“自由”にさせる上司は、「敵」認定?
「7割がマニュアル人間」「上司ガチャに一喜一憂」 Z世代を動かす共感型マネジメントの新常識

―そのマネジメント、本当にZ世代に響いていますか?
「なんだか部下に避けられている気がする…」「褒めてもやる気を感じられない…」
最近、若手社員との距離感に悩んでいる声をよく耳にします。
その違和感、実は上司世代の「伝え方」よりも若手世代の「受け取り方」が原因かもしれません。
Z世代は、上司や職場の言動にどんな思いを抱いているのか―
彼らが本当にやる気になる関わり方とは?
株式会社ザ・ゴールでは、全国20~50代を対象に職場コミュニケーションに関する調査を実施。Z世代の“本音”から、現場で実践できるヒントが見えてきました。職場のマネジメントや若手とのコミュニケーションにお悩みの方も、ぜひお役立てください。
Topic 1. Z世代は「失敗・ミス」が大嫌い!
調査ではまず、「職場での働き方」について各世代の意識を比較しました。<data1>
「仕事」「人間関係」の2つの観点から、Z世代が職場で感じる心理的な不安や、モチベーションの源泉を明らかにしています。

Z世代は30〜50代と比較して「失敗したくないのでマニュアルを踏襲(+14.3pt)」「ミスしたときに周囲の目が気になる(+9.3pt)」「試されていると感じると萎縮(+6.8pt)」など仕事の失敗やミスへの不安が高く、対人面でも「チャットやメールでやり取りを好む(+20.0pt)」「注意されると萎縮してしまう(+14.5pt)」といったリスクを避ける特徴が顕著に見られました。
こうした背景には、「出世」や「一社に長く勤めること」への執着が相対的に低く、無理に職場文化へ同調しようとしない現代的なキャリア観があることが考えられます。上司からの指摘や期待に対する反応が、反骨心ではなく「敵対心」として現れやすい構造にあり、失敗やミスは成長への糧ではなく「自分らしさを傷つける”悪”」として受け止められやすくなっています。
そのためZ世代には、心理的安全性が確保された環境と、共感的・対話的なマネジメントが重要です。過度なプレッシャーや一方的な指導ではなく、安心して挑戦できる設計や、丁寧なコミュニケーションが、彼らの自発性とパフォーマンスを引き出す鍵となります。
Topic 2.自由な職場は好き、自由な仕事は嫌い
続いて調査では、Z世代と30〜50代の間で「理想とするマネジメントスタイル」にどのような違いがあるかを確認しました。<data2>

Z世代では「自由な服装や髪型を許容(+9.3pt)」「年功序列や性別で差をつけない(+4.2pt)」「有給の理由は問わない(+3.0pt)」といった「個の自由」を重視する傾向が見られました。一方で、「まずは自由にやってもらう(-9.8pt)」「失敗しても再挑戦を後押しする(-6.5pt)」といった裁量のある働き方や挑戦の促しについては、30〜50代よりも支持が低い結果となっています。
この結果はZ世代が、自由な「職場環境」は好むものの、「指示のない自由な業務」そのものには不安を感じていることを示唆しており、背景には「自由=放任」と捉える心理的不安があると考えられます。
上司が「自由にやっていい」と伝えたつもりでも、Z世代側は「正解が分からない。失敗したらどうしよう」とプレッシャーを強く感じることがあります。まずは伴走し成功体験を積ませ、その後に任せるという「段階的な安心設計」こそが、Z世代の主体性を育む鍵となるでしょう。
Topic 3.敵?指導者?「上司ガチャ」に期待
さらに調査では、「職場の人間関係における理想の距離感」についてZ世代と30〜50代の違いを確認しました。<data3-1>
0点を「まったく関わりたくない」、10点を「積極的に関わりたい」として理想の距離感を10段階評価してもらい、0~2点を「距離感大」、3~7点を「距離感中」、8~10点を「距離感小」としています。

Z世代は、「同世代(+13.0pt)」「先輩(+10.0pt)」「後輩(+7.3pt)」などと誰に対しても「距離感小」の親密な関係を求める傾向が見られる一方で、「上司」に対しては「距離感大」が高く(+4.7pt)、意識の二極化が見られます。
この結果を受けて、距離感別の「上司イメージ」を分析し、「上司と距離を取りたいZ世代」が上司をどう思っているかを明らかにしました。<data3-2>
「距離感小」または「距離感大」を求める上司のイメージ差を、世代間で比較しています。

「距離感小」を求めるZ世代は、「指導者(+15.8pt)」「信頼・安心できる存在(+10.6pt)」といったポジティブな上司像を描いています。一方で、「距離感大」を求めるZ世代では、「敵(+7.5pt)」「反面教師(+1.4pt)」といった否定的な印象が強く表れています。
Z世代は「上司がどんな人か」を非常に重視し、上司との相性を、仕事のモチベーションやパフォーマンスを左右する、言わば“上司ガチャ”としても受け止めています。
信頼される上司とは、「対等な目線に立ち、導いてくれる」存在。威圧でも放任でもない、「頼れるのに話しやすい」バランス感覚が信頼と安心を生み、Z世代のやる気を引き出す鍵となります。
Topic 4.「自由にしていいよ」はプレッシャー
最後に、Z世代の中でも特に「上司と距離を取りたい」と感じている層が、どのようなマネジメントを理想とし、逆にどのような対応を望んでいないのかを明らかにしました。<data4>
下の図表では、「上司と距離感大」を求めるZ世代に対し、各マネジメント施策への共感度(縦軸)と、30〜50代との差分(横軸)をプロットしています。
右上に位置する施策ほど「Z世代が求めているが、上司世代が実践できていないマネジメント」、左下に位置するものほど「Z世代は求めていないが、上司世代がやりがちなマネジメント」であることを示しています。

注目すべきは、左下に位置する「自由にやってもらう」「難しい仕事を経験させる」といったマネジメント施策。上司世代が「若手の成長を促すため」と善意で取り入れがちな対応であるにもかかわらず、Z世代にとっては“放置”や“丸投げ”と受け止められ、心理的な負担となっている可能性が考えられます。一方、右上に位置するのは、「プレッシャーをかけすぎないようにする」等といった、共感・配慮を重視した施策群です。
このことから、Z世代にとっての理想のマネジメントとは、「自律」を丸投げされることではなく、「安心して働ける環境を整えてくれること」にあると言えるでしょう。「信じて任せる」のではなく、「見守りながら支える」姿勢こそが、彼らのモチベーションを引き出す鍵となります。
まとめ:「見守り型」がZ世代マネジメントの新常識
Z世代は、SNS監視や不安定な社会環境の中で育ち、常に「失敗できない」「誰かに見られている」というプレッシャーを感じやすい世代でもあります。そのため、信頼や挑戦よりもまず“安心できる関係性”を土台にしてこそ、本来の力を発揮しやすい傾向があると言えるでしょう。
従来型の「自由に任せる」や「まずはやってみて」は、信頼ではなく“丸投げ”と受け取られ、かえって不安や萎縮を生みやすくなります。特に若手のうちは、経験不足から失敗を極度に恐れ、上司の期待を重く感じてしまう場面も多いと考えられます。
理想は、自由や裁量の余地を残しつつも、「ちゃんと見てくれている」「気にかけてくれている」と感じられる“見守り型”のマネジメントです。上司からの期待やフィードバックも、上からではなく対等な目線で、プロセスや姿勢に寄り添って伝えることで、Z世代の自信と意欲を引き出すことができます。
もちろん、彼らもやがて年次を重ねれば、「自由に任されたこと」や「叱られた経験」が自分の成長に必要なプロセスだったと気づく日が来るでしょう。ただ今は目の前の業務で手一杯であり、挑戦よりも安心感、成長よりも成功を求めるゆえ、失敗やプレッシャーを過度に避けがちです。
Z世代を部下に持つ上司には、彼らへの期待や挑戦の意義を対等な目線で丁寧に伝え、寄り添いながら後押しする姿勢が求められています。
今後もThe Goalでは、Z世代の“リアル”を可視化し、
企業のマーケティング・ブランディングに役立つ情報をお届けしていきます。
■お問い合わせ先
株式会社ザ・ゴール(https://www.thegoalinc.co.jp/)
戦略プランニング部 藤原/岡田/黒川/増野 info@goal.dentsu.co.jp
■調査概要
調査主体 :株式会社ザ・ゴール
調査委託先 :株式会社 電通マクロミルインサイト
調査期間 :2025年9月 調査手法:インターネット調査
調査対象 :全国20-59歳男女 有効回答数 :500サンプル
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