【フリーランスに調査】取引先とのトラブルとフリーランス新法 取引先とのトラブルあり2割弱 フリーランス新法の認知度5割弱、理解度2割
~ 税理士YouTuberが解説!「フリーランス新法」とは ~
調査概要
調査期間:2024年10月9日~11日
調査手法:インターネット調査
調査対象:20歳以上50歳未満の特定受託事業者(以下、フリーランス)の男女全国
有効回答者数:500人
調査機関:Freeasy
※本リリースの調査結果をご利用いただく際は、「脱・税理士スガワラくん 調べ」とご明記ください。
調査結果
「これまでに取引先(発注者)との間でトラブルを経験したことがあるか?」聞いたところ、「専属外注の取引先とトラブルがある」(6.8%)、「専属外注以外の取引先とトラブルがある」(8.0%)となり、15.8%のフリーランスが何らかのトラブルを経験したことがあることがわかりました。
トラブルの経験があるフリーランスに「トラブルの内容」を聞くと、「契約書に明記されている業務の範囲外のことを依頼される」(35.1%)が最も多く、「理由なく報酬を減額される」(33.8%)、「報酬が支払われない」(32.4%)、「理由なく成果物が返品される」(24.3%)、「性的・威圧的な発言(ハラスメント)」(23.0%)と続きました。
次に、「2024年11月から『フリーランス新法』が施行されることを知っているか?」聞いたところ、「知らない」が半数以上(53.2%)いました。また、「内容まで理解している」は1割に満たず(5.0%)、「施行を知っていて、内容もなんとなく知っている」も1割超(14.8%)と理解度の低さが浮き彫りになりました。
内容を理解している・なんとなく知っていると回答したフリーランスに「フリーランス新法への期待度」を聞くと、「やや期待している」(42.4%)が最も多く、「あまり期待していない」(28.3%)、「とても期待している」(20.2%)、「まったく期待していない」(9.1%)となりました。
続いて、とても期待している・やや期待していると回答したフリーランスに「どんなことを期待しているのか?」聞きました。「理由のない報酬減額の防止」(51.6%)、「報酬の支払遅延防止」(50.0%)、「相場に比べて著しく低い報酬の防止」(48.4%)、「報酬の不払防止」(45.2%)が半数前後を占めました。報酬に関するトラブルは、フリーランスにとって死活問題になりかねないため、これらの期待値は高いのだと考えられます。
税理士・菅原由一が解説!「フリーランス新法」とは
2024年11月にフリーランス新法(正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)が施行されます。これは、フリーランスとそれを委託する企業側とのトラブルが少なくないため、そのトラブルを防ぐための法律です。
最近では、フリーランスで働く人も増えてきています。そこで、今回はフリーランス新法について、委託事業者にもフリーランスの人にもわかりやすく解説します。
●フリーランス新法の実態
2020年に行われた政府の調査(※1)では、業務委託を受けて仕事を行う人の中で、取引先と何らかのトラブルを経験したことがある人が37.7%いました。そして、実際トラブルがあった人で、交渉せずに受け入れた(何もしなかった)人が21.3%、交渉せずに自ら取引を中止した人が10.0%いました。残りの68.7%の人は何らかの交渉をしたとありますが、31.3%の人は交渉しませんでした。このような結果から、政府はフリーランス特有のトラブルを防止する目的で、フリーランス新法を設けました。
(※1)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/koyou/report.pdf
フリーランス新法の対象となるフリーランスの定義は、従業員を抱えていない一人で仕事をしている人です。フリーランスは全国に1,500万人います。日本の労働人口が約7,000万人弱なので、4~5人に1人がフリーランスとなります。
今回のフリーランス新法は、業務を委託する側と受託する側に対してです。受託する側はフリーランス、委託者の定義は、従業員を抱えている人(※2)のことです。つまり、一人者対一人者の業務の請負は、今回のフリーランス新法の対象外となります。
(※2)人を雇用していても、その人が週20時間以内の労働または31日(1か月)以上雇用する見込みがない場合は、雇用していることにはならないため、今回の従業員には該当しません。
●フリーランス新法とは
まず、委託事業者と受託者(フリーランス)の取引条件を明確にすること。今までは契約書を交わさずにフリーランスに委託することがかなり多かったことから、施行後は取引条件等を明確にした契約書を交わすことが必須となりました。
もう1つは、出産の伴う育児に関して、育児休業の取得等の配慮をすること。受託者(フリーランス)本人が了承していても、委託事業者は配慮する必要があり、ハラスメントがNGということもこの新法に記載されています。
●専属外注
フリーランスの中で1社としか取引をしていない人(専属外注)は40.4%います。このような専属外注に対して、フリーランス新法は手厚く設定されています。
●フリーランス新法の内容
フリーランス新法では、受託者(フリーランス)が委託事業者から不当に扱われないために遵守事項が定められています。
1.委託事業者から受託者(フリーランス)に業務委託する際、取引条件書面またはメールで明示しなければならない
2.中途解約の場合は、解約日の30日前までに予告しなければならない
3.報酬の支払いについては、成果物を納品されてから60日以内に支払わなければならない
それから、委託事業者側が受託者(フリーランス)に対して禁止されている行為も設けられています。
1.フリーランス側の責めに帰すべき理由のない成果物の受託拒否
2.フリーランス側の責めに帰すべき理由のない報酬の減額
3.フリーランス側の責めに帰すべき理由のない成果物などの返品
4.相場に比べて著しく低い報酬の決定
5.正当な理由のない発注事業者指定商品の購入または役務の利用の強制
6.発注事業者のために金銭、役務、その他の経済上の利益の提供を要請すること
7.フリーランス側の責めに帰すべき理由のない給与内容の変更、またはやり直しの要請
1~3と7は、フリーランス側の責めに帰すべき理由のないとあるので、フリーランス側に明らかな落ち度がある場合は該当しません。
その他にも、フリーランスは労働基準法の適用がないことから、労働環境の整備として、以下が設けられています。
1.フリーランス側の申し出に応じて、出産や育児、介護等業務との両立に配慮すること
2.ハラスメント行為に対する相談対応など必要な体制の整備をすること
この休業規定やハラスメント規定は、継続的に委託と受託の関係性で仕事をしている人が対象で、単発的な人には考慮しなくても良いことになっています。
以上のことに違反すると、公正取引委員会から注意を受けます。注意を無視すると50万円以下の罰金という罰則もあるので、注意してください。
これらがフリーランス新法の概要です。先述の通り、フリーランスのうち専属外注は40.4%もいます。税務上も専属外注は社員とみなすとよく言われますが、私はそんなことはないと思っています。きちんと条件を満たせば、税務上も専属外注が認められます。今回のフリーランス新法は、専属外注のための新法でもあるため、きちんとルールに則って行えば、税務調査でも証明できるようになります。因みに、専属外注が否認されないためには、以下の3つは必ず守ってください。
1.業務請負契約書を交わす
2.受託者(フリーランス)側から請求書を発行してもらう
3.受託者(フリーランス)側が確定申告をする
基本的には、契約書をきちんと交わし、フリーランスの人に圧力を掛けないという法律になります。外注を活用される方は、内容をチェックしておきましょう。
菅原 由一プロフィール
1975年、三重県生まれ。お客様の85%を黒字に導く節税と資金繰りの専門家。
2023年1月に開設したYouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』はチャンネル登録者数74万人を突破。ブログ 『脱!税理士 菅原のお金を増やす経営術!』は全国税理士ブログランキング第1位を獲得し、アメブロ【公式】トップブロガーに選任。
講演実績はGoogle、アパホテルなど上場企業、外資系企業も含め1,000回を超え、各メディアからの取材も多数受ける。
書籍『究極の資金繰り』『激レア資金繰りテクニック50』(共に幻冬舎)は、累計2.7万部のベストセラーとなる。
2024年2月22日に『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』を発売。
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会社概要
商号:株式会社スガワラくん
本社所在地:愛知県名古屋市中村区名駅南1-24-30 名古屋三井ビル本館7F
代表者:代表取締役 堀江 芳紀
設立年月日:2023年11月8日
資本金:1,000,000円
事業内容:セミナーの運営、YouTube、広告、コンサルティング
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