LGBTQの子どもにも安全な場を。性の多様性を前提にしたすべての子ども・若者のためのセーフガーディング「レインボー・セーフガーディング」を制作。指針と行動規範をプライド月間に合わせ、無料公開。
認定NPO法人虹色ダイバーシティと認定NPO法人ReBitは、6月28日に、性の多様性を前提にしたすべての子ども・若者のためのセーフガーディング「レインボー・セーフガーディング」を制作しました。
本資料は、日本国内の子ども・若者支援団体とLGBTQ支援に携わる団体とその支援者らが、その活動においてLGBTQの子ども・若者やその周囲の子ども・若者を傷つけることが決してないよう、予防的取り組みを促進するために策定されました。
多くの子ども・若者に関わる団体に活用してほしいという想いで、作成した指針及び行動規範を無料で公開します。
本資料は、日本国内の子ども・若者支援団体とLGBTQ支援に携わる団体とその支援者らが、その活動においてLGBTQの子ども・若者やその周囲の子ども・若者を傷つけることが決してないよう、予防的取り組みを促進するために策定されました。
多くの子ども・若者に関わる団体に活用してほしいという想いで、作成した指針及び行動規範を無料で公開します。
- 「レインボー・セーフガーディング」概要
・制作:認定NPO法人虹色ダイバーシティ、認定NPO法人ReBit(五十音順)
・アドバイス:NPO法人きづく
・ダウンロード:
虹色ダイバーシティ:https://nijiirodiversity.jp/2539/
ReBit:https://rebitlgbt.org/news/7157
- LGBTQの子どもの現状と、プロジェクトの意義
子どものセーフガーディングとは、虐待や搾取をはじめ、子どもを傷つけるどのような行為も許さない環境づくりと、その予兆やSOSを見逃さない取り組みです。
LGBTQであり、かつ、子ども・若者であるということは、現在の日本社会の中では多重のマイノリティ性を持つということを意味します。特に、LGBTQの子ども・若者は自死やいじめにおけるハイリスク層であり、適切な支援と安心できる場づくりが求められています。
しかし、子ども・若者支援の現場で、LGBTQの子どもや若者の存在が想定されておらず、参加した子ども・若者が傷つけられることがあります。また、LGBTQの支援の現場でも、子ども・若者に対する配慮が足りず、問題が生じることがあります。こうした事態に対応するため、性の多様性を前提にした、子ども・若者のセーフガーディングの考え方を広げる必要があります。
性の多様性を前提にしたすべての子ども・若者に関するセーフガーディング「レインボー・セーフガーディング」は、子ども・若者支援団体とLGBTQ支援に携わる団体とその支援者らが、その活動においてLGBTQの子ども・若者やその周囲の子ども・若者を傷つけることが決してないよう、予防的取り組みを促進するために策定されました。LGBTQやその周囲の子ども・若者に関わるすべての支援団体および関係者が、支援活動(相談、居場所づくり、教育、交流、オンラインでの支援など)の現場における子どもへの加害・子どもの被害を未然に防ぐため、本指針に基づいて活動を行うよう呼びかけます。
また、子ども・若者に関わる活動をする全ての団体が本指針・行動規範を無償で活用することができます。
<声・事例>
・児童館のイベントの景品が男の子と女の子で違っていて、本当は男の子用の景品がほしかったけど、「女の子なのに」と言われそうで言えなかった。また、女の子は「ちゃん」づけで呼ばれるのも嫌だなあと思っている。
・習い事のコーチを信頼して、好きな男の子がいることを伝えたんだけど、お母さんに勝手にアウティング(暴露)されてしまった。
・トランスジェンダーの弟がいる。男の子の名前で呼んで欲しいと本人も言っているのに、周囲の子たちが今も以前の女の子の名前で呼んでいるのを聞くのが辛い。また、私のクラスメートたちも「お前の妹って、男なの?」などと嫌がらせで聞いてくる。
・LGBTQの居場所づくり団体がやっているイベントに初めて参加したら、みんなの前で「どんな人がタイプなの?」と聞かれて、アセクシュアル(どの性別も恋愛の対象にならない)と言えなくなったし、居場所がないように感じた。
・LGBTQのイベント運営の手伝いをしているが、年上のスタッフで距離感がなんだか近い人がいる。昨日はついに個人的なメッセージが来たけど、どうしたらいいのかわからない。
・LGBTQのイベントに初めて参加した子が「レズ」と言ったら、前からいるスタッフが「そういう言葉はこの場ではダメ」と理由も伝えずに強い調子で注意して、その子は全く話せなくなっていた。
- リリースイベント
・オンライン視聴:YouTubeにて配信(https://youtu.be/zeoKbIsky90)
当日は、制作を行った虹色ダイバーシティとReBitと、アドバイザリーのきづくより、制作の背景や、内容の詳細についてお話しします。
- 制作者のコメント
認定NPO法人虹色ダイバーシティ 代表 村木真紀
私は大学生の時からLGBTQに関するボランティア活動に携わっていましたが、自分自身も含め、LGBTQの子どもや若者が、イベントや取材対応で傷付く姿を沢山見てきました。「子どもセーフガーディング」という考え方を知り、これは是非、LGBTQの視点を入れて、すべての子ども支援団体が取り入れるべきだと思いましたので、ReBit様にお声がけし、インターンの学生の意見も取り入れて、このプロジェクトを企画しました。今回発表するのはあくまで「ひな型」ですので、各団体でアレンジして、今後もより良いものに進化させていければと思います。
認定NPO法人ReBit 事務局長 中島潤
ReBitは2009年の設立以来、LGBTQを含めた全ての子どもがありのままで大人になれる社会の実現を目指し、取り組んできました。そのなかで、LGBTQの子ども・若者らが安心・安全に過ごせる場所がないという、たくさんの声をきいてきました。
「自分の居場所はどこにあるのだろう」と考えている子どもにとって、周囲の大人は、大きな力を持つ存在です。その力が、気づかぬうちに子どもたちを傷つけることがないように、子どもたちの安心につながるように、という思いから、このポリシーを制作しました。ぜひ多くの方にご活用いただき、すべての子ども若者が、性の多様性を含めたそれぞれの「ちがい」と尊厳を大切にして、安心して過ごせる場がふえることを願っています。
NPO法人きづく 代表理事 森 郁子
活動内で子ども・若者を傷つける・傷つけているかもしれない現実がある限り、私たちはそこから目を背けず、真摯な取組みを推進し続けなければなりません。指針や規範を設けることにより、採用・人材育成・事業計画などあらゆる場面で、セーフガーディングに関する議論を組織的に深めていく機運が生まれていくと思います。ここから多くの先駆的な実践が広がることを願い、ご一緒させていただいたことに心からの感謝を申し上げます。
- 制作団体について
LGBTに関する調査研究と、そのデータをもとにした社会教育・情報発信を行う認定NPO法人(大阪市・代表 村木真紀)。大手企業や行政、大学で講演実績多数。LGBTと子育てに関する冊子、LGBTとスポーツに関する冊子も執筆。著書「虹色チェンジメーカー」、共著「職場のLGBT読本」「トランスジェンダーと職場環境ハンドブック」他。
◎公式HP:http://www.nijiirodiversity.jp/
◎データとアクションに特化したウェブサイト https://nijibridge.jp/
認定NPO法人ReBit
LGBTの子ども・若者特有の困難解消と、多様性を包摂する社会風土の醸成を通じ、LGBTを含めた全ての子どもがありのままで大人になれる社会の実現を目指す、認定NPO法人(代表理事 藥師実芳、2014年3⽉認可)。
企業・行政・学校などで1300回以上、LGBTやダイバーシティに関する研修を実施。また、マイノリティ性をもつ就活生/就労者等、約3500名超のキャリア支援を行う。2016年より、ダイバーシティ&インクルージョン推進をテーマとした国内最大級のキャリアカンファレンス「RAINBOW CROSSING」を運営する。
◎公式HP:https://rebitlgbt.org/
NPO法人きづく
社会の多様な立場にある人々とともに、大人が人と人との関係の間にある力の差に気づき、信頼と尊重に基づいた関係を築くことのできる新たな社会をつくることを目指すNPO法人(代表理事:森 郁子)。活動団体への子どものセーフガーディングのコンサルテーションのほか、「たたかない怒鳴らない子育てポジティブ・ディシプリン」の日本での普及活動を担う、ポジティブ・ディシプリン日本事務局を運営する。
◎公式HP:https://www.kidzuku.org
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