フィリップス・オークション、ニューヨークにてモダン&コンテンポラリーアート・イブニングセールを開催
市場初登場の重要作品が多数出品
【ニューヨーク、2025年5月7日】— フィリップス・オークションは、2025年5月13日午後5時(米東部時間)より、ニューヨークのパークアベニュー432番地にて開催予定のモダン&コンテンポラリーアート・イブニングセールの出品ハイライトを発表しました。全40ロットで構成される本セールには、モダン、戦後、現代アートの分野から選りすぐりの市場初登場作品が多数出品され、出品作品全体の約90%が、これまで一度もオークションに登場したことがないか、15年以上ぶりの出品となるものです。ジャン=ミシェル・バスキア、エド・ルシェ、パブロ・ピカソ、ゲルハルト・リヒター、ドナルド・ジャッドといった20世紀の巨匠による注目作が揃い、幅広いカテゴリーにわたって高い需要の存在を示しています。オークションに先立ち、下見会は5月3日から13日まで一般公開されます。翌14日にはモダン&コンテンポラリーアート・デイセールが、午前と午後の2セッションで開催される予定です。
フィリップス・オークション アメリカ地域社長兼モダン&コンテンポラリーアート部門共同責任者のジャン=ポール・エンゲレンと、副会長兼同部門共同責任者のロバート・マンリーは次のようにコメントしています。「今日の選別的なアート市場において、我々の目標は、これまで市場に出たことのない魅力的な作品を紹介することで、最も審美眼の鋭いコレクターの関心を引きつけることにあります。今回のイブニングセールにおける作品のおよそ80%はオークション初登場であり、過去15年間で公開取引された作品はわずか4点にとどまります。なかには、数世代にわたり個人コレクションで大切に所蔵されてきた20世紀の名作も含まれています。たとえば、1949年頃に制作され、著名なウィンストン・マルビン家に長らく所蔵されてきたアレクサンダー・カルダーのスタンディング・モビールや、1976年にブリンキー・パレルモから取得された、幼いジグマー・ポルケとその家族を描いたリヒターの肖像画などが挙げられます。本セールは、ジャンルを問わず、あらゆるタイプのコレクターにとって見逃せない貴重な機会となるでしょう。」
5月13日 イブニングセールのハイライト
本セールを代表する出品作のひとつが、ジャン=ミシェル・バスキアによる《Untitled》(1984)です。この作品では、彼特有の象徴的図像が全面に展開され、作家の伝記的象徴が濃密に織り込まれています。バスキアの革新的な創作実践を定義づける主要テーマの多くが、この一点に凝縮されています。コラージュ、アクリル、スプレーペイントといった多様な素材が交錯する本作は、質感と色彩への探求であり、彼の象徴的な視覚言語と社会的・政治的な関心とが融合しています。スウェーデン滞在中に制作された18点のキャンバス作品のうちのひとつであり、最初の所蔵者はバスキアの最大の支援者のひとり、ブルーノ・ビショフベルガー。1995年にはデヴィッド・ボウイが購入し、その後彼の生涯にわたり大切に保管されていました。

約20年間、同一のプライベートコレクションに収蔵されていたパブロ・ピカソの《Homme et femme à table》は、フィリップスが開催するモダン&コンテンポラリーアート・イブニングセールにおけるハイライトのひとつです。本作は初期ピカソによる作品で、親友アンヘル・フェルナンデス・デ・ソトを描きながら、当時彼が傾倒していたカフェ文化への関心が色濃く反映されています。ドガやトゥールーズ=ロートレックの影響を受けたこのパステル画は、ジャンル絵画と心理的肖像画が融合し、ピカソの青の時代に見られる感情の深みや、後のキュビスムにおける静物への関心を予感させるものです。かつては、キャンベルスープ創業家であり、アメリカ屈指のコレクター一家として知られるドーランス家が所蔵しており、ベル・エポック期のパリにおける享楽的精神と急進的モダニズムの気運を見事に体現した、洒脱な二重肖像画です。

もうひとつの市場初登場作品は、ゲルハルト・リヒターによる《Mann mit zwei Kindern》(1966)です。本作は、デュッセルドルフを拠点とするアーティスト、ブリンキー・パレルモの個人コレクションに長年収蔵されてきました。リヒターの共同制作者であり親友でもあったジグマー・ポルケの幼少期の姿とその家族を描いた、友情への稀少かつ感動的なオマージュです。リヒターの代表的シリーズであるフォト・ペインティングの中でも、特に重要な一作であり、彼の芸術実践における概念的基盤と、この時期特有の急進的な実験精神や芸術家同士の連帯意識を象徴しています。
1980年代に入ると、ドナルド・ジャッドは素材、空間、色彩に関する深い探究を通じて、その表現を成熟させていきました。《Untitled》(1981)は、その成熟期の代表作として、内部に青いプレキシグラスを組み込んだ二分構造の銅製ボックスにより、新たな空間的・色彩的関係性を提示しています。これは、彼の象徴的な「1メートルボックス」構造の進化形でもあり、素材性や視覚性に対する姿勢の変化を示す作品であり、彼の後年の作品群にも影響を与える重要な一作です。さらに、《Untitled "stack"》(1988)は、鋼とブルーのプレキシグラスで構成されており、1988年に現オーナーが取得して以降、今回が初の市場公開となります。
また、エド・ルシェの《Alvarado to Doheny》(1998)もイブニングセールのトップロットのひとつで、制作から25年以上を経て、今回は初めてオークションに登場します。西海岸ポップアートの先駆者であるルシェは、言語とイメージの交差をテーマに、言葉を視覚的な対象として扱う表現手法を確立しました。本作では、アメリカ映画の象徴ともいえるパラマウントの山が、雪をいただく山として精緻に描かれ、映画的記憶としてのその存在が強調されています。
ジャン=ミシェル・バスキアによる《Untitled》(1985–1986)も、コレクターにとって見逃せない出品です。これまで一度もオークションに登場していなかった本作は、大型キャンバス上に、音楽、解剖学、科学、宗教といったバスキアの代表的モチーフが精緻に描き込まれており、バスキア作品の中でも特筆すべき再発見であり、彼の芸術的核心を体現する重要作です。特に、本作に使用されたコピー素材は、《Untitled》(1984–1985)、《Icarus Esso》(1986)、《Dogman》(1986)、《Harlem Paper Product》(1987)など、他の主要作品にも登場しています。




その他の注目作品




5月14日 デイセールのハイライト
デイセールのハイライトのひとつは、キース・ヘリングによる2点組の《Untitled》(1984)です。本作は、ビル・T・ジョーンズとアーニー・ゼインが手がけたバレエ『Secret Pastures』の舞台美術として制作されました。黒の太いアウトラインで縁取られ、赤のジグザグ模様で彩られた人物たちは、スピード感ある音楽のリズムを感じさせ、ダンスとパフォーマンスの力強さを体現しています。現在ではこの2点で一対の大作ディプティックを構成しており、その存在感とエネルギーは、観る者に強い印象を与えます。同じシリーズの別作品が山梨県北杜市の中村キース・ヘリング美術館に収蔵されています。
アンディ・ウォーホルの《Double Torso》(1966)は、プレイボーイ誌のために制作された、現存する3点のみのUVペインティングのうちのひとつです。また、ロバート・ラウシェンバーグによる転写ドローイング《Untitled》(1968)およびクロイスター・シリーズに属する《Rush 9》(1980)とともに、アーティストの生誕100周年を記念して出品されます。
また、モダニズム作品のハイライトとしては、シュザンヌ・ヴァラドンの《Adam et Ève》(1910)が挙げられます。本作は、旧約聖書『創世記』のアダムとイヴの物語を、画家自身の恋人アンドレ・ユテールとの関係を通じて再解釈したもので、イヴがリンゴを口にする直前の瞬間を、女性の視点で描いています。この作品は、967年以来となるパリでの大規模回顧展(ポンピドゥー・センター、2025年5月末まで)終了を目前に控え、市場に登場する貴重な機会となります。




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