熱電モジュールProVoを使って、IoT通信モジュールの電池レスを実証実験
概要
製造業向けIoTによる稼働状況や消費電力の見える化SaaSを提供するi Smart Technologies株式会社(以下「当社」)は、アイシン高丘株式会社の販売する熱電モジュールProVoをIoT機器の電源に利用し、省エネと電池変更の工数低減を目指し実証実験を行いました。
背景
パリ協定を受けた日本のCO2削減目標の具体化により、社会全体のエネルギー効率向上が必須となっています。その中でも分散型エネルギーリソース(太陽光、コージェネ等)とエネルギーハーベスティング(EH)が注目されており開発が進んでおります。
1例として、アイシン高丘株式会社は熱を電気に変える環境にやさしい熱電モジュールProVoの販売を2021年に開始しました。ProVoの特徴は下記です。
熱を電気に変える環境にやさしい熱電モジュール
(1) 熱を電気に変換し、センサーや無線モジュールの動作が可能です
(2) 耐熱性、耐久性に優れた安全、安心な熱電材料を使用しています
(3) Fe、Al、Vを主成分とした環境に優しい熱電モジュールです
当社では従来からエネルギー効率向上とIoT機器の電池交換の工数低減を目的に、乾電池以外の電源を調査しており、ProVoが当社のニーズと合致したため実証実験を開始しました。
機器構成
熱電モジュールをIoT機器に接続するため、機器構成を検討し、変換基板を製作しました。
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IoT機器(写真左):センサからの電気信号を変換し、無線マイコンを使ってゲートウェイに送信します。
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変換基板(写真中央):熱電モジュールからの電気を昇圧や蓄電します。蓄電素子は様々な種類を検討し、充電と自然放電の最適化を行いました。
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熱電モジュール ※ヒートシンク付き(写真右):熱を電気に変換します。
実験環境
当社の関連企業である旭鉄工株式会社(愛知県碧南市)に協力していただき、下記条件を満たす環境を選定しました。数箇所候補はありましたが、実験し易そうな製造ラインを選びました。
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熱源温度:60℃以上
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周囲温度:常温程度(風通りが悪くないこと)
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設置場所:水平で熱源モジュールに効率良く熱を伝えることができること
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他:作業者の邪魔にならないこと
結果
IoT機器の通信回数が少ない場合(1分に1回程度)かつ、製造ライン稼働時(熱源が発熱している状態)であれば、実用できることを確認しました。
しかし、弊社のIoT機器はサイクルタイム(製造業で製品が1つ完成するまでにかかる時間)毎に通信を行いますので、サイクルタイムが早い製造ラインでは改善が必要だとわかりました。
また、月曜日の朝一など土日で完全放電してしまったあとは充電に時間がかかりますので、時間帯によっては課題が残りました。ただ、昼休憩時など1時間程度の休憩であれば通信回数も低下しますし蓄電されているので問題ないことを確認しました。
結論
お客様の製造ラインの環境を選ぶため、すぐに採用とはなりませんが、お客様のご要望に応じて採用を検討していきます。i Smart Technologiesは、今後もより高効率で製造現場への負担が少ないIoT機器の開発を行なっていきます。
関連情報
▼本記事についての問い合わせ先
以下、問い合わせフォームよりご連絡ください。
▼熱電モジュールProVoのHP
▼熱電モジュールProVoの問い合わせ先
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