Spatial Pleasureと神姫バスが、公共交通の環境便益評価に基づくカーボンクレジット創出に向けて協業を開始。
新たな経済合理性による交通、都市の再構築を目指す
■本取り組みの背景
世界のカーボン排出量のうち、「交通」が占める割合は40%*あり、都市の脱炭素化を進める上で交通領域の最適化は最もプライオリティが高いと言えます。交通領域の脱炭素化を進める上でバスなどの公共交通機関の利用を前提に組み立てられた都市開発TOD(Transit Oriented Development)に期待が集まっています。
今回の協業では、公共交通の中でも特に、バスを対象に取り組みを進めて参ります。「バス」というと「カーボンを排出するもの」というイメージを持つ方も多いですが、エリア全体で見ると、バスには、都市のカーボン削減効果があります。バスが運行することで、自家用車やタクシー移動が減り、結果として都市全体から排出されるカーボン量の削減に繋がります。
※参照 : NJ green house gas sources &sinks 2018
https://www.nj.gov/dep/climatechange/docs/nj-scientific-report-2020.pdf
この写真は、同じ人数を輸送するのに必要な車両数を比較した図ですが、バスが運行することで、自家用車やタクシー移動が減り、結果として都市全体から排出されるカーボン量の削減に繋がります。しかし、現状バス会社は、環境便益が評価されカーボンクレジットが発行されるのではなく、バス自体からのカーボン排出のみがカウントされ、逆にオフセット料金を支払わなければいけない立場になっています。
これでは、現状既に運営が厳しいバス業界の維持を更に難しくし、公共交通ネットワークの維持困難 → タクシーチケットの発行 → エリアのカーボン排出量の増加といった負のインパクトを地域に生み出します。気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)では、マス・ラピッド・トランジット(MRT)に対する環境便益評価を通じたカーボンクレジット認証は制定されていますが、その計測手法の複雑さから実際のプロジェクトは広がりを見せていないことが現状です。
Spatial Pleasureは、神姫バスの乗降客データと周囲の交通データを掛け合わせ、バスによるエリア内のカーボン削減効果を高精度に計測することを目指し協業を開始しました(プロダクト図はイメージです)。
■神姫バス株式会社事業戦略部 坂東様コメント
私たちは公共交通事業者ですが、同時に「地域づくり・まちづくり企業」であるべきとの理念を掲げています。この理念は、Spatial Pleasure社のビジョンやミッションとも多くの共通点を持っております。同社との協業は、エリア内の移動モーダル別カーボン排出量の算定と推計の可視化を行う取り組みからスタートしました。Spatial Pleasure社の分析や弊社メンバーとの議論を通じて、バス車両自体からのカーボン削減はもちろん、バスの運行最適化によりエリア全体のCO2排出抑制に寄与できる可能性が見えてきました。Spatial Pleasure社の鈴木CEOから提案を受けたとき、私たちは、バス事業者としては考えつかないような野心的なアイデアだと感じ、興奮しました。「森林や海藻が自然資源としてカーボンを吸収する中で、都市資源としては公共交通がこの役割を果たす」と鈴木CEOから熱弁され、社内でもこれに共感する形で全社的にバックアップすることで上層部まで承知しております。更にこの先には地域交通インフラのゲームチェンジを起こすべく、引き続き弊社としても積極的に関与・協力させていただきます。
■Spatial Pleasure 事業概要
事業内容 : 交通領域に特化したDMRVソフトウェア開発
運営会社 : 株式会社Spatial Pleasure
代表者:代表取締役 鈴木 綜真
所在地:〒155-0032 東京都世田谷区代沢4丁目10−4 Orbit302
設立:2019年 5月
公式HP:https://spatial-pleasure.xyz
問い合わせ先 : contact@spatial-pleasure.xyz
■神姫バス株式会社 会社概要
会社名 : 神姫バス株式会社
連絡先 : 079-223-1241(代表)
事業内容 : 自動車運送業・不動産業・旅行貸切業・飲食業 など
公式HP : https://www.shinkibus.co.jp/
本社所在地 : 〒670-0913 兵庫県姫路市西駅前町1番地
代表者 : 取締役社長 長尾 真
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