胸部X線読影時のAI利用の影響に関して視線追跡による定量解析を行った研究が国際学術誌「European Journal of Radiology Open」に掲載

医療AI推進機構株式会社(本社:東京都中央区、機構長:島原 佑基、代表取締役:川邊 翔、以下「MAPI」)が参画した研究成果が、国際学術誌「European Journal of Radiology Open」に掲載されました。本研究は、胸部X線画像の読影において、AIによる病変候補の協調(バウンディングボックス表示(※1))が、放射線科医の視線の動きや読影行動にどのような影響を与えるかを、アイ・トラッキングを用いて定量的に評価したものです。
【研究の背景】
近年、胸部X線をはじめとする放射線画像診断の分野では、病変候補を枠表示などで提示するAI支援システム(CAD)が臨床現場で広く利用されています。これらの表示は診断の補助として有用である一方で、放射線科医の判断を含めた読影プロセスそのものに影響を及ぼしている可能性が指摘されています。そこで本研究では、CAD表示が読影時の視覚探索行動にどのような影響を及ぼすかを、アイ・トラッキングを用いて検証しました。
【研究の概要】
パブリックデータセットから選定した胸部X線画像180例(肺結節・腫瘤を含む症例および正常例)を用い、放射線科医3名が病変候補バウンディングボックスの有無それぞれの条件で2回の読影を行いました。なお、バウンディングボックスありの場合、症例を開いたらそれが即座に表示される、「Concurrent Reader型」の条件を採用しました。
読影中の視線の動きは、EyeTech VT3 Mini(※2)を用いて記録し、読影時間、病変を見つけるまでの時間、病変注視時間、読影中の視線の総移動距離、視線の肺野のカバー率などを指標として解析しました。

【主な結果】
バウンディングボックスがある場合、放射線科医の読影時間は平均して延長し、病変部位を注視している時間や視線の移動距離、肺野全体をカバーする割合も増加しました。一方で、病変に最初に視線が向かうまでの時間は短縮されており、AI表示が注意の誘導に影響していることが示されました。
これらの結果から、病変候補の表示は放射線科医の読影プロセスに影響していることが示唆されました。
【研究の意義】
本研究では、画像診断AIの利用によって診断精度がどう変わるかという従来の評価法だけではなく、放射線科医が画像をどのように見て、判断に至るのかといった読影プロセスそのものへの影響を可視化できることを示しました。AIが「正しいかどうか」を評価するだけでなく、「どのように使われ、読影行動をどう変えるのか」も考える必要があるという視点を提示しました。MAPIでは、このように、人とAIの相互作用に着目し、AIの安全かつ適切な臨床実装に向けた研究にも取り組んでおります。
【論文情報】
掲載誌名:European Journal of Radiology Open
論文タイトル:Eye tracking as a tool to quantify the effects of CAD display on radiologists’ interpretation of chest radiographs
掲載年:2026年
著者名:Daisuke Matsumoto,Tomohiro Kikuchi,Yusuke Takagi, Soichiro Kojima,
Ryoma Kobayashi,Daiju Ueda, Kohei Yamamoto,Sho Kawabe& Harushi Mori
DOI:10.1016/j.ejro.2026.100731
論文掲載ページ:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352047726000080
(※1)画像内の特定領域(病変など)を四角い枠で囲んで示す表示方法
(※2)視線の位置や動きを非接触で計測する据え置き型アイ・トラッキング装置
【会社概要】
会社名:医療AI推進機構株式会社(Medical AI Promation Institute)
代表者:島原 佑基、川邊 翔
本 社:東京都中央区日本橋大伝馬町12−9 ライフサイエンスビル9 4階
設 立:2023年11月8日
事業内容:医療データの加工・販売を行う「次世代医療データベース事業」 の開発・運営
URL :https://mapi-jp.org
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