従来同等サイズで感度約5倍のレンズ付きフォトンカウンティングヘッドを開発
11月1日より販売開始
本製品の用途の一つとして、小型の検体検査装置に組み込むことで、装置の感度を高めることができます。これにより、受診者から採取する血液をはじめとする検体の量を減らしながらも、従来と同等の精度で測定することができ、受診者の負担を軽減することができると期待されます。また、測定時間の短縮も見込まれることから、医療従事者の負担軽減も期待できます。
本製品は11月1日(水)より、国内外の検体検査装置メーカーをはじめ、極微弱な光を利用するさまざまな装置に向け販売を開始します。また、本製品は11月16日(木)から3日間、当社がアクトシティ浜松(浜松市中区)で5年ぶりに開催する光の総合展示会「フォトンフェア2023」に出展します。
<製品の概要>
本製品は、小型と高感度を両立したレンズ付きフォトンカウンティングヘッド(※1)です。
当社は、受光面が直径8mmの小型フォトンカウンティングヘッドを製造・販売していますが、小型の検体検査装置において、受光面が小さく入射する光量が少ないため、市場からはさらなる高感度化が求められていました。フォトンカウンティングヘッドとレンズを組み合わせ受光面に対象光を集光することで、入射光量を増やし感度を高めることができますが、一般的な集光レンズでは、レンズとの間に一定の距離が必要となることから検体検査装置が大型化してしまいます。このため、当社は小型と高感度を両立するレンズ付きフォトンカウンティングヘッドの開発に取り組んできました。
※1 フォトンカウンティングヘッド:PMTやPMTの動作に必要な高圧電源回路、光を粒子として数えるフォトンカウンティング回路を内蔵したセンサヘッド。微弱光計測においてS/N特性や安定性に優れている。
今回、自由曲面を用いた光学設計技術を応用するとともに、同分野において高い技術力を持つブリュッセル自由大学と協力し、特殊な形状の内部全反射型レンズを新たに開発しました。一般的なレンズは入射した光の屈折を利用し集光しますが、新開発のレンズは入射した光の屈折・反射・全反射を利用し集光します。また、レンズ中央部と周辺部とで別の光路による集光が可能です。これらにより、薄型ながらも高い効率で集光することができます。さらに、検出効率を高めるため、PMTの形状や特性に合わせてレンズの形状を最適化しました。新開発のレンズは、平行光のみならず集光が難しい拡散光に対しても高い集光効果を発揮します。この結果、従来と同等のサイズながら感度を約5倍まで高めたレンズ付きフォトンカウンティングヘッドの開発に成功しました。
【一般的なレンズでは集光するための距離が必要となり厚くなる。一方、新開発のレンズは、入射した光の屈折・反射・全反射を利用することで、薄型・高集光効率を実現している】
血液検査で使用される化学発光免疫測定装置(※2)などの小型の検体検査装置に本製品を組み込み装置の感度を高めることで、受診者から採取する血液をはじめとする検体の量を減らしながらも、従来と同等の精度で測定することができ、受診者の負担を軽減することができると期待されます。また、測定時間の短縮も見込まれることから、医療従事者の負担軽減も期待できます。新たに開発したレンズは、光検出器の小型化と高感度化の両立が求められる分析や医療、通信、半導体などのさまざまな分野での応用が期待されます。
今後、本製品の拡販を進めるとともに、受光面の口径が異なるさまざまなレンズ付きフォトンカウンティングヘッドを開発し、市場からの要求に対応していきます。
※2 化学発光免疫測定装置:標識した化学発光物質からの極微弱な拡散光の発光強度を測定することで、検体中の目的分子を検出する装置。血液や尿などの検体の成分を検査することができる。
<製品の主な特長>
1.小型と高感度を両立
薄型ながらも集光効率の高いレンズを新たに開発しフォトンカウンティングヘッドに取り付けることで、従来と同等の小型サイズながら感度を約5倍まで高めました。
2.平行光、拡散光に対して有効
新開発のレンズは、入射口径と受光許容角が大きく、平行光のみならず集光が難しい拡散光に対しても高い集光効果を発揮できることから、極微弱な光を利用するさまざまな装置への応用が期待できます。
●発売日:2023年11月1日(水)
●製品価格(税込):レンズ付きフォトンカウンティングヘッド「H10682-110W」 156,200円
●販売目標台数:初年度100台/年、3年後1,000台/年
<この件に関するお問い合わせ先>
■報道関係の方 浜松ホトニクス株式会社 コーポレートコミュニケーション部 野末迪隆
〒430-8587 浜松市中区砂山町325-6 日本生命浜松駅前ビル
TEL053-452-2141 FAX053-456-7888 E-mail: nozue-m@hq.hpk.co.jp
時間外は、携帯電話080-8262-0374へお願いします
■一般の方 浜松ホトニクス株式会社 電子管事業部電子管営業推進部 長岡賢一
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