安定した燃焼を確認しました。次のステップとして小型ロケットに搭載し、打ち上げ時の加速 度が生じる状況でも、正常に燃焼することを確認するために今回の打ち上げ実験を実施しました。 打ち上げたロケットは、千葉工業大学工学部機械電子創成工学科の和田研究室が設計製作した全長 680mm、重さ 550g の小型ロケット 2 機となります。表に実験成果をまとめます。本実験の成功により、 GAP/AP 推進薬において 2 回の小型ロケット打上に成功し、シミュレーションとほぼ一致する到達高度 となったため、高加速度環境下においても予定通りの性能が得られることを実証することが出来ました。 今後は、宇宙空間での利用を目指し、より小型軽量化と真空環境下での着火特性を評価し、宇宙機への 搭載と宇宙実証を目指します。
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