KDDI と DriveNets、ネットワークのオープン化加速に向け戦略的パートナーシップを締結
25 年度中に商用バックボーンネットワークに DriveNets 製ソフトウエアを導入、AI 時代のトラフィック増大に対応
KDDI 株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO: 松田 浩路、以下 KDDI)と DriveNets Ltd.(本社:イスラエル ラーナナ、CEO: Ido Susan、以下 DriveNets)は 2025 年 5 月 12 日、ネットワークのオープン化(ハードウエアとソフトウエアの分離)加速に向け、戦略的パートナーシップに関する基本合意書(以下 本合意書)を締結しました。本合意書は、オープン化したルーターの導入領域拡大や、オープンネットワーク管理の効率化、設備投資や運用コストの最適化を目的としています。
KDDI は本合意書に基づき、2025 年度中に、主要 4 拠点のバックボーンネットワークのコアルーター内にある制御用サーバーに DriveNets 製ソフトウエアを導入し、商用運用開始を目指します。
両社は今後、AI 時代のトラフィック増大に対応するため、市場環境や技術の変化に迅速に対応可能な、柔軟なネットワークアーキテクチャーの構築を目指していきます。


■ 背景
近年の AI 技術の普及と利用拡大に伴い、ネットワークの需要が急速に高まり、今後さらなるトラフィックの増大やニーズの多様化が想定されます。変化に迅速に対応できるネットワークを構築するため、要件に応じた新機能の追加を容易にし、ネットワークの拡張性を向上させる、オープン化の取り組みの重要性が増しています。
KDDI は 2020 年から Telecom Infra Project(注1)において、クラスタ型ルーター(オープン化され、筐体の物理的な制約を受けず柔軟な容量拡張が可能なルーター)の技術開発を推進し、ルーターのオープン化に向けた取り組みを進めています。2023 年 6 月にはインターネットゲートウェイのピアリングルーターとして商用化を完了し(注2)、2025 年 2 月にはバックボーンネットワークのコアルーターとしての商用化を見据えた技術検証を完了しています(注3)。
DriveNets は、世界の主要キャリアにも多く採用されている、オープン化に適したソフトウエアを提供しています。また、2023 年 6 月に KDDI が商用化したピアリングルーターは、DriveNets 製ソフトウエアで構成されています。KDDI のネットワークの安定稼働に貢献してきた実績を踏まえ、このたびの戦略的パートナーシップ締結に至りました。
■ 各社のコメント
KDDI 株式会社 執行役員専務 CTO コア技術統括本部長 吉村 和幸
このたび、DriveNets との間で基本合意書を締結できたことを大変嬉しく思います。KDDI は 2020 年より、オープンでスケーラブルなネットワークの実現に取り組んでおり、今回の DriveNets との協業を通じて新たなイノベーションを創出していきたいと考えています。私たちの目指す未来は、AI 時代にふさわしい柔軟で堅牢なアーキテクチャの構築です。これにより、変化する市場ニーズに迅速に対応できる基盤を整えていきます。
DriveNets Ltd CEO Ido Susan
世界有数の通信事業者である KDDI の戦略的パートナーになれることを、大変光栄に思います。私た
ちは KDDI と共に、コアネットワーク、エッジ、アグリゲーションといったネットワーク全体のオープン化、ディスアグリゲーション、そしてイノベーションを推進します。ネットワーク運用を合理化し、自動化や生成 AI ツールを導入することで、KDDI のネットワークの効率性を向上させ、将来のニーズに柔軟に対応できる堅牢なアーキテクチャの構築を目指します。
(参考)
■ KDDI について
KDDI は、5G 通信を中心に、個人のお客さまには「au」、「UQ mobile」、「povo」のマルチブランドで展開し、法人のお客さまには「KDDI BUSINESS」のブランドで国内外に多くのサービスを提供しています。また同社は、2022年5月にKDDI VISION 2030「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を策定しました。この VISION のもと、中期経営戦略(2022-25年度)では「新サテライトグロース戦略」を推進しています。「新サテライトグロース戦略」は 5G 通信とデータドリブン、生成 AI をコア事業とし、成長を牽引する事業領域「Orbit1(DX/金融/エネルギー)」と、新たな成長に挑戦する事業領域「Orbit2(モビリティ/宇宙/ヘルスケア/Web3・メタバース/スポーツ・エンタメ)」に取り組み、さらなる事業拡大を推進します。KDDI はサステナビリティ経営を根幹に「新サテライトグロース戦略」とそれを支える経営基盤の強化を通じて、パートナーの皆さまと共に、社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。
■ドライブネッツについて
ドライブネッツは、革新的なディスアグリゲーション・ネットワーキング・ソリューションのリーダーです。同社は、通信サービス・プロバイダー(CSPs)やクラウド・プロバイダーに、ネットワークを構築する根本的な新しい方法を提供し、ネットワークの経済モデルを変えることで収益性を大幅に高めています。ドライブネッツのネットワーク・クラウドは、標準的なホワイトボックス上で動作するソフトウェアベースのソリューションで、クラウドのアーキテクチャモデルを通信事業者グレードのネットワーキングに適応させ、ネットワークの運用を根本的に簡素化します。ネットワーク・クラウド技術に基づくドライブネッツのネットワーク・クラウド AI ソリューションは、2023 年に市場に導入され、AI クラスターあたり最大 32K GPU(800Gbps)の規模で最高性能のイーサネット・ベースの AI ネットワーキングをサポートします。このソリューションは、主要なハイパースケーラーやエンタープライズ企業、NeoClouds 事業者で導入されています。詳細は www.drivenets.com でご覧ください。
(注1)通信ネットワーク構築に関わるコスト削減を実現するためのオープンな技術を開発し、テレコム分野のイノベーションを加速することを目的として 2016 年 2 月に設立された非営利団体で、全世界で数百社の企業・団体が参加しています。
(注2)2023 年 6 月 8 日 トピックス
複数ベンダーの組み合わせが可能な「オープンルーター」の商用化を開始
(注3)2025 年 2 月 19 日 ニュースリリース
柔軟な容量拡張を実現するクラスタ型ルーターのバックボーン向け技術検証を完了
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