サクソバンク 2023年第3四半期予想を発表 〜日本円のボラティリティ(価格変動の度合い) が高まると予想〜

サクソバンク証券株式会社

サクソバンク(Saxo Bank A/S)は、当グループ会社のアナリストチームによる2023年第3四半期の予想を発表しました。今回のテーマはAIです。当予想では、画期的な可能性を秘めたAI技術の導入と、そのブームが支配する世界の投資状況、その他主要資産クラスの見通しについて今後の展望を探ります。

2023年第3四半期予想

https://www.home.saxo/ja-jp/insights/news-and-research/thought-leadership/quarterly-outlook


注目は日本円についてで、ボラティリティが高まるリスクを予想しています。主要国の長期ソブリン債利回りが世界経済の底堅さを織り込む必要性に迫れれば、最安値水準にある円の一段安の可能性があります。一方、日銀は最終的にはイールド・カーブ・コントロール(長短金利操作)政策を大幅に修正せざるを得ず、その場合は大きく円高に振れる可能性があるからです。植田新総裁が就任して初めて開かれた4月の会合で、日銀は1年半にも及ぶ政策見直しを行うと宣言しました。日銀はより大きな政策修正を打ち出すのは少なくとも来年3月の賃金交渉の後にしたいと考えており、おそらくインフレが落ち着くのを祈りながら待つつもりなのでしょう。しかし、日銀がそれほど長く待つことを、状況は許さないかもしれません。日銀が政策を大幅に修正すれば、為替は「ダム決壊」のごとく大きく円高に振れ、それは世界市場を動揺させる可能性があります。

詳細はこちら https://www.home.saxo/ja-jp/content/articles/quarterly-outlook/the-usd-smile-and-the-jpy-dam-break-06072023


また、日本のAI潜在力には多くのチャンスが存在すると考えます。日本株にとって、イノベーションの可能性は他の多くの追い風と相まって、日本への投資機会を増加させます。日本が製造業で競争力を獲得する可能性は計り知れませんが、企業は、日本の労働供給力の乏しさと賃金上昇圧力を考慮し、サプライチェーンの脱中国化・多様化に躊躇するかもしれません。日本企業のリショアリング(生産拠点の国内回帰)も、高性能製品の小規模な生産にとどまる可能性があります。円安はまた、日本に生産拠点を移そうとする企業にとって、原材料の輸入コストが高くなることを意味します。逆に急激な円高は、日本製家電やその他の製品に対する需要を減少させることになるかもしれません。一方、最近の半導体株の急騰は、技術進歩への期待がすでに織り込まれていることを意味している可能性もあります。

米中間の緊張が和らげば、グローバル・サプライチェーンの再編成が遅れるか、逆行するかもしれません。日本も半導体の輸出抑制を発表しており、日本の主要半導体企業の業績に影響を与える可能性があります。さらに、AI関連の進歩が規制リスクやエネルギー供給の制約によって妨げられる可能性もあります。

詳細はこちら https://www.home.saxo/ja-jp/content/articles/quarterly-outlook/japan-riposte-to-aging-and-productivity-headwinds-06072023



2023年第3四半期予想のトピック


米ドルのスマイル理論と日本円のダム決壊

世界経済が再加速の兆しを見せ、コモディティ価格と長期債利回りが上昇した場合にのみ、円のボラティリティは高まる可能性があります。日本円は他の通貨とは異なり、政策金利よりも長期債利回りに常に敏感に反応します。昨年秋の米ドル/日本円のピークが米長期債利回りのピークと一致したのはそのためです。日銀の金融緩和政策は、3月の混乱からの市場の急激な立ち直り、特に日本株の急騰(日本円のヘッジコストが非常に低いことも要因)をもたらした世界市場の潤沢な流動性と強気のリスクセンチメントを支える重要な柱のひとつであった可能性が高いでしょう。日銀が政策を大幅に修正すれば、為替は「ダム決壊」のごとく大きく円高に振れ、それは世界市場を動揺させる可能性があります。担当:ジョン・ハーディ

 

高齢化と生産性低下という逆風に対する日本の対抗策:生成AI搭載ロボット

日本はロボット工学で成功を収め、以前のAIブームにも関与していたことから、最近話題の生成AIでも成功する可能性があります。人口面での制約と半導体の調達が容易であることにより、企業は新技術の実現に前向きであり続けるでしょう。日本企業の負債率は極めて低く、その約60%でネットキャッシュ(手元流動性から有利子負債を引いた金額)がプラスです。そのため、高金利環境に直面する国外の競合企業とは対照的に、AI関連の研究開発に投資を行うことができます。加えて、ロボット工学やその他の技術分野での日本のこれまでの成功や、グローバルな技術企業との絶え間ない協力関係から、日本には十分な技術やAIに精通した労働力が存在します。ここ数カ月、市場で最も盛んに議論された2つのテーマであるAIと日本の2つが結びつけば、投資家にとって多くの投資機会が出現するでしょう。担当:チャル・チャナナ

 

AI(人工知能):好材料、悪材料、あるいはバブルか

新型コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)が収束に向かう中、多くの人は経済が正常な軌道に戻りつつあると考えています。低金利が成長を支え続け、「ソフトランディング(軟着陸)」が可能だと信じています。しかし、この見方は甘いと言わざるを得ません。現在、経済は過剰債務に喘いでおり、資産バリュエーションは史上最高水準にあります。このような環境下で「ソフトランディング」に成功する可能性は極めて低く、経済概念では、それが実現するのは極めて稀なケースです。経済の海面は穏やかで、ボラティリティは極めて低い水準にあります。しかし、水面下には強い潮流と逆流が存在し、それは2023年後半を困難なものにすると予想しています。担当:スティーン・ヤコブセン

 

株式:AIブームが市場を新たな極限に押し上げる

AIブームで活気が戻り、生産性向上への楽観的な見方が強まっているのは間違いありませんが、同時に米国株式市場のリスクも高まっています。米国株式のバリュエーションは2022年4月以来の水準に上昇し、S&P500のフリーキャッシュフロー利回りが3.9%まで低下するなど、割高感が増しつつあります。市場全体をバブルと呼ぶには時期尚早ですが、半導体銘柄は明らかにバブルの様相を呈しています。担当:ピーター・ガンリュー

 

中国は細分化ゲームの中で、生成AIの課題に直面

中国は、世界秩序の分断化への対応を迫られる中で、生成AIの分野の課題にも直面しています。米国における生成AIの飛躍的進歩は、コンピューティングパワー(コンピューターの演算処理能力)の制約と地政学的緊張とも相まって、技術応用、生産性向上、成長という中国の好循環を崩壊させる恐れがあります。担当:レドモンド・ウォン


AIは新しい暗号資産か?

AI(人工知能)ブームは、AI企業に資金が流れ込むにつれて、この技術を寵児に変え、投機の世界のかつての人気者、暗号資産をさらに無人地帯へと押しやりました。現在の認知度は対照的ですが、AIと暗号資産には顕著な類似点があります。両者が同じサイクルを辿るのであれば、AIはバブルを免れることはできないでしょう。担当:マッズ・エバーハート

 

AIはポートフォリオを大きく変えるか?

ChatGPTの発表とNvidiaの最近の株価上昇により、人工知能(AI)関連銘柄が投資家の注目を集めています。AI関連銘柄に投資する際に考慮すべき主なリスクは、当然ながら市場リスクそのものです。また、このセクターの株式バリュエーションが高いことも重要なリスクであり、金利が上昇した場合には、そのリスクが増す可能性があります。これら企業の成長に対する期待は非常に高く、来る第2四半期決算の発表はその期待を試す重要な試金石となるでしょう。担当:ハンス・オウツホールン

 

コモディティ市場:底打ちか?

数ヵ月にわたり低迷が続いていたコモディティ・セクターは6月には幾分か反転し、第3四半期を堅調な足取りでスタートすることになりそうです。金と銀については、今後発表される経済指標に注目が集まるため、短期的には1オンス=2,000ドルを下回る水準への更なる調整を予想しているものの、全般的には強気の見通しを維持しています。さらに、銀は工業用金属の上昇からも恩恵を受け、金をアウトパフォームする可能性があります。総合的に、金は年末までに2,100ドルを超え、史上最高値を更新する可能性があると見ています。担当:オール・ハンセン

 

利上げ継続か中断か、それが問題だ

中央銀行は、1年以上にわたる積極的な金融引き締め政策がインフレ対策としては不十分であった可能性に気づきつつあります。金融情勢は依然として緩和的で、各国政府は拡張的な財政政策を続けているため、景気減速のペースは想定を下回っています。引き締めは依然として必要であり、逆イールド(長短金利の逆転現象)の度合いは第3四半期にさらに増すことになるでしょう。しかし、追加利上げは意図したようには機能しないかもしれません。だからこそ政策当局は、長期債利回りの上昇を促すために、中央銀行のバランスシートの積極的な縮小を検討する必要があります。利上げサイクルが終わりに近づくにつれ、社債やソブリン債市場では短期債の魅力的な投資機会が生じるでしょう。担当:アルテア・スピノッツィ




サクソバンク(Saxo Bank A/S)について

1992年に設立されたサクソバンク(Saxo Bank A/S)は、オンライントレーディングのリーディングカンパニーとして積極的なIT投資を行い、テクノロジーに注力してきた金融機関です。デンマーク金融監督庁の認可を受け、同国コペンハーゲンに本社を置き、現在ではロンドン、アムステルダム、シンガポール、上海、香港、シドニー、東京、パリ、チューリッヒ、ドバイなど、世界中の金融センターに2,500人以上の従業員がいます。サクソバンクの取引・投資プラットフォームは世界180カ国以上の顧客やパートナーに70,000以上の商品を提供しています。


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サクソバンク証券株式会社は2006年に設立され、サクソバンク(Saxo Bank A/S)の100%子会社であり、金融庁の認可を受けたオンライン証券会社です。150種類以上の通貨ペアを提供する外国為替証拠金(FX)、9,000銘柄以上を取り扱うCFD、米国・欧州・中国をはじめとする11,000銘柄以上を取り扱う外国株式など多彩な商品を競争力のある取引手数料で提供しています。より詳しい情報はホームページをご覧ください。

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業種
金融・保険業
本社所在地
東京都港区六本木一丁目 6番1号 泉ガーデンタワー36階
電話番号
03-6701-4601
代表者名
ゲーデ・ヨハン
上場
未上場
資本金
8億9000万円
設立
2006年04月