【調査】自身の虐待経験と親子連鎖 虐待経験ありは1割 約6割が身体的虐待を経験 虐待する親は虐待を受けていた傾向に 9万人を救った親子関係心理学の専門家が教える!「虐待の連鎖を止める3つの方法」
厚生労働省が昨年9月に発表した「令和3年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」によると、全国の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は 207,659 件で、過去最多だそうです。そこで、『親子の法則 人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』の著者・三凛 さとしは、20歳以上50歳未満の子持ち男女全国4,000人を対象に「自身の虐待経験と親子連鎖」について調査いたしました。
- 調査概要
調査手法:インターネット調査
調査対象:20歳以上50歳未満の子持ち男女全国
サンプル数:4,000人(男女各2,000人)
調査機関:Freeasy
※本リリースの調査結果をご利用いただく際は、「合同会社serendipity 調べ」とご明記ください。
- 調査結果
※1 虐待の定義は、厚生労働省の「児童虐待の定義」参考
自身または兄弟姉妹が虐待を受けていたと回答した男女497人に「どのような虐待を受けていたか?」尋ねたところ、最多は男女ともに「身体的虐待」(男性:57.4%、女性:61.5%)で、以下「心理的虐待」(男性:32.9%、女性:59.2%)、「性的虐待」(男性:22.8%、女性:15.4%)、「ネグレクト」(男性:19.8%、女性:21.2%)となりました。
自身または兄弟姉妹が虐待を受けていた男女、虐待を受けていない男女それぞれに「親は未成年期に虐待を受けていたか?」尋ねました。虐待を受けていない男女はともに「両親とも受けていない」(男性:58.6%、女性:64.8%)が約6割と最多だったのに対し、自身または兄弟姉妹が虐待を受けていた男女(男性:8.4%、女性:11.5%)は約1割と非常に低い結果に。一方、自身または兄弟姉妹が虐待を受けていた男性は「両親ともにまたは父親ないし母親が受けていた」が5割弱(46.8%)と多い結果になりました。虐待を受けていない男性は1.1%、女性は1.7%とかなり低い割合であることから、自身または兄弟姉妹が虐待を受けていたか受けていないかで、親の虐待経験と関連性があることがわかりました。
最後に、「虐待は親から子へ連鎖すると思うか?」尋ねました。虐待を受けていない女性(57.1%)を筆頭に虐待経験の有無にかかわらず「連鎖すると思う」(自身または兄弟姉妹が虐待を受けていた男性:45.1%、自身または兄弟姉妹が虐待を受けていた女性:47.3%、虐待を受けていない男性:45.6%)が最多でした。
- 三凛 さとしが「虐待の連鎖を止める3つの方法」について解説
これを裏付けるような有名な研究があります。それは、アメリカのジェニファー・エスポジート(Jennifer E. Lansford)氏らによって行われたもので、2002年から2010年にかけて、アメリカと6か国の子どもたちを対象に行われました。
「Child Abuse and Neglect: Long-Term Consequences on Adolescent and Adult Mental Health, Substance Use, and Criminality」というタイトルで、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が支援する研究プロジェクトとして実施された研究により、虐待を受けた子どもたちは、将来的に自分自身や他人を虐待する可能性が高くなること、具体的に言えば、自己認識の問題や抑うつ症状、不安症状、および暴力的な行動に関連する行動問題が増加する傾向があることが示されました。
また、この研究によると、過去に虐待を受けた子どもたちは、虐待を受けていない子どもたちと比べると、将来的に様々な問題を抱える可能性が高いことが示されました。例えば、虐待を受けた子どもたちは、将来的に精神障害や薬物乱用、犯罪行為に関与する可能性が高くなります。具体的に、虐待を受けた子どもたちは、自分自身や他人に対する暴力的行動を起こす可能性が、虐待を受けていない子どもたちと比較して3倍高いことが示されたのです。また、虐待を受けた子どもたちのうち約40%は、将来的に自分自身や他人を虐待することがあるという結果も出ました。
それでは、どうすれば虐待の連鎖を止めることができるのか?3つの方法を今回はご紹介します。
1.自分自身のストレス管理
複数の研究において、親自身のストレス管理が虐待の連鎖を止める可能性があることを指摘されています。
アメリカのジョンハリス氏らによる研究によると、家庭内暴力の被害者は、ストレスによって自分自身や他人に対して暴力を行う可能性が高くなることが示され、被害者がストレスを抱えた状態にあると、パートナーや子供に対して暴力を行うことがあることが報告されました。この研究では、ストレスを軽減する方法として、被害者が自分自身の心身の健康に注目し、ストレスを軽減するための方法を学ぶことが重要であることが示され、特に、瞑想やヨガ、運動などのリラックス効果がある方法が有効であるとされています。
また同様に、2017年には、カナダの研究者であるジュリア・シャンドラ氏らによる研究が行われました。この研究では、ストレスを抱えた母親は、子どもに対して暴力を行う可能性が高くなることが示された一方、母親がストレスを軽減するために、ストレッチやマッサージなどの方法を実践すると、子どもに対して暴力を行う可能性が低下することが報告されています。まずは、虐待者である親自身が日々のストレスマネジメントに取り組むことが有効だということです。
2.サポートグループや心理療法など、他者に頼る
上記のジュリア・シャンドラ氏らによれば、虐待をする親がサポートグループや心理療法など他者に頼ることで、47%虐待が減るというわかりました。もちろん、どんな心理療法なのか?やどの程度本人が真剣に取り組む気があるか次第にはなりますが、少なくとも一人で抱え込むよりも誰かの力を借りた方が、虐待の連鎖は止められる可能性が高いと言えます。
日本では、専門家のサポートを受けている虐待する親の割合は明確に把握されておりませんが、虐待を受けた子どもの通告件数や相談件数から、虐待する親のほとんどが専門家のサポートを受けていないと言われています。それは、親自身の「人に知られたくない」という罪悪感や恥も原因ではないかと思います。しかしながら、日本においても、虐待防止のために専門家による支援制度や啓発活動は行われているので、まずは親自身が「他者の力を借りることで虐待の連鎖は止められるかもしれない」「その方が自分も子どもも幸せになれる可能性が高い」ということを知ることが大切だと考えます。
3.親が自分自身の親と心理的な和解をすすめる
私は、虐待する親や虐待を受けた経験がある方とばかり接してきたわけではありませんが、約10年にわたるコーチングやカウンセリングの経験から確信しているのは、虐待された・されていない関係なく、親が自分自身の親と心理的な和解をすすめることで子育てに良い影響が出るということです。親との心理的な和解とは、今まで抱えていた親への恨みを解消するということなのですが、心理学や人間行動学の世界では、自分ひとりで親との心理的な和解を解消するエクササイズが開発されています。このエクササイズで有名なのが「インナーチャイルド・ワーク」です。インナーチャイルド・ワークにもさまざま種類や方法があり、幼少期〜未成年期に親との関係の中で傷ついたことを追体験するものや、イメージの中で傷ついていた幼少期の自分に寄り添ったりするものがあります。
また、拙著「親子の法則」でも、人間行動学に即した「親捨てワーク」を紹介しているのですが、今までたくさんの、子を持つ親御さんから「自分が親との心理的な和解をすすめることで、自分の子どもに対する言動や捉え方が変わった」というお声をいただいています。虐待や子育ての悩みは放っておくと連鎖するものですが、親自身が自ら意識することでその連鎖は止められると確信しています。
- 三凛 さとし(さんりん さとし)プロフィール
家庭内トラウマによる生きづらさを抱えるアダルトチルドレンをセルフコーチングで克服。その経験から、才能開花や経済的成功、パートナーシップ改善を指南する自己改革プログラムを開発し、9万人以上の人生好転をサポート。
SNSやオンラインスクールを通じ、お金・時間・場所の自由、そして人間関係と心身の健康の充実を実現する方法を発信中。
世界的企業家イーロン・マスクの母、メイ・マスクの子育てについての日本初講演にて、インタビュアーに抜擢される。
また、2022年3月には、親子関係について真の問題解決法を綴った初の著書『親子の法則 人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』(KADOKAWA)を出版。
公式サイト:http://sanrinsatoshi.com/
- 会社概要
所在地:東京都渋谷区神宮前6-23-4 桑野ビル2階
代表者:代表社員 砂田 諭史
設立:2017年6月
事業内容:コンサルティング、ネットサービス、広告宣伝
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